正欲

2023-11-15 00:25:10 | 映画
全然期待してなかったし、ただ時間つぶしで観ただけなのに…、

めちゃくちゃ良かった!

134分があっという間だった。まだ続きがあると思っていたらエンドロールになったから余計時間を短く感じた。

いや〜、まるで10代と20代の時の自分自身を見てる感覚だった。

今の時代みたいに宇宙人の発想とか宇宙からの転生という概念がない時代の、自分は同級生とも同世代の人間とも違う、もちろん、世間の大人達とも違う、世間の常識は俺の常識じゃない!自分は日本人じゃないんだ!と強く思うことでしか生きられなかった時代の自分自身を見てるようだった。

吾郎ちゃん演じる役柄は、まさにひと昔の兄貴を見てる感覚だった。今でこそ、考え方も丸くなったけど、両親もそうだったけど、比較的兄貴のほうがその傾向が強かったが、世間の常識を押し付けてくる人間だった。お前は非常識な人間だと何度何度言われてきたか。

その都度、そんな世間の常識なんてクソッたれ!と思って生きた10代20代。

外国に行ったら必ず自分の居場所があると信じて、震災の年にバッグパッカーで西ヨーロッパとモロッコを旅し、翌年、ドイツに行った。

ドイツの生活も色々紆余曲折ありましたが、外国人とも日本人とも喧嘩してた。カッとなると不思議なことにドイツ語が流暢に出てくる不思議体験があった。でも、一度もホームシックにかからなかったので充実してた。だってドイツの学生証があればマールブルグからフランクフルトまで電車がタダ。親知らずの抜歯もタダ。もちろん、当時は学費ただ。大学付属語学学校はめちゃくちゃ安い。

でもね、やはり、留学している外国人や日本の大学生と知り合ううちに、現実問題として、お金の問題もそうだけど、ドイツに居続ける理由が私にはないことを思い知らされるだけだった。

私はただ親元から、日本から脱出したかっただけに過ぎない。頑張ってドイツに行けば新しい出会いによってドイツに居続けられるかもしれないといった安易な希望しかなかった。

他国の留学生みたいに、ドイツで学んだ知識を母国で活かすといった大いなる情熱を私は持ち合わせていなかった。

だから、本当に自分の惨めさを思い知らされるだけだった。目的がないならドイツ滞在は無意味でつらいだけ。

お金の切れ目が縁の切れ目。

金欠になり、親に催促する気にはなれなかったので1年半で帰国した。結局、就職もドイツに全く関係ない仕事だったし。ホンマ、何しに行ったんや!?

まだ帰国当初は、ドイツ留学なんて言ったら、少しは箔が付いたけど、今は本当にドイツに行ったなんて話すと逆に恥でしかない。相手から、今は???と聞かれたらもう返す言葉がない。

10代20代は本当に生きづらかった。今思えば自ら生きにくい人生を選んでいた。っていうか、世間に馴染めないから仕方ない。人と同じ事ができない。今はめちゃ右に倣え状態だけどね。



30代に入ってからは、諦めることを学び、今の職場に転職してからは、世間の常識に縛られる必要もなく居られる場所にやっとたどり着いた感じ。なぜ結婚しないの?と聞かれて、“したくないから” と答えたとして、理解してもらえる人達に恵まれてらるから。ま、理解してもらえるというより、誰も私に関心がないと言った方が正しいね。藁

正直、出世欲はないから後輩や年下に抜かされても、その人たちが相応しいと思ったから昇格するわけだし、向いているならそれでいいじゃん。私は完全に脱落者。それこそ、部下からの信頼度はあっても甘やかすばかりだから、その分自分の首を締めるだけだった。イライラもマックスになり、なんど上司に楯突いてきたか。よく首にならなかったな〜って感じ。自分の精神状態のためにも管理者は私には向いていない。

そして、このブログを始めて、スピの世界に導かれた。結婚願望が全くなかったのに、この人と結婚するというメッセージを受け取り、人生初大嫉妬魔人間にななった。嫉妬とは無縁だったのにね。妄想と現実の境い目が分からなくなり精神がおかしくなった。

職場では仕事のストレスで気が変になったと思われてたけど。実際は会って話すことすらなかった相手に大恋愛しただけ。だから、東野絢香ちゃん演じる役の気持ちは痛いほどよくわかる。本当に想ってるだけで幸せだったから。嫉妬も人一倍だったけど。藁

だから私もどちらかというと社会不適合者に近い存在。それでも、今も生きている。

磯村君の台詞じゃないけど、不謹慎だけど、早くに両親が亡くなって良かったと思ってる。今の人生は自分の選択だから、親のせいにも出来ないからね。今は本当に両親に感謝しかない。

スピの世界を信じているのに、まだ産んでくれてありがとうとは素直な気持ちにはなれないけど、育ててくれてありがとうとは素直な気持ちで感謝できる。

ということをついつい書いてしまうくらい昔の自分を見てるような作品だった。

新垣結衣ちゃんと磯村勇斗君カップルがめちゃくちゃ羨ましく思ったよ。一番大事な共通の秘めごとによって夫婦になり、喜びの沸点も同じだから、同じ喜びを分かち合えることができる。喜べる時間を持ち続けられることが最大の幸せ。

そうなんだよ、私の場合は、同類と思っても、いざ付き合うと、違うことに気付かされて去ること度々だったな。マジ酷い人間。

今は、ひとりの生活が長くて、人との付き合い方を忘れてしまった。どう告白してどう付き合うのかサッパリ分からん。っていうか、そもそも付き合うことすら面倒くさい。

と思うと、結衣ちゃんと磯村君カップルは羨ましい限り。魂で結びついてるとは言い難いが、一緒にて居心地がよく、言葉を交わさなくても、理由を聞かなくても、写真を見るとだけで相手の気持ちが分かる関係性って、私からしたら理想の関係性。

地球に留学してる感覚とか、めちゃくちゃ良く分かる!素晴らしい台詞やわ!

今なら、宇宙人ですから!と言っても通用するよ。そういう意味では、ひと昔に比べたらいい時代になってるよ。でもまだまだ生きづらいのは、周知の事実だけどね。

っていうか、内容がリアルにタイムリーすぎて、今上映して大丈夫だったのか?心配になったよ。

これは本当に、今生きづらい人達に対するエールになる作品でもあるので、自分は宇宙人かも?宇宙人と思わないと生きていけない方々には絶対勇気もらえる作品だと言える。

ほんま、吾郎ちゃんの役柄が、何に対してとは書かないが、最後までステレオタイプな役柄で、マジ苛つく。ホンマひと昔の兄貴を見てる感覚だった。

結衣ちゃんと磯村君との関係性とは対照的な位置づけの吾郎ちゃんの存在。あんな人がいたら直接、あかんで!と言ってるよ。

映画作品の登場人物として本当に素晴らしい存在感と役割だった。

ぶっちゃけ、どの登場人物も極端な設定ではあるが、メッセージを伝えるにはこれぐらい極端なのがいい。

結衣ちゃんも磯村君もいい役だった。信じられる人に出会うだけで、セックスする関係性でなくてもそれだけで人生は潤う!待ち続けられる信頼関係。生きていてほしい。生きているだけでいいと思える関係性。

個人的には、「おちょやん」に出ていた東野絢香ちゃんの演技がめちゃくちゃ素晴らしかった!神経をすり減らしてる感がリアル過ぎて、撮影中私生活は大丈夫だったのか心配になるくらい、見ていてウルウルしてしまった。私も激ヤセしたからね。激ヤセ理由は同じじゃないけど。

吾郎ちゃんの奥さん役の山田真歩さんもリアルに表現されてました。

この夫婦役の息子役くんがめちゃくちゃカワイイ!演技演技してたのが逆に、お父さんに向ける最後の台詞がピカ一だった!

この作品、問題提起もあり、明確なメッセージを伝えているし、今生きづらい方、孤立感で苛まれている方は観て損はないと思う。

あ、ダンサーの男の子?大学生くんも良かった。

自分の居場所じゃない場所に居続けないといけない事ほど辛いことはない。漂って漂って漂って、漂ってでも生きてさえいれば、必ず自分の居場所がある。(←タカコさん&花ちゃんコンビのお披露目公演「望郷は海を越えて」より。1000days劇場で観たこの作品に、私は救われた。)

私の場所は、その都度異性の友人いて心の支えになってくれた。いつも、相手は既婚者だったけど、恋愛に発展しなくていいから私にはその存在がありがたかった。

ネット社会で出会いも様々あっていいと思う。結衣ちゃんと磯村君の出会いがや関係性が理想だけども、まさに運命の再会でありお導きである。

登場人物には、本当に幸せになってほしいな!私は、テレパシーだけで信頼関係が築かれていたらそれだけで十分生きていける。たとえ相手が幸せな結婚していても応援しますよ。略奪なんてさらさらない。嫌だよ、慰謝料払うなんて。←そっちかい!

ラストはいい終わり方だった。無駄がなくて良かった。

今年は、映画豊作やな!

時間つぶしで観ただけなのに、なかなかの傑作でした。賞レースに絡んでほしい!