竹原BLOG:奈良民話祭り ― グリム童話・メルヘン・語りの文化 とっておきの話。 

夏の奈良民話祭り:8月5日(金)午後3時より奈良町物語館で4回公演!
奈良燈花会に行きがてら、ぜひ来てくださいね!

なぜ無実の罪を「濡れ衣を着る」というの?

2010年07月05日 | 日記
昨日、今日と武庫川女子大で行われた昔話学会に行って来ました。
昨日は大雨、今日は晴れ、暑かったですが
民家の片隅にこんな花が咲いていました。



さて、学会は6月24日のブログでお知らせしたように、
多彩なブログラムでしたが、
森誠子さんの発表から学んだとっておきの話をしましょう!

なぜ、無実の罪を「濡れ衣を着る」というのでしょうか?
私も知らなかった由来譚があったのです。

濡れ衣

ある男が国守となって任国へ下るが、
京より伴った妻はその地で娘を残して死んでしまう。
その後、その国の女を後妻に迎える。
この後妻は継娘のことを憎み、
夫に様々な讒言をするが用いられない。
そこで、財宝を与えて海人を語らい、
継娘が密かに海人と通じていたように偽装し、
その証拠として、海人の濡れた衣を寝ている継娘にかけておく。
翌早朝、海人が後妻に言われたとおりに、
自分の衣を返してくれと言いに来る。
夫は娘が海人の衣をかけて寝ている姿を見て、
後妻の讒言を信じ大いに怒って娘を殺してしまう。
このことにより、無実の罪(無根の浮名)を負うことを
「濡れ衣を着る」というのである。

出典:大島由紀夫による梗概(『学習院大学国語国文学会誌』31号より)

「濡れ衣」説話は、貝原益軒編『筑前国続風土記』(元禄10年)ほか
謡曲・説話集に多様な展開を見せつつ伝承されてきたそうです。