なんと、グリム童話初版では王子のキスで目覚めるのではなくて、召使いに背中を小突かれて、
その拍子に毒りんごが喉から飛び出して、目覚めるのです。
よく考えれば、いくら王子に愛のキスをされたって、毒りんごが喉に
引っかかったままでは、仮死状態のままですよね。
まあ、ゆっくり考えてみてください。
まず、次の絵をご覧ください。
オットー・ウッベローデの挿絵
白雪姫が毒りんごをかじって、床に倒れ死んでしまい、家に帰ってきた小びとたちが介抱しても、
白雪姫は生き返えらない。悲しんだ小びとたちはガラスの棺(ひつぎ)に白雪姫を入れて、
見張りをしました。
この絵をよく見てください。
「動物たちもやってきて、白雪姫のために泣きました。まず最初に、フクロウが来ました。
それから、カラスが来て、最後にハトが来ました。」(グリム童話第2版より)
ウッベローデの絵には、見張りをする小びともフクロウもカラスもハトもちゃんと描かれていますね。
さて、そのあと白雪姫は、どのようにして生き返ったか、各版を見ていきましょう!
★グリム兄弟の兄ヤーコプがマリー・ハッセンプフルークから聴いた初稿(1810)
父親のお抱え医師たちが白雪姫の遺体をもらい受けて、部屋の四隅に綱を張ると、
白雪姫は、生き返る。
これは民間療法かまじないで生き返ったのでしょうか?
★トライザの牧師の息子フェルディナンド・ジーベルトから送ってもらった話に基づく初版(1812)
ある王子が白雪姫の棺をもらい受け、召使いに城へ運ばせる。
王子は、いつも棺とともに暮らさなければ気がすまない。
ところが、いつも棺を運ばされることに腹を立てた召使いは、
ある時、棺を開けて、白雪姫を持ち上げて、
「この死んだ娘のために、わしらは一日じゅう苦しめられるんだ」と
言いながら、白雪姫の背中をこづいた。
すると、その拍子にりんごのかけらが喉からとび出し、
白雪姫は生き返る。
召使いの怒りがはからずも白雪姫の生き返りに結びつくところが面白いですね。
★フランクフルトのハインリヒ・レオポルド・シュタインから送ってもらった話に基づく2版(1819)
棺をかついでいた召使いが、やぶに足をとられて、棺がぐらぐら揺れた拍子に、
りんごのかけらが喉からとび出し、白雪姫は生き返る。
ここでも白雪姫は、まったくのハプニングで生き返る。こうした意外性はメルヘンにふさわしいですよね。
いづれにしても、王子のキスで目覚めるという筋書きはグリム童話にはありません。
でも、一般には白雪姫は王子のキスで目覚めると思っていますよね。
ほかの話も各版の比較してみてください、新たな発見がありますよ!
-------補足--------------------
ひとりで各版の比較をしたい人のため文献を紹介しましょう!
◆グリム童話初稿(1810)
メルヒェン集 エーレンベルク稿 小沢俊夫訳
(ドイツ・ローマン派全集 第15巻 グリム兄弟篇 国書刊行会・所収)
◆グリム童話初版(1812)
初版グリム童話集 全4巻 吉原高志/吉原素子訳 白水社
◆グリム童話第2版(1819)
完訳グリム童話 - 子どもと家庭のメルヒェン集 全2巻 小沢俊夫訳 ぎょうせい
◆グリム童話決定版(1857)
完訳クラシック・グリム童話 全5巻 池田香代子訳 講談社
決定版は他にも翻訳があります。
詳しくは下記のサイトをクリックして、見てください。
グリム童話と民間伝承に関する研究文献
★グリム童話ミニ講座第4回★はこれでおしまい! 次回もお楽しみに!
その拍子に毒りんごが喉から飛び出して、目覚めるのです。
よく考えれば、いくら王子に愛のキスをされたって、毒りんごが喉に
引っかかったままでは、仮死状態のままですよね。
まあ、ゆっくり考えてみてください。
まず、次の絵をご覧ください。
オットー・ウッベローデの挿絵
白雪姫が毒りんごをかじって、床に倒れ死んでしまい、家に帰ってきた小びとたちが介抱しても、
白雪姫は生き返えらない。悲しんだ小びとたちはガラスの棺(ひつぎ)に白雪姫を入れて、
見張りをしました。
この絵をよく見てください。
「動物たちもやってきて、白雪姫のために泣きました。まず最初に、フクロウが来ました。
それから、カラスが来て、最後にハトが来ました。」(グリム童話第2版より)
ウッベローデの絵には、見張りをする小びともフクロウもカラスもハトもちゃんと描かれていますね。
さて、そのあと白雪姫は、どのようにして生き返ったか、各版を見ていきましょう!
★グリム兄弟の兄ヤーコプがマリー・ハッセンプフルークから聴いた初稿(1810)
父親のお抱え医師たちが白雪姫の遺体をもらい受けて、部屋の四隅に綱を張ると、
白雪姫は、生き返る。
これは民間療法かまじないで生き返ったのでしょうか?
★トライザの牧師の息子フェルディナンド・ジーベルトから送ってもらった話に基づく初版(1812)
ある王子が白雪姫の棺をもらい受け、召使いに城へ運ばせる。
王子は、いつも棺とともに暮らさなければ気がすまない。
ところが、いつも棺を運ばされることに腹を立てた召使いは、
ある時、棺を開けて、白雪姫を持ち上げて、
「この死んだ娘のために、わしらは一日じゅう苦しめられるんだ」と
言いながら、白雪姫の背中をこづいた。
すると、その拍子にりんごのかけらが喉からとび出し、
白雪姫は生き返る。
召使いの怒りがはからずも白雪姫の生き返りに結びつくところが面白いですね。
★フランクフルトのハインリヒ・レオポルド・シュタインから送ってもらった話に基づく2版(1819)
棺をかついでいた召使いが、やぶに足をとられて、棺がぐらぐら揺れた拍子に、
りんごのかけらが喉からとび出し、白雪姫は生き返る。
ここでも白雪姫は、まったくのハプニングで生き返る。こうした意外性はメルヘンにふさわしいですよね。
いづれにしても、王子のキスで目覚めるという筋書きはグリム童話にはありません。
でも、一般には白雪姫は王子のキスで目覚めると思っていますよね。
ほかの話も各版の比較してみてください、新たな発見がありますよ!
-------補足--------------------
ひとりで各版の比較をしたい人のため文献を紹介しましょう!
◆グリム童話初稿(1810)
メルヒェン集 エーレンベルク稿 小沢俊夫訳
(ドイツ・ローマン派全集 第15巻 グリム兄弟篇 国書刊行会・所収)
◆グリム童話初版(1812)
初版グリム童話集 全4巻 吉原高志/吉原素子訳 白水社
◆グリム童話第2版(1819)
完訳グリム童話 - 子どもと家庭のメルヒェン集 全2巻 小沢俊夫訳 ぎょうせい
◆グリム童話決定版(1857)
完訳クラシック・グリム童話 全5巻 池田香代子訳 講談社
決定版は他にも翻訳があります。
詳しくは下記のサイトをクリックして、見てください。
グリム童話と民間伝承に関する研究文献
★グリム童話ミニ講座第4回★はこれでおしまい! 次回もお楽しみに!