「尺には尺を」2回目 & 歴史劇皆勤賞トーク

2023-11-08 01:09:00 | うらけん
うわー、占い当たりすぎ!

7日まで土用期間なので遠出禁物と言われていたけど、最終日だから大丈夫だろう、財布をなくさないようにだけ気を付けていたら大丈夫だろうと半ば油断していたら、新大阪行の最終新幹線に乗っていた時に、まさかのJR神戸線接触事故のため振替輸送という情報が入ってきた。焦りに焦った。感想ブログ書いていたのにそれどころじゃなくなったよ。

明日仕事だから新幹線を使ったのに、新大阪からの終電を乗り損ねたら大阪泊、始発帰宅の即出勤状態やん!?

他に帰宅出来る術を検索したら、地下鉄と阪神電車を使えば帰宅できることが判明した。

今まで新大阪から地下鉄に乗ったことないから、迷子になって乗るべき電車に乗れなかったら一大事なので新幹線口から地下鉄に行くルートをちゃんと検索し、地下鉄と阪神電車を乗り継いで無事帰宅することができました。

これ、新幹線に乗ってる時に知れて良かったよ。これが在来線に乗ってる時だったらもう泣くにも泣けない。


大阪地下鉄様、阪神電車様感謝感謝でございます!



ということで、私のどうでもいい話はさておき、

たまたま7日が休みだったので、浦井氏筆頭に歴史劇皆勤賞トークもあるということで、2回目を観てきました。

「尺には尺を」は、やはりソニンちゃんが素晴らしい。ぶっちゃけ賞獲れる!っていうか、私なら女優賞上げたくなるくらいめちゃくちゃ良い。

前回は、結構前方席で観させてもらったのに全然気づかなかったけど、今回は2階席でオペラ使用で観させてもらったら、あんなに泣いてたっけ?って思うくらい、ソニンちゃんがめちゃくちゃ役に入りこんでいて、イザベラの切羽詰まった感情、お兄ちゃんの命は助けたいが、その反面、自分の操も守りたい必死な気持ちが更にリアルに表現されていて、私ならソニンちゃんに賞をあげるよ!

ソニンちゃん演じるイザベラや朋子姐さん演じるマリアナも、男性に都合よく利用される男性社会の犠牲者なわけやん。

シェークスピア大先生が女性蔑視から女性上位へと描いていて、結局は大団円で終わってるからいいものの、今でも権力を傘に弱い立場な者を虐げるケースはよくあること。

シェークスピア作品って、「ヴェニスの商人」に代表されるようにウイットに富んだどんでん返しが絶妙で、今作もベッドトリックで悪の権化のアンジェロを追い詰めるわけですが、今作は現在にも通じる社会性があり、しかも風刺して表現されており、2回目でもやはりめちゃめちゃ面白い!



そして、終演後のヘンリーシリーズ歴史劇皆勤賞トーク付き。

登壇者は、司会が三崎プロデューサー、浦井氏、木下浩之さん、小長谷勝彦さん、急きょ立川三貴さんに代わり舞台監督の北条孝さん。

トーク内容はほぼヘンリー6世のエピソードでしたね。

浦井氏は、亡くなられた方への敬意を窺えるトークでした。

私が知る限りでは、中島しゅうさん、渡辺徹さん、久野綾希子さん…が亡くなられました。

しゅうさんに至っては、浦井氏とは「ヘンリー6世」でほぼ親子関係みたいな主従関係を、「ヘンリー4世」ではガッツリ親子関係を、「あわれ彼女は娼婦」でも新国立劇場で共演しているだけに思い出がひとしおなのも浦井氏の発言からも伝わってきた。そういえば、瞳子さんの「エディット・ピアフ」でも共演したね。

私は、「ヘンリー6世」と「リチャード3世」は、新国立劇場での映像上映でしか拝見したことないけど、それ以降のヘンリー作品は新国立劇場で拝見させてもらってるだけに、やはり、「ヘンリー6世」は生で拝見したかった。

カットされまくりだったけど、映像でも観れただけでも新国立劇場には感謝。

蜷川版をDVDで購入しましたが、やはり、世界の蜷川さんでも新国立劇場版には敵わなかった。と私は思ってる。

ぶっちゃけ、天国の蜷川さんには申し訳ないが、蜷川版のキャスト陣は、何を喋っているのか、誰を演じているのかさっぱり分からなかった。演者さん皆同じ喋り方だし、ただ大声でがなってるだけで役の気持ちがほとんど伝わってこない。何より舞台美術がシンプル過ぎて設定が分からない。わざわざ中古パンフレットも購入したくらい。

その点、新国立劇場版のキャスト陣は、適材適所。ちゃんと敵と味方が分かる演じ方、演出だった。

浦井氏ヘンリーの、もう二度と演じられないあのピュアさはヘンリーにピッタリだった。これはリチャード3世で証明済。

朋子姐マーガレットのしたたかぶりや村井国夫さんノーフォーク公との不倫関係もリアリティーがあったし、木場勝己さんトールボットと息子との関係ではめちゃくちゃウルウルしまくった。

渡辺徹さんヨーク公はめちゃくちゃ策士で憎たらしいし、ソニンちゃんジャンヌは勇ましかった(カットが多かったのが残念)、岡本さんリチャードは、まさに続編リチャード3世を演じるに相応しい存在感だった。

本当に本当に、「ヘンリー6世」、ノーカット、フルで観させて下さい!せめてもう一回上映して下さい!と訴えたいくらい完成度が高かった。蜷川版と比べたらその良さがひしひしと分かる。

それはさておき、

トークの内容で覚えているのは、浦井氏ヘンリーが天井からブランコで降りてくるシーンがあって、ただでなくても高い天井なのに、客席から見える高さより更に1.5メートルの高さで待機していたエピソードや、

舞台監督の北条さんがキューを出すタイミングが雑音で分からなくなって一か八かでキューを出したエピソードや、殺陣のシーンでは重たい鉄の剣で戦っていたこと、ソニンちゃんが木場さんに危うく剣で当てそうになったエピソードとか、高低差のある舞台美術だったり、木下浩之さんシャルルのマントは、ブルーシートで作られた大きいマントだったりとか、

浦井氏も言っていたけど、役者陣、めちゃくちゃ命懸けやん!?っていうのが目に浮かぶ。

今だから言えるエピソードだったから、もう一回映像で確認として観たくなった。

「リチャード3世」では、小長谷勝彦さんがスティーブ・ジョブズの格好の衣装だったこと。ここでな書けないNGエピソードがあったり、今回はその時と同じ格好で登場され、靴も当時の舞台で使用した靴を履かれていました。本当に物持ちがよい。

舞台監督のオッケーが出ないと、いくら演出家鵜山さんの希望でも通らないとか、実際は希望に添えるように尽力されていたとか、舞台監督の仕事説明をされたり、プロデューサーが最初にオファーする相手が舞台監督だということ。

池エピソードは面白かった。「終わり〜」では池ポチャ&水バシャがあるから、下手前列の方は要注意しないといけない。どれだけの被害が被るかは浦井氏にかかっている。以前、水バシャでお客様からクレームがあったとか。面白かった。

「ヘンリー6世」の千秋楽で、鵜山さんが北条さんに握手してきたこと。普段はクールだから握手なんてしない方らしい。鵜山さんエピソードも面白かった。

今思い返すと、ヘンリー4世だったか5世だったか忘れたけど、まるで板だけで組んだかような結構な高さの足場だったり、鵜山さんって案外、蜷川さん以上にアグレッシブな要求をされる方だということが伝わってきた。

あと、木下さんが、浦井氏の今回の役に対して、今まで見たことがない役を見れて喜んでいらしたことに強く同意!藁

「尺には尺を」の1幕目でのソニンちゃんとの掛け合いは、本当に見ていて新鮮。「終わり〜」はマジ下衆だったし。藁←これ、褒めてますから!


新国立劇場シェークスピアシリーズ継続して欲しい!

来年は、天国の蜷川さんに代わって吉田鋼太郎さんが再びシェークスピアシリーズに挑まれ、ハムレットを上演されます。

新国立劇場も吉田シェークスピアシリーズに対抗して上演してくれたら、演劇界も活性化すると思う。昔、「バンドラの鐘」で蜷川さんと野田さんが対決したように。「祈りと怪物」で蜷川さんとケラさんが対決したように。