猫田ジャレの 『 天然!にゃー語 』

~ 見ネコ聞くネコ言うネコの とびきり天然な日常 ~

野球小僧たちの3年間

2010年07月29日 | 松商、中原監督 関連
だいぶUPが遅くなってしまったが、

今年の夏の高校野球、長野県予選は、7月25日(日)に決勝戦が行われ、延長10回の接戦をものにした松本工業高校が優勝し、夏の甲子園、悲願の初出場の切符を手に入れた。

決勝を戦った相手チームは、強豪、松商学園。

なんでも、両校、松本市内を流れる薄川をはさんで、反対側同士、真向かいのような場所に立っているらしい。
それで「因縁の対決」と松工選手が言っていたのだな。

かたや、伝統ある私立の名門で甲子園出場回数最多(35回)。
松工は公立。ベスト4が最高である。


試合は松工が2点を先制した3回の裏で松商が1点、4回にも1点を追加した。
松商は続く6回でも1点、7回には2点を挙げ、この時点で5対2。松商がこのまま逃げ切るのか、と思われた。
だが、球場全体を包み込む、うねりのような松工投手への「柿田コール」。
会場が、総て松工に味方しているかのように思われた。

その熱意に押されたのか、粘った松工が8回から反撃に出る。
1点を追加し、続く9回。
2アウトから、まさかの2点を入れ、土壇場に来て同点へと追い込むのだった。

そして迎えた延長10回。松工が1点を取ったその裏。
松商、2アウトに打席に立った岡村。いっしゅん本塁打になるかと思われたが、背走した松工の左翼手倉田が、フェンスギリギリのところまで打球を追う。

フェンスに激突しながら倒れこみ、高々と突き上げる右手には、ボールがしっかりと握られていた。

延長10回の死闘は、競い合って、松工が勝利をつかんだ。



勝負の世界は、時に残酷である。

勝つか負けるか、その、どちらかひとつしか、道はない。


私は、松商を応援していたので、本当に残念である。

応援していた関係者は、あんなに残酷な試合は見たことがない、と語ったそうだ。


あと一歩のところまできながらも、勝利はなぜ、松商の手から零れ落ちたのか。

相手、松工の、初の決勝進出、甲子園への初の切符をかけて、スタンドもベンチも、最高に熱を帯びていた。

その、執念がもたらした勝利だったかもしれない。

松商はそれでも、圧倒されたとか、気のゆるみだとかではとても語れない、何かがあったのだろう。



この、松商側ベンチに、K出身の池井徹君がいた。
とても礼儀正しい、さわやかな好青年である。

4番を打っていたが、今大会、不振にあえいだ。
仲間の言葉を信じ、7回、一死1、3塁から立った打席で右前にタイムリーを放ち、1点を追加することに成功した。
が、相手側の勝利に、今までの不振の苦しみや、いろんなものがこみ上げてきたのだろう。

涙があふれて仕方がなかった。

この池井、中学時代は投手だった。
同期には、昨年、夏の甲子園に出場し、2回を勝ち抜いた長野日大の投手、加藤幸宏がいる。

ともにKから、現在信濃グランセローズにいる、K出身の松本匡礼(まさひろ)選手(松商→松本大)の紹介で、松本にある、上田佳範(元松商、元プロ野球選手)もかつて通ったのと同じ、シニアリーグに通っていた。

加藤は名将中原英孝監督のいる長野日大へ。
池井は当初関東方面の高校なども視野に入れていたようだが、地元の名門、松商学園に進んだ。

池井が入部した年、松商は甲子園に出場した。
まだ、レギュラーではなかったが、甲子園に応援に行ってきたからと、池井君のお父様からお土産をいただいた。

昨年は、長野日大が甲子園に出場した。

今年は、決勝戦で日大と松商が顔を合わせ、加藤、池井の対決が見られるといいなぁー、と思っていた。

だが、長野日大は、準々決勝にて県の覇者となる松工とあたり、延長12回の末、4対5と惜しくも一足先に敗れ去った。


この準々決勝には、Kの三羽ガラス、最後の一人、荒木大輔君のいる東海大三も進んでいる。
そして惜しくも、強豪佐久長聖と戦って9対3で破れた。
荒木君は、残念ながら正選手ではなかったようだが、Kから遠く茅野にきて、3年間がんばった。

荒木大輔は、お父さんがあの、荒木大輔選手のファンだったのでつけた名前だという。
名前が名前だけに、シニアの監督にもすぐ覚えられたが、「名前負けだなぁ・笑」 と言われたのよ・笑、とはお母さんの弁。
お母さんとはバレエ仲間だったので、色んな事情をチラっとだが聞いていた。
中学になって、土、日にシニアリーグに通うため、お母さんは平日に休みが取れなくなり、バレエのレッスン(火、木の午前中←当時)に来られなくなった。
端で見ていても、野球をしている子供の親は大変だなぁーと思った。


2006年に松商の本が出たとき、私はこの三羽ガラスに本をプレゼントした。

これから歩んでいく、長くきびしい野球道。
栄光も挫折も、きっと味わうに違いない。

そんなときに、この本が、ひとつ先をいく野球の先輩達が、どんな人生を歩み、局面を乗り越えてきたか。

それは必ずや、力になってくれるのではないか。

と、拙本に対していささかおごった考えではあるが、思ったというか、願ったからである。


Kのような山奥から、毎週、遠い松本まで通いとおしたという、本人と家族の努力と根性を、単に応援したかった、というのが、まあ、一番大きな理由なのだけど。

(もって行ったら、加藤君のおうちではお父さんが、ゆくゆく離れて暮らすであろう息子のことを思ってなのか、既に書店で2冊購入していただいていたあとだったので恐縮した。
池井君は、夜だったが自宅庭にライトを煌々とつけて、ネットに向かってお父さんとピッチングの練習をしている最中だった。感心して、感動したのを覚えている。
荒木君だけは、ご本人にお会いしたことがなく、残念である。)



まあ、あの本が彼らの、少しでも役に立てたかどうかまでは全然わからないが(^^;)

その翌年、彼らはそれぞれの高校へ進み、はや、3年目の夏を終えたのである。


彼らが、今後野球を続けるのかどうか。どんな道を歩んでいくのか、私は知らない。

だが、3年間Kから松本まで通い続けたこと、

さらにもう3年、きびしい野球の名門校で鍛えられたことは、必ずやその後の人生の、特に苦しいことに出会ったとき、

「あのとき、乗り越えられたんだから大丈夫」という糧となって、照らしてくれることを信じている。

拙本の中で、多くの松商ナイン達が、そう語ってくれたように。


2006年、あの本が出て、もう4年になるのだなぁー。

(もう、書店さんにも出版社さんにも在庫はゼロです。私が、最後の1冊を買い占めました・笑。
古本ネットに2冊だけあるみたいで、買おうか迷っている。一冊は半額くらいで、もう一冊は1.5倍くらいの値がついている。フシギだ。
自著をわざわざ高い値で買うのはバカバカしいので、そっちは買わないと思うけど。)









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8 コメント

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ちび野球小僧 (ワカ)
2010-07-30 13:59:49
ジャレ、久しぶりです。
私もこの夏は(この夏も…っていいますか兄弟合わせると一年中!?)、土日土日子どもたちの中学の部活とクラブチーム(軟式)の野球の応援に行ってます。今週は、中体連都大会の準決・決勝に、仕事を休んで、大型バスで応援いってきたよん。ウチの中2の長男は、試合ではほぼランナーコーチャーです。でも、怪我で引きこもっていた時期もあったことを考えると、チームのみんなと元気に野球をやっている姿が嬉しいです。準決ではちょこっとだけ守備で出られたので、はじめて電光掲示板に名前が出て感動しました(親ばかだね)。そして優勝!の感動も…。
 上を目指す高校球児たちとはレベルも全然違うけれど、ジャレのブログ読んで、試合のあの緊張、歓喜、落胆、安堵、スピード感…いろんなもの含めた熱い空気を私も大好きだよ、と伝えたくってコメントしてみました。親としては、応援になんかいきたくないと思う時期もいっぱい経験してきたけど、子どもに対しては、弁当を作り、笑顔と強気で見守る母でありたいと思ってきたんだ。それに、何より自分の子どもだけでなく子どもたちのプレーを見るのが好きなんだね。
 次は、関東大会が待ってます。がんばれー。

 というわけで、お互い身体に気をつけて暑い夏を熱く乗り切りましょう。
 
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すごぉ~いっ! (ジャレ)
2010-07-31 14:40:39
優勝して、関東大会に行くの?
初めて電光掲示板に名前が出て感動したって、わかるよ。松商ナインにも、そんな子がいた。
ランナーコーチャーでも、いいじゃん。
それもまた、何かの力になるよ。
お母さんもまた、一緒になって熱くなるんだよね。どこの親もそうみたいだよ。

「母は、どんな小さな記事でも取っておいてくれた」っていう巨人の坂本勇人選手のCMの、お母さんの心境だね。
あと、「僕、イチロー選手のようになれるかな」「それはわからない。でも、なろうとしなければ、なんにもなれないんだよ」っていう野球小僧とお父さんのCM。あれ見ると、いつも泣けるんだよ。(ミスチルの歌が、また泣ける)
そういえば、坂本選手のCMと同じシリーズの、浅田真央選手のちっちゃい時の映像と「私がすべるとみんながよろこんでくれる」や、現在の真央ちゃんの姿をTV画面越しに見つめる少女達の姿も泣けるよね。(こちらはゆずの音楽がいい)

泣きのツボのダシにはしたくないんだけど、でも、いつの時代でも、がんばって健気に生きている子供たちの姿って、感動するよね。
それがスポーツだと、なおさらだね。(子供、スポーツ、動物ものは泣ける)
  ↑ ↑
いつかどっかに書こうと思ってたので、書いちゃいまシタ。(^^;)


ワカ、お久しぶりぃ~!!
うれしいな♪ 読んでくれてたんだ。
よかったら、またちょくちょく、顔を出してね。←なかなかコメントくれる人が少ないのです。(^^;)
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読んでるよ~ (ワカ)
2010-08-02 11:33:17
時々読ませていただいておりますよ。
我が家のパソコン不調でコメント遅くなりごめんね。

一生懸命スポーツやっている子どもの姿には感動するね。

その一方で子どものクラブチームや部活のあり方、親の関わりなども様々考えさせられてきたここ数年でもあります。

でもとりあえずは、目の前の関東大会に、長男も、ベンチ外の二男も、チームみんなでがんばって、いい体験をしてほしいと願っているところよん。私もユンケル飲んでがんばります!
 
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ほんとにぃ~? (ジャレ)
2010-08-02 19:27:58
うれしぃなぁーーー。
ヒデキ、カンゲキ。(^^;)ゞ

ブログとかHPやってて何がうれしいかってゆーと、「読んでるよ」のひと言、なんですが、最近はとんとそーゆーお声が聞けないので。
ここのカウント数とか出るんだけど、なんか、例えば本日の数字は「訪問者75の、閲覧数135」なぁーんて、なんでそんな差があるかなー、一人の人が何度も尋ねてきてくれてるってこと?(??)と思うと、しんぴょーせー、ないなぁー、なんて、ね・笑。数字、HPに比べて多すぎるし・笑。

なので、ここを読んでくださってるみなさま、ぜひなんでもいいのでお声をかけてくださいな♪
ネコタは、楽しみにしておりまぁ~~す(^-^)v


  * * *


ワカは、なんでも一生懸命でがんばりやさんだったものね。
きっと今でも、子育てや地域の活動や、いろんなことにがんばってるんだろうなぁーーー。
一生懸命になればなるほど、いろんなことが見えてきて、憤慨したり、(??)なんて思ったり、よけいにいろんなことが、あるんでしょうね。

そっかぁー、次男くんも一緒のチームなんだね。お姉ちゃんは、もう大学くらいなのかな?たしか、男の子達が離れてたんだよね。

まだまだ、もうひとがんばり、だね♪
(ダイジョーブ。その分、きっと他のみんなより、若いから♪)
ワカにも、あいたいなぁーーー。
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きっと (ワカ)
2010-08-06 10:38:10
ジャレのHP・ブログ読んでいる人大勢いるよ。コメントはちょっと恥ずかしかったりするのよ。

長女は大学2年生。一応保育のお勉強をしています。

私の地域の活動は専ら夜の宴会部活動なんだよ。地元力の強さは、スゴイ。いくら田舎の熊本といっても新興住宅地で育った私には、この下町の世界は強烈でした。時代は「おていちゃん」の頃から止まってるって感じかね。でも郷に入れば郷に従え。熱くてパワー溢れる皆さんに助けていただきながらそれなりに溶け込んできています。

今朝息子たち関東大会に出発しました。
私は、明日朝5時発でバスで応援行ってきまーす(一回戦、もし勝ったときのためにお泊まりの予約もしているの…私も好きなんです)

ジャレあいたいね。でもこうしてネットで会話できるのはうれしいね。身体に気をつけて。
また…
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にゃはは(^^;)ゞ (ジャレ)
2010-08-06 16:49:50
そーいえば、私も人のブログにめったにコメントしませんにゃぁ・・・恥ずかしい、とゆーより、めんどくさい? 笑。
ほとんど「ただ見」です。読むだけ、です。ごめんなさぃ。

なので、コメントなくてもしょうがないよねぇ・笑。人の心理を、よく考えてみたら・笑。

読んでいただけるだけでも、ありがたいです。
感謝です。


へーえ、おていちゃんのままなの?
トーキョでも、そんなとこがあるのね。トーキョって日々変わるでしょ。Kは30年間全然変わらないトコがある、と思ってたけど。

ほんとだね。ネットって便利だね。
試合は、勝ったのかな?
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残念! (ワカ)
2010-08-09 11:30:07
関東大会昨日、二回戦で負けました。二回戦で勝つと全国大会に行けるのですが、そこの壁はやはり厚かった。0対0で、勝負がつかず、延長戦でも両チーム点が入らず、特別延長(よくサドンっていわれるシステム)でサヨナラ負け。いい試合でした。3年生にとっては部活最後の試合となり、試合後の子どもたちのいろんな涙に感動したよ。全国に行けない悔しさは忘れられないと思うけど、いい経験だった。子も親も…。
 以上報告でした。またね。
 

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遅くなっちゃって・・・ (ジャレ)
2010-08-14 11:53:45
ごめんね。
そっかぁー、残念だったね。
でも、いい試合だったみたいで、よかったね。
ずっと心に残る試合だね。
まさに、ドラマだ。
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