水彩画と俳句の世界

自然を愛し、感性を大切にして「水彩画と俳句の世界」を楽しんでいます。

鳥帰る

2008年07月09日 19時18分44秒 | 春の俳句
句誌「響」2008年7月号に特別作品として掲載された池田洋子さんの15句の内の感銘7句を掲載します。
 
 「心音と雪解の雫響き会う」
冷たい雪解けの雫を心音と感じられた感受性に脱帽しました。以前に巻頭句に響の句がでていたことありました。きっとこの句はそれにひったし。

 「千年の王朝絵巻花蘇枋」
今年は源氏物語千年紀。源氏絵に描かれた花蘇枋はどんな花。誰の作品でしょうか。

 「猿沢池(さるさわ)は澄まず濁らず亀鳴けり」
亀の鳴く声は拡声器を増幅してみたら聴けるかも。
地元の猿沢池に亀を鳴かせて、ユーモアと情緒ゆたかな感動句。

 「ふらここの両手離せば鳥になる」
天高くブランコ漕いで、もろて離せば空飛ぶよ。スーポーおじさんの民話ごとくに。

 「鳥帰るかつて空には伝書鳩」
子供の頃、鳩を沢山飼って一度に離して飛ばしている光景をみましたね。また、離島から離島への通信の方法など。季語と伝書鳩の取り合わせが郷愁を帯びて絶妙。

 「蚕豆にギリシャの海の塩少し」
フランス・ゲランド地方に短期留学した娘の土産は塩でした。いまも、貴重品扱いで少しふりかけます。

 「漂泊の旅してみたき桜貝」
「桜貝つれて来し波引き返す」中沖津耶
桜貝は淡桃色で透きとおった3センチくらいの貝で、その名の由来は桜の花弁に似たところからきたと思われる。南日本の浅海に産し、春はことに美しい光沢がますと言われている。作者は桜貝なって見知らぬ海へ漂って旅をしたいのだろう。日常の全てを忘れて。

                             惟之


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする