暑い真昼間に汗だくで懸命に働く人がいる。近くに止まったバンの宅急便の青年に話しかけた。「お盆の休みは取らないの?」と僕が聞くと「皆が休むときには働く方が得です」という答えが返ってきた。数年前に同じような考えでバイトに励む学生がいたことを思い出した。確かあの学生の場合は5月の連休には働くことを決め込んでいてデートも旅行も連休後という考え方だったように思う。ゴールデンウィークであれお盆休みであれ、日本はどこへ出かけても人だらけ、おまけに物の値段が高く設定されている。宅急便の彼も僕の住む近辺では交通量も少なくて運転もし易いことを知っていて、効率的に宅配ができてペイもいいというものだ。
連休に「自分は自分、他人(ひと)は他人」とばかりに汗を流して働く人から学ぶことは多い。コンフォーミティ(conformity)という言葉が英語にある。社会や集団に属して、その考え方や生き方に順応することという意味である。川の流れに乗って泳ぐと体力も使わず気楽に流れていくことができる。同じように社会の流れや集団の中の一人として生きることは気が楽だ。そんな中で自分は自分、他人は他人と自分を表面に出す生き方は往々にしてあまり気楽な生き方とは言えないところは確かにある。周りの人達に変人的な見方をされることが往々にしてあるからだ。それでも歴史を紐解いてみると何か偉大な発見や発明をした人に変人と言われた人は多くいる。変な人と書きはするけれど、彼らは周りの人達に紛れてペースを同じくしている限りその人達よりは遠く先へは行けないことを知っている人達かも知れない。