金属中毒

心体お金の健康を中心に。
あなたはあなたの専門家、私は私の専門家。

プロポーズ小作戦14

2009-03-30 16:41:18 | コードギアス
プロポーズ小作戦14
ここで話は少し戻る。計画性の無い奴とお笑いいただきたい。

2代目ゼロとの同盟を組んで国賊たる大宦官一派を打ち倒した星刻だが、彼はその前にエリア11で大宦官の中核たる高亥を殺している。高亥はその時点でゼロのギアスにかかっており正気ではなかった。だが、当時の星刻にそれはわからない。いきなり狂乱したかのようにゼロに入れ込む高亥にどのような思いを抱いたのか、文書には何の記録も無い。
事実はともかくとして当初高亥は、黒の騎士団の下っ端に殺された事にされた。後にゼロと同盟するに当たり都合が悪くなったので死因は《乱入した賊による殺害。黒の騎士団はそれを防ごうとした》と変えられた。その後他の大宦官を勅命により処刑した後、さらに変更され《天子の忠臣であった高亥を殺害したのは国賊の大宦官達。上司のあだ討ちをした星刻は忠臣の鏡とされた。さらに士官学生の頃から後見人であり、副官をかねた護衛という公私共に身近に置いていた事が強く宣伝され、高亥と星刻は尊父と等子であったとされた。これは中華特有の養子制度の1つであり、その結果高亥の表裏の資産を星刻はそっくりそのまま受け継いだ》
これについて星刻には感情面での不満があったようだが、それ以上に高亥の裏の資産である人脈は貴重だった。結局金銭資産を天子の住まう内宮に寄付する事で感情面を納得させた。その後、天子の指示で戦災孤児の施設のために使われている。
結論として、高亥は宦官の中でただ一人の忠臣であり、さらに養子の星刻も中華随一の忠臣となった。真に名誉な存在に祭り上げられたのだ。もしあの世でそんな世界の様子を見ることができたなら、高亥は秀麗な顔をゆがめもせず哂うだろう。
 星刻の中で高亥に対する感情はいまだに整理されていない。それゆえにおそらくは真実を知っているらしい、シュナイゼルの言葉は星刻にとって痛いのだ。

プロポーズ小作戦13

2009-03-30 15:57:39 | コードギアス
プロポーズ小作戦13
(いつもなら、私室に来てくれるのに)
公式の間では天子と星刻の距離は10メートル。これでも他の臣下に比べれば格段に近い位置である。
また、天子の肉声を直接臣下が聞くことは無い。形式だけでも宦官あるいは高級女官が取り次ぐ。現状天子の傍から宦官は遠ざけられている。若すぎる大司馬の『天子様の学問の指南役としてふさわしくない』の一言で全員内宮を出された。
女官達の噂では政治的配慮よりも個人的嫉妬が動いた結果と結論付けている。

天子に対する星刻の要請は簡単だった。天子様とナナリー皇帝と神楽耶様におそろいの室内履きを作らせたので電話をしてほしいという事。
大好きな《海の瞳のお姉さま》に電話できるのは天子には嬉しい事である。さっそくナナリーに直通電話を回す。
鈴を転がすような声で「おそろいなの」とにっこり微笑む天子。ナナリーも楽しそうな笑顔を返す。
さりげなく後ろに控えた星刻が声を添える。
「リハビリ用のシューズと同じ仕様で作らせました。そのままお使いいただけます」
にこやかにお礼の言葉を返すナナリー。
そのナナリーの後方からこれもさりげなくシュナイゼルがお礼を述べる。
「常に変わらぬ中華のご好意感謝いたします」
この時点で男達は視線を交わしていない。
(シュナイゼル、この勝負は私の勝ちだ)
(ふむ、まぁナナリーが喜んでいるから認めよう。ところで、星刻これは君の実力のみでの勝利かな)
「ご尊父様にもいろいろお気遣いいただきましたが、さすがに良き薫陶を受けておられる」
シュナイゼルの言葉に一瞬星刻の視線が強くなる。
つまりはお前の実力ではなくて、殺した男のルートで得た情報だろうと図星されたのだ。
勝負は1勝1敗だが精神的には星刻が不利だった。


プロポーズ小作戦12

2009-03-30 15:21:57 | コードギアス
プロポーズ小作戦12
「星刻が来ているの」
天子の声が3オクターブも跳ね上がる。普段ならそんな声を出したら「天子らしくしなさい」と怒る女官も、あの青年に対する天子のかわいい思いを知っているから怒る気にならない。
「良かったですね。天子様」
若い女官が皆の気持ちを代表するかのように言う。

天子は大急ぎで部屋に駆け戻る。星刻と話したいこと、見てもらいたいことがたくさんある。ばたばたと足音をたてる天子をさすがに古株の女官がいさめたがその口調も優しい。実のところ、女官達にとってもあの若すぎる大司馬は眼福ものなのだ。特に天子を見つめるときの彼の表情は、初孫を抱いたじいさまでもあれほど優しい表情はしないと年配の女官の間でよく茶飲み話の種にされる。若い女官の中には一瞬でもあの瞳で見てもらえるなら切り殺されてもいいと過激な発言をする者もある。あの大司馬は下人時代を含め、女だらけの内宮に出入りしながらも浮いた噂一つ無い、超堅物であることも茶飲み話が過激になる理由のひとつである。あの青年が内宮で女に手を出す事は無い。安全が保障されているから、ジェットコースターは怖いほどおもしろい。その心理が噂話をより大げさにさせ、より面白くさせる。
女官達はその辺の遊び心をわかっているが、天子はまるっきりわかっていない。噂を聞きつけるたび、(私が子供だからなの)と小さい胸を痛めている。
相談相手にされる《お姉さん役》のジノにはそんな天子がかわいくてたまらない。同時に自分ひとりをを配置する事で、星刻と天子両方に相手を異性として意識させた神楽耶の腕前に感心する。

学業も政務もちゃんとしているのよ。
そう言いたくて天子はあれもこれもと引っ張り出す。
それが出てくる前に取次ぎの女官が公式の間で黎大司馬がお待ちですと告げる。
天子は用意しかけた物を放り出して大急ぎで走った。