人は、公私で態度を使い分けます。さっきまで子供をぎゃんぎゃんしかっていた母親がかかってきた電話には極めて愛想良く対応して電話を切ったらまたさっきのお怒りモードに即座に戻る、なんてこともありますよね(私の体験談です)。基本的に、他人と身内では、感情的になる度合いは相当に差がある(10倍くらい?)ように私は感じながら育ってきました。
ところで、安倍首相は、国会答弁でも気に入らないことがあると色をなしますね。国会という公的な場所でもあれだけ感情的な反応をする、ということは、カメラが入らないような衆人環視ではない場所ではあれの10倍あるいはそれ以上激しく感情的な反応をしている、ということなのでしょうか?
【ただいま読書中】『バースデーボックス』金原瑞人 監訳、メタローグ、2004年、1300円(税別)
金原瑞人さんが属する(主催する?)翻訳者グループが、それぞれが自分で見つけて訳して持ち寄った短編の中から、選りすぐりのものだけを集めた短編集、だそうです。
目次「ザ・サウスポー」ジュディス・ヴィオースト/金原瑞人、「人生の秘密」ブルース・コウヴィル/井上千里、「わたしを見て、きれいなんだから」ベン・ライス/井上千里、「イースターエッグ・ハント」ミシェル・ロバーツ/ふなとよし子、「こんなふうにあなたのパパと出会ったの」スパークル・ヘイター/井上千里、「ハート」マルリー・スイック/ふなとよし子、「幸せな真空状態について」スティーヴン・ドビンズ/井上千里、「バースデー・ボックス」ジェーン・ヨーレン/西田登
これはもう、内容の傾向が予測不能です。ただ、先日も書きましたが、私は金原さんの「目」を信用しているので、ストライクゾーンのど真ん中ではないにしても大きく外れたクソボールではないだろう、と思いながらページを開くことにします。
たしかに雑多なおもちゃ箱のような短編集でした。共通しているのは「面白いこと」と「友情や愛情が軸」ということだ、と一人納得しながら読み進めていたら、第七編の「幸せな真空状態について」でびっくり。冒頭で、横断歩道を渡っていた人が空から落ちてきた豚にたたき潰されて即死してしまうではありませんか。ところがそこから話はちゃんと「共通のテーマ」に着地し、さらにはちょいと哲学的なテーマまで提示してくれます。
やっぱり短編集は良いなあ。おっと、訂正。短編集も良いなあ。もう一回訂正。面白い短編集は良いなあ。