金属中毒

心体お金の健康を中心に。
あなたはあなたの専門家、私は私の専門家。

うまくいかなかったのかねぇ

2009-03-08 15:55:00 | コードギアス
藤堂は手早くグラスをかたづけた。明日、いやもう今日は早朝から東京に戻る予定だ。朝早くから千葉に洗わせるのは気の毒だ。長い事逃亡生活をしていたし、若いころは自炊していたから洗い物ぐらいは苦にならない。
きれいに洗ったグラスを布巾で拭く。わずかに布巾がひっかかる。見るとグラスの1つにわずかなひびが入っている。
「あぁ、あのときか」藤堂はつぶやく。
さっき辞去の挨拶をして立ち上がった星刻が一度足元を滑らせた。
丁度月が陰ったときだ。
そのときグラスがぶつかり合って、こつんとちいさな音を立てた。
無理にでも泊まらせるべきだったか?
藤堂は思う。だが、「洛陽に帰って、明日公式訪問で来ます」と言い切る青年将校に無理強いはできない。彼は実質的な中華の支配者だ。
「それに」藤堂はひび割れたグラスを紙に包みながらつぶやく。
星刻はスザクに似ている。身体能力もだが、不器用で意地を張るところが。
もしスザクがあの兄弟と出会わなければ、自分の弟子のままであれば、あの中華の青年のように育ったのではないか。


翌朝、わずかな手荷物を持った千葉は藤堂のお気に入りの切子のグラスが1個しかないのに気が付いた。
あの後、神虎の起動音が遠ざかった後、藤堂は客間で1人で眠った。
千葉には解っている。それは藤堂の優しさだと。明日からまた政府の仕事が始まる。
ゆっくり眠らせようとしてくれたのだと。
(でも、違う。それは)
以前ならその優しさは嬉しい。
だが、自分達はもう以前とは違う。自分は妻だ。式を挙げていなくても、妻だ。
妻だから自分だけが藤堂中佐の傍にいられる。
千葉自身はそう考えている。だが、藤堂はどうだろう。自信がない。
一緒にいる。それは四聖剣の頃も同じ。もちろん自分は今も四聖剣だ。中佐を守るのが自分の命の理由だ。だが、何よりも今の自分は藤堂の妻のはずだ。
(妻と思っているのは私だけですか。中佐)


藤堂は大きな荷物を運び終えると、まだ外に出てこない千葉を呼んだ。
「はい、すぐ参ります。総監」
迎えの車の運転手はひそかに扇から言い含められていて、この二人が新婚であることを知っていた。
しかし、その割には出てきた妻の表情がさえない。
(?)
内心(こりゃうまくいかなかったのかねぇ)と邪推したが、それを表面に見せることはなかった。


書けない

2009-03-08 15:04:03 | コードギアス
以前、「藤堂に恋愛相談する星刻」と妄言を吐いた事がありました。
なんとか、それを文にしたいと書き始めましたが、・・・なぜかなー。天子の婿を探してる話に転んでしまった。
国籍こそ違えど、大真面目で一途で深い想いをもつ藤堂と星刻。そんな二人が軍服のまま、
「千葉と結婚してみたが、どうしてやるのがいいか、わからない」と愚痴ったり、
「天子様の愛らしいいたいけで純粋なあのお心に傷を付けたくない。どうすれば傷つけることなく・・・」とか相談したり。
藤堂も星刻もまじめで額に似たような縦皺寄せて、「どう愛したら良いのかわからない」
こういう話にしたかったんですが、どうにもこうにもいくらがんばっても星刻が天子様に触れることができない。
お召し変えや、ご入浴で玉体を清浄に清めるのは顔色も変えずにやれそうなのに。



天子の婿を内内に探す。

2009-03-08 14:49:21 | コードギアス
日本の皇室で天子様と年齢的につりあう方はいらっしゃるか?





「皇の血筋のお方で12歳から20歳ぐらいまでの男子はいらっしゃらないか」
グラスの冷茶に数秒月光をすわせて、月の力を借りようとするように一息に飲んでから、星刻は問うた。
「今の皇は神楽耶様おひとりだ」
「それは公式の方だな。公式には認められていない方も含めてではどうだ?」
「私の知る限りもう誰もいないが」
庶子を含めてという意味なら、5代前の当主の子孫が以前はいた。それさえもフレイアで死んでいる。
「そうか、日本の皇の血筋のものならば天子様も打ち解けやすいと思ったのが、いらっしゃらないのでは仕方ない」
はぁと星刻は息を吐く。
ため息のように長く。
「疲れているな」
精神もだろうが身体も疲れている。藤堂の見るところ今の星刻は、普通のナイトメアに乗れる状態ではない。
そんな星刻が神虎に乗れるのは、神虎がパイロットにとても優しい機体だからだ。神虎のコクピットに居る間、星刻は1秒間に30回も血液の酸素濃度・血圧・体内圧など50項目を精査される。それに応じて神虎はコクピット内の温度・湿度・酸素濃度などを変化させる。だから最近の星刻は少しでも調子が悪いときは神虎にこもる。
「コクピットはパイロットのゆりかご」。ラクシャータは主張する。それぐらい安全に造ろうと。
「そのまんま、棺おけにもなるしねぇー」
横から茶々を入れたのは誰か、名を書くまでもないだろう。