「炎 アンサンディ」

2017-03-25 18:41:16 | 舞台
大千秋楽に行ってきました。

いや〜、映画版を観てなかったら、この作品のバックグラウンドって伝わってるのかな???なんて思った脚本でした。以外と、というか、キリスト教、イスラム教の単語が出て来なかったんよね。出した方がもっと時代背景的にリアリティーが出たと思うねんけど…。


それ以外は、見事な台詞劇でした!

超簡素な舞台装置のみ。あとは役者の力で、どのようにして作品が持つメッセージ性を伝えるかが重要になってくる。ターコさんを筆頭に、しゅうさん、岡本さん、皆さん、本当に素晴らしかったです。

私は、たまたま映画版の「灼熱の魂」を観ていたので、ストーリー展開をわかってましたが、舞台版は、役者の演技力が試される演出となっていたので、それぞれに見応えがありました。

ターコさんの少女から革命家(?)そして、母親に至るまでの変化がお見事でした。革命家の時のターコさんなんて、まるで男役さんみたいにカッコ良かった!

映画を観た時も思いましたが、お母さんは何故に回りくどいやり方をしてまで遺言を残したのか?が疑問でしたが、舞台版を観たら、納得しました。舞台用の脚本だからオチが必要だよね〜なんて思いました。

「オイディプス王」的なオチの中で、憎しみにも勝る愛の力の大きさ、偉大さを訴えかけた作品でもありましたしね。

映画版と違って、舞台版だからこそ伝わってくるメッセージ性。やられたらやり返す、の復讐では悲劇が連鎖するだけ。中心核をなんとかしないことには、悲劇は連鎖。かといって、中心核を壊せばいいっていう単純な問題ではないんよね。

この作品では、中心核が重要になっていて、家族関係を多角形に置き換えて、その中心核が己の立ち位置みたいな意味合いも含まれているし、1+1=2、ではなく、=1もありうるんだよ、っていうメッセージも込められいて、

戦争や紛争によって引き裂かれたカップルや家族の怒りな悲しみだけでなく、戦争って悲劇しか生まないんだよ!っていうメッセージだけでなく、そのメッセージを伝えるにはどうしたらいいのか?といった脚本家の問題提起も込められていると思いました。

こんなに、戦争はあかん!人殺しはアカン!復讐はアカン!って言っても終わらない紛争。

どの国にも、映画でも舞台でも同じようなメッセージを送った作品があるにもかかわらず、肝心な中心核に届かないっていうのは残念でなりませんね。

ということで、2年前の初演時は観ることが出来ず、賞も獲っていたので、今回の再演は本当に有り難かったです。タイミング的にも、今、この日に観る価値がある内容でもあったし、私個人に対するメッセージも感じたので、今日は仕事で観れないかも…と思っていたんですが、強引に観に行って正解でした。結局は、観に行ったツケは回ってきましたけどね…(汗)

そんなことより、

私の中では、いつの間にか、ターコさん、しゅうさん、岡本さんが舞台ではお馴染みの方になっているのが不思議でならないんですが、皆さん、エエ作品に出てはるわ〜なんて思ってしまいますね。作品選びが上手い!

ターコさんに限らず、今回は女優陣の魂の叫び声に感銘を受けました。腹から声が出ていて素晴らしかったです!

岡本さんが色んな役を演じ分けていて、岡本さんだけではないですが、岡本さんの七変化観ていて楽しかったです。そう、とっても重要な役を演じているので、演じ分けるには役が多くないかい?とは思いましたけどね…。

今日は、カーテンコールで客席から演出家の上村さんが登場されてました。とってもシンプルな舞台装置でしたが、役者選びがお上手でした。ホント、この作品は役者ありきの部分が大きかったと思います。

今日のまとめ:今日は、実は、引きこもり状態だったので、楽しめるかどうか不安でしたが、家に引きこもらず、外に出て太陽の光を浴びるだけでも元気が出る度合いや、向き合い方が大きく異なることを実感しました。