上海事変19
打ち鳴らされる銅鑼。
純白の髪の天子の唇から始めての言葉が発される。
「洛陽の支配者の名において、黎武官を謹慎処分と処す」
星刻が見たのはここまでだが、儀式はまだまだ続く。文官筆頭、武官筆頭が天子からの勅令を受け取る。これを持って中華の官使はずべて天子の正式な家臣となる。星刻のために始めた事だが、本当に重要なのは文官武官への勅令の方だった。これでたとえ実質はどうであれ、天子の親政が始まったのだから。これからは全ての文武官の生殺与奪を天子が定める。同時に国に対する全ての責任が彼女にかかる。何かあったとき一番に処刑される身と成った。
裏方の指揮を執っていた女官長が、両手を握る。彼女の夢は果たされた。後宮に生まれ、天子に仕える事だけを教えられ生きてきた。しかし、その生涯のほとんどにおいて天子は傀儡に過ぎなかった。ようやく天子が本当の天子になった。
この日の最大の功労者は女官長で、最大の幸福感を得たのも女官長であった。
放送された映像は数分であったが、儀式は延々6時間に及んだ。体力の無い文官がばたばた倒れるハプニングこそあったが、おおむね順調に進んだ。というのも星刻と対立している派閥にしても、天子の公認を受ける事は箔をつけることになり損にはならない。
6時間天子は黄金の椅子で微笑んでいた。その名役者ぶりは、香凜も舌を巻いた。これが皇帝家の血というものなのかとなにやら空恐ろしくなるほどだ。昨夜、パンダのぬいぐるみを抱っこして眠った少女とは思えない。
さて、すっかりお尻が痛くなった天子がようやく自室に戻った。
部屋に戻って最初にすることはしんくーを抱っこして今日のことを報告する事。
「ねぇしんくー。私うまくできた?」
打ち鳴らされる銅鑼。
純白の髪の天子の唇から始めての言葉が発される。
「洛陽の支配者の名において、黎武官を謹慎処分と処す」
星刻が見たのはここまでだが、儀式はまだまだ続く。文官筆頭、武官筆頭が天子からの勅令を受け取る。これを持って中華の官使はずべて天子の正式な家臣となる。星刻のために始めた事だが、本当に重要なのは文官武官への勅令の方だった。これでたとえ実質はどうであれ、天子の親政が始まったのだから。これからは全ての文武官の生殺与奪を天子が定める。同時に国に対する全ての責任が彼女にかかる。何かあったとき一番に処刑される身と成った。
裏方の指揮を執っていた女官長が、両手を握る。彼女の夢は果たされた。後宮に生まれ、天子に仕える事だけを教えられ生きてきた。しかし、その生涯のほとんどにおいて天子は傀儡に過ぎなかった。ようやく天子が本当の天子になった。
この日の最大の功労者は女官長で、最大の幸福感を得たのも女官長であった。
放送された映像は数分であったが、儀式は延々6時間に及んだ。体力の無い文官がばたばた倒れるハプニングこそあったが、おおむね順調に進んだ。というのも星刻と対立している派閥にしても、天子の公認を受ける事は箔をつけることになり損にはならない。
6時間天子は黄金の椅子で微笑んでいた。その名役者ぶりは、香凜も舌を巻いた。これが皇帝家の血というものなのかとなにやら空恐ろしくなるほどだ。昨夜、パンダのぬいぐるみを抱っこして眠った少女とは思えない。
さて、すっかりお尻が痛くなった天子がようやく自室に戻った。
部屋に戻って最初にすることはしんくーを抱っこして今日のことを報告する事。
「ねぇしんくー。私うまくできた?」