「膝を打つ」……痛い
「打者」……打つ人または打たれる人
「軽打」……軽さを打つ
「安打」……安く打つ
「本塁打」……本塁を打つ
「博打」……博士を打つ
「枝打ち」……木の枝を打つ遊び
「値打ち」……値段を打ってみる
「碁打ち」……碁石を的にする
「打線」……打たれた線
「打ち明ける」……打って明ける
「投げ打つ」……なにかを投げてから打つという難しい芸
「波打ち際」……波を打ちのめす際に、の略
【ただいま読書中】『ビン・ラディン暗殺! 極秘特殊部隊シール・チーム・シックス ──あるエリート・スナイパーの告白』ハワード・E・ワーズディン/スティーブン・テンプリン 著、 伏見威蕃 訳、 朝日新聞出版、2012年、2200円(税別)
SEAL(シール)はアメリカ海軍の選りすぐりを集めた特殊部隊ですが、その中での選りすぐりを集めた部隊がSEALチーム6です。(陸軍だと、選りすぐりの特殊部隊がグリーンベレー、その中での選りすぐりがデルタ・フォースとなるそうです)
著者はとんでもなく厳しい教育と訓練をくぐり抜けて航空機搭乗員学校に合格。そこで活動しているときにシールに出会い、「エリート」集団に加わりたいと切望します。しかし入隊試験(体育選抜試験)は、平泳ぎか横泳ぎで500ヤードを12分半以内に泳ぎ、10分休憩後2分以内に腕立て伏せ42回、2分休憩後2分以内に腹筋運動を50回、2分休憩して鉄棒で懸垂6回、10分休憩後ブーツを履いて1.5マイルを11分半以内に走る、というものでした。知力試験、身体検査、心理試験もあります。100人が受験し、合格したのは著者一人でした。ところが、訓練学校に入ってからも同じ体力選抜試験があり、それに失敗したら首になるのです。気を抜く暇がありません。さらに訓練では、けが人や脱落者が続出。それをくぐり抜けて、ついに著者は念願のシール隊員となります。
そこで聞いたのが、SEALチーム6の噂です。機密のはずですが、シール内部だと、この常設の対テロ部隊の話はどうしても漏れてくるのでしょう。著者も当然この部隊入りを望みますが、その前に戦争に行かなければなりませんでした。砂漠の嵐作戦です。
そしてまた選抜試験。著者は優秀な成績でこの試験を突破し、ついにチーム6に採用されます。
ここはちょっと不思議な世界です。軍服ではなくて平服を着、SEALでは禁止されている長髪や髭もOK。希望する学校で高等教育をうけることもできるのです。著者はチーム6の活動をしながら、スナイパー学校に入校します。そこでは、狙撃の技術だけではなくて、観察や忍び寄りの訓練も厳しく行われていました。さらにはブリーフィングの技術も。狙撃手の仕事は、単に引き金を引くだけではないようです。
最初の実戦はソマリアでした。国連軍やCIAとの共同作戦です。そういえば映画「ブラックホーク・ダウン」の現場でしたね。そう、著者はその“現場”に突入するのです。ここでの細かい描写は、体験者だけあってリアルです。映画2本分くらいの密度があります。
ただ、私が感銘を受けたのは“その後”でした。人を何人も殺し重傷を負って退役をした著者が、こんどは「命を救う側」に回るのですから。ぽきぽきとさりげなく書かれた文章からは“エリート軍人”の複雑さが伝わってきます。
タイトルからは「ビン・ラディンの暗殺について述べた本か」と思いましたが、それは本文には登場しません。また「チーム6」で名称が統一されていますが実際には今は別の呼び名となっています。ただ、「経験者」にしか書けないことがここまで書かれた本を読んでいると、逆に私は心配になってきます。退役軍人にも守秘義務があるのではないか、と思いまして。たぶんそれをクリアしたから出版できたのでしょうが、すると、本書に書かれなかった“真実”はどのくらいあるのかな、ということも気になります。きっとそれは「小説よりも奇なる世界」だったはずです。