【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

点字ブロック

2018-03-16 21:32:20 | Weblog

 「点字ブロック」の正式名称が「視覚障害者誘導用ブロック」であることを知らない人は多いでしょう(実は私も知りませんでした)。だけど、それが何種類あるか、は地面をしっかり見たことがある人はわかるはず。さて、何種類?

【ただいま読書中】『ニンテンドー・イン・アメリカ ──世界を制した脅威の創造力』ジェフ・ライアン 著、 林田陽子 訳、 早川書房、2011年、1600円(税別)

 アーケードゲームが全米で25セント貨を大量に集めていた時代、NOA(ニンテンドー・オブ・アメリカ)は苦戦していました(というか、アタリの牙城に挑戦した会社はどこも苦戦していたのですが)。売れないゲーム筐体を大量に抱えたNOAは、半ばやけくそで勝負に出ます。「ドンキーコング」という名前の「冴えない中年のおっさんが、一発も銃弾を撃たずににビルをよじ登るゲーム」です。
 「ドンキー・コングはキング・コングのパクリだから、金を払え」とユニバーサルが訴訟を起こします。それに対するNOAの社外弁護士ハワード・リンカーンと彼が雇った辣腕の法廷弁護士ジョン・カービィは、実に堂々と弁論を展開、完璧な勝利を得てしまいます(後にハワード・リンカーンはNOAの上級副社長、会長まで上り詰めます。ジョン・カービィは「ドンキーコング号」と名乗ることを許された世界唯一のヨットを贈られましたが、それよりものちに発売された「カービィ」と名付けられた人気ゲームシリーズの方がもっと大きな“報酬"だったかもしれません)。
 ゲームデザイナーの宮本茂は、「マリオは大工ではなくて配管工だった」ことに気づき、その方向でゲームをデザインします。タイトルは「マリオブラザーズ」。ちょっと待った。すると「マリオ」は姓なの?それとも名? このゲームの画期的なところは「協力と競争」が持ち込まれたことです。「ストーリー」という点で、画面には「下水管掃除」以外のものはありません。「ストーリー」はプレイヤーと、一緒にプレイする友人との間に生まれるものになったのです。
 アメリカの家庭用ゲーム機メーカーが続々倒産し始めました。任天堂の山内はそれを“チャンス"と見ます。巨大な空白地帯が市場にできたわけですから。83年7月15日「ファミコン」が日本で発売されます。そしてあっという間に任天堂が世界の家庭用ゲーム機市場の支配者に。しかし山内は油断しません。以前の「アタリ・ショック」を忘れず、堅実に拡張路線を歩み続けます。
 ライバルとして登場したのはセガの「ソニック」でした。マリオとソニックの対決はしばらく続きます。ゲーム機に新機軸を持ち込んでセガをリードしようと、任天堂はソニーと組んでCDによるゲーム機開発を始めます。最初に発売されたのは「任天堂プレイステーション」。任天堂はすぐに訴訟を起こしてスーファミ互換がない「プレイステーション」が発売されることになります。
 結局セガは撤退。するとこんどはMicrosoftのXboxが登場します。ネットゲームがしたければXbox、バラエティーのあるゲームだったらプレステ。だったらニンテンドーのキューブは何のために? 「マリオのゲームをするため」です。
 本書の最後に登場する「任天堂のライバル」はアップルです。なるほど、そういう視点から“この業界"を見たことはありませんでした。ただ、アップルとの競争にマリオの出番はないでしょうね。