星組「眠らない男」

2014-01-31 19:54:42 | TAKARAZUKA
追記:前もって…、

職場のヅカメイツ(複数)さんとも話してたんですが、やはり私は世間一般と感性がかなり違うようなので、それを踏まえた上でお読み下さい。

ぶっちゃけ、フランス人にとってナポレオンは英雄なん?ふと疑問に思った。私個人にとっては全く英雄だと思ってないけど、フランス人にとって英雄的存在なら、堂々と英雄として描いたら良かったんじゃない???と思った。なんか、脚本に小池先生の迷いを感じる。っていうか、小池先生×星組の相性が良いと思ったことがない。初演の「ロミジュリ」以外で…。

ぶっちゃけ中途半端。ナポレオンは何がしたいのか理想や信念が全く見てこない。なんか、作曲家のジェラールに気を遣った感も伺える脚本でもあった。

私なら、ありきたりだけど、ナポレオンの世界征服の野心を信念に掲げ、最後は挫折する…いわゆる「平家物語」の盛者必衰のことわりをあらわしますね。

そのためには、「銀河英雄伝説」のラインハルトとヤンみたいに、ナポレオンの仇敵が必要で、以前、すみ花が「世界ふしぎ発見」で紹介したナポレオンの初恋の女性の夫のスウェーデン国王になったベルナドットを永遠の仇敵として登場させたら、面白かったのに…。か、「トラファルガー」のネルソンを登場させるとか…、私の中では想像が膨らんでます(笑)

“野心は愛に負ける”をメインテーマにナポレオンの栄光と挫折を描きます。「ふしぎ発見」のまま脚本にしたら完璧にドラマ要素たっぷりの作品になったと思う。だから、私ならフランス人に作曲の依頼はしない。フランス人に依頼するなら、自分の意に反して、めちゃくちゃヒーローに描きます。ぶっちゃけ、どうヒーローに描けばいいか思いつかないけど…。

そういう意味では、この星組のナポレオンは歴史をなぞっただけにしか見えなかった。その点では歴史の勉強にはなった。特に戴冠式のローマ法王の件(くだり)が好き。ナポレオンの傲慢さが浮き彫りにされて良かった。

ただ舞台としては、今一つ見せ場というか盛り上がりに欠ける。戴冠式以外の目立ったクライマックスが欲しかった。

結局、誰にも感情移入できないまま終わってしまったのが残念。ただお金をかけた豪華な作品にしか思えなかった。

あと、チエちゃんが出ずっぱりなのが可哀想だった。めちゃくちゃ格好良かったけど…。いくら主役に頼ってないとしても主役が出ずっぱりなのは脚本的にはいかがなものかと思う。

ジョセフィーヌ以外にももっとナポレオンの人物像を浮き彫りにさせる人物を、今回に関しては、ベニー演じるマルモンをもっと膨らませたら良かったと思う。ジョセフィーヌの描写は良かった。

チエちゃんファンは嬉しいかもしれないけど、私みたいな演劇ファンは正直見ていて気持ち良くない。「銀河英雄伝説」くらい主役以外にも美味しい役とシーンが見たかったな。

そうそう、雪合戦のシーン、もっとインパクトのある台詞が欲しい。第二部の“冬将軍”と対照的なシーンになるわけだからもう少し工夫が欲しかった。ぶっちゃけ、雪合戦のシーン自体いらないと思うんだけど…。

あ、みっちゃんのタレーランは美味しい役だった。もっと裏表が明確な人物描写があれば良かったかも…。「銀河~」のベルンシュタインみたいな存在やん…。

礼君のウジェーヌも美味しい役だった。っていうか、礼君、何気に上手い!子供から大人への成長ぶりがめちゃ明確。上手く声音を使って表現していて良かった。正直書くと、若手では君が一番怖い!私に言わせると、宝塚の秘密兵器的存在だから。何が飛び出すか分からないパワーを持っている。

個人的には綺咲マリー・ルイーズを楽しみにしていたんですが、歌が非常に上手いことに驚いた。小さい身体なのにかなりの声量があってビックリ!でも、「南太平洋」の時のようなヒロインオーラがなかったのが残念。ぶっちゃけ書いて申し訳ないが化粧を頑張って欲しい。リアットの時の方が可愛かったぞ。頑張れ、綺咲!

今日のまとめ:脚本は今一つでしたが、舞台美術は照明や衣装も含めてかなり見応えがありました。脚本に関しては、きっと再演があるなら、花組の「オーシャンズ11」のように手直ししてくれることでしょう。


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