日曜日、大相撲秋場所が大関貴景勝の優勝で幕を閉じた。相撲は今日の一番に集中することを要求される競技だ。勝ったお相撲さんのインタビューは決まってハーハーヒーヒィと呼吸を整えながら声にならない声を絞り出しての姿がテレビに映し出される。インタビューを受けているお相撲さんが気の毒になることが度々ある。ファンのためのものとは言え投げかけられる質問に工夫がなく特に聞く必要もないようなものばかりだからか。
貴景勝という人のコメントを翌日の新聞で確かめながら集めてみた。理由はこの人の受け答えがいつも淡白で勝ち負けに執着がないと思わせるほど短くて淡々としているからだ。「きのうは昨日、今日は今日」「一日一日全力集中」中盤で唯一負けた9日目のコメント、明日に向けて切り替えることは、という質問に「切り替えることはない。9日目はどれだけ考えても帰って来ない」と素っ気ない。笑えば博多人形のような可愛さがあるのに土俵の上ではいつもしかめっ面だ。初場所の千秋楽に幕尻の徳勝龍に敗れたときも「自分が弱いから負けただけ」という調子である。「期待に応えるのも裏切るのも自分しだい」と自然体で集中することだけを強調する。
どんな人にも過去、現在、未来、という時間のセットが毎瞬間ごとに移動する時間軸がある。僕の時間軸に関する考え方は大抵の人と同じだと思うが、「過去は失敗などを未来に活かすため、生きるためには現在に集中すること、未来は目標や希望だ」。お相撲さんの世界では、極度に現在つまり今の瞬間が強調されることが習慣化されて貴景勝の考え方が生まれるのだろう。それでもなぜか不思議とこの「現在“今”至上主義」に惹かれるところがある。現役の頃を思い出してみると僕たちは毎日スケジュールをこなすために未来への時間に追われていたことを思い出す。アメリカから日本に帰国して日常で一番変化を感じたことは「日本は忙しい」であった。それでも “今” に集中している時は余分な考えに惑わされることなく案外楽しい満足感や充実感を味わえていたのは不思議なことだ。
貴景勝という人のコメントを翌日の新聞で確かめながら集めてみた。理由はこの人の受け答えがいつも淡白で勝ち負けに執着がないと思わせるほど短くて淡々としているからだ。「きのうは昨日、今日は今日」「一日一日全力集中」中盤で唯一負けた9日目のコメント、明日に向けて切り替えることは、という質問に「切り替えることはない。9日目はどれだけ考えても帰って来ない」と素っ気ない。笑えば博多人形のような可愛さがあるのに土俵の上ではいつもしかめっ面だ。初場所の千秋楽に幕尻の徳勝龍に敗れたときも「自分が弱いから負けただけ」という調子である。「期待に応えるのも裏切るのも自分しだい」と自然体で集中することだけを強調する。
どんな人にも過去、現在、未来、という時間のセットが毎瞬間ごとに移動する時間軸がある。僕の時間軸に関する考え方は大抵の人と同じだと思うが、「過去は失敗などを未来に活かすため、生きるためには現在に集中すること、未来は目標や希望だ」。お相撲さんの世界では、極度に現在つまり今の瞬間が強調されることが習慣化されて貴景勝の考え方が生まれるのだろう。それでもなぜか不思議とこの「現在“今”至上主義」に惹かれるところがある。現役の頃を思い出してみると僕たちは毎日スケジュールをこなすために未来への時間に追われていたことを思い出す。アメリカから日本に帰国して日常で一番変化を感じたことは「日本は忙しい」であった。それでも “今” に集中している時は余分な考えに惑わされることなく案外楽しい満足感や充実感を味わえていたのは不思議なことだ。