Feel free.

丘の上に車を止めて、ラジオをＯＮ。
雑音の中から聞こえてくる放送に耳を傾けた。

最近体調が思わしくない。
その理由は分かってはいたけれど、知ると症状が悪化するだけなので
ほっておいた。しかしさすがに酷くなって来たので昨日医者に行ったら
毎度の風邪だった。インフルエンザでないことだけが救いだ。
1年に何度も風邪を引くのは僕の特徴だ。
基本的に免疫力に弱いのかもしれない。

ラジオのＤＪは気象予報をしている。
今日は13℃らしい。
僕の車は15℃を表示しているけど、フォルクスワーゲンは2℃ほど
高く表示する癖があるから正常なんだろう。

妙齢の白髪男性が、僕の前に車を止めた。
その輝きや、ナンパープレートから見て新車のロードスターらしい。
自分の車に見とれながら、屋根を開けたまま、車を立ち去った。

ＤＪが僕のお気に入りの曲をかけてくれた。
思わず携帯を取り出し、ＤＪ宛にメールを打った。
こんな事をするなんて、僕にとって始めての事。
人生って、だから面白い。

スポーツシートにただ座っているだけなのに凄く眠いのは
シートヒーターではなく、風邪薬が効いて来たからだろう。
こうゆう時に限って、ドリンク剤のカフェインは僕を見方にしない。

いつも見かけるジャグアーのコンバーチブルが、屋根を閉めたまま通り過ぎる。
イギリスの車だからドロップヘッドと言うべきなんだろうが、
「アメリカで売れているからコンバーチブルと呼ぶのよ」
と教えてくれたのは、シドニー出身のレイディー。

眠気が最高潮に達した頃、ＤＪが僕の投稿を読んでくれていた。
嬉しさと共に、無事にメッセージが届いた事に安堵する僕。
さあ、仕事に戻らなければ。
風邪ごときに付き合っている暇は無いのだ。

屋根を開けっ放しのロードスターは、まだ駐車している。
この自由な雰囲気が、僕は好きだ。