足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1521 ~ ムツトゲイセキグモ ~

2017年10月03日 | クモ

観 察 月 日   2017.9. 10.晴 28℃

観 察 場 所   山北町 玄倉 (秦野峠林道)

 秋晴れだ。林道沿いの木々も草も青々としている。ススキの

根元に横文字を走り書きした様な隠れ帯びを付けて、ナガコガ

ネグモが虫の掛かるのを待っている。いつもの事だが、隠れ帯

びは不思議だ。 

 「アッ!この卵嚢イセキグモのものですよ」クモに詳しいOさん

がウツギの葉を引き寄せて作った、それを指さした。

 我が国には、イセキグモの仲間は、マメイタイセキグモとムツト

ゲイセキグモの2種いる。その上出会うのは超難しい希少なクモ

だ。Oさんは、どっちのイセキグモに入るのか、頭を巡らしている

様だが落ち付いている。私の方がイセキグモと聞いた事で、やや

興奮気味だ。

 それは随分前の話になるが、海外にはクモが糸で玉を作り、そ

れを糸で吊るし、揺らしてガを捕える習性を持つナゲナワグモ類

のクモは居るが、日本には存在していないと思われていた。

 だが、ひよっとすると、イセキグモが投げ縄の習性を持っている

のではないかと考えていた新開栄一さんが観察を続け、日本で

初めて投げ縄の習性のある事を発見記録し、“アニマ”にその結

果を発表したものを読んだ事を思い出したからだ。

 Rさんがクモの図鑑を持っていたので、ムツトゲイセキグモと解り

、1mほど離れた所にもう一つの卵嚢も見つかった。

 実は以前、玄倉林道のススキの藪でマメイタイセキグモとも出会い、

卵嚢を親が抱き守っていた様子を、丹沢大山だよりに記載した事が

ある。その時も、夜、投げ縄の様子を観察したいと思ったのだが。

秋晴れだ!今日はいい事がありそうだ!

ナガコガネグモ 不思議な隠れ帯を張って。

ムツトゲイセキグモの卵のう。

すぐ横に 親が守っているのだろう!

葉に指を触れても反応しない。

すぐ横に もう一卵のう。

 


 No. 1520 ~ バイキンマンと呼んでみて!

2017年10月01日 | 昆虫

観 察 月 日   2017.9. 10.晴 28℃

観 察 場 所   山北町 玄倉

 林道にアブラゼミの♀が落ちていた。懸命に足を動かす

が、右に少し回転するがそれ以上の力は無い。翅も擦り

切れている。無事、産卵は出来たのだろうか。

 空は青く、空気はさわやか、チリも少ないのだろう。太陽

からの輻射熱は強いが、既に夏は過ぎセミの季節は終わ

っているのだ。

 道端のイタドリの花が、株によっては白く紅く目を引く。一

見乾燥している花の様に見えるが、昆虫が集まる所を見る

と、蜜が豊富なのだろうか。夏の頃だと昼寝をしているユマ

ダラエダシャクが、花の上を歩いてはストローを伸ばしてい

る。ヤマボウシ等の林の果実の実りには早いのか、アカス

ジキンカメムシが吸蜜に来ている。

「アンパンマンのバイキンマンが可愛いですよ」Rさんが呼

びに来てくれた。先程からススキの葉に食痕が見られたの

で、気にとめていたのだと言う。

 バイキンマンとは、私たち仲間の間で呼んでいる名で、実

はクロコノマチョウ幼虫の事だ。幼虫はススキの葉の裏か

ら頭を出して葉を食べ、あたかも窓から顔を出している状態

で可憐に見える。

 もう何年前の事だったろうか。或る日「この虫、アンパンマ

ンに出て来るバイキンマンにそっくりだわ!」当時小学生で

あったRちゃんがはしゃいで見せてくれた。私たち大人は気

に入り、それ以来バイキンマンと呼んでいる。そのRさんは今、

千葉大の教育学部で教師を目指して勉学中だ。

セミの季節は終わった。

イタドリにユウマダラエダシャクが。

アカスジキンカメムシもやって来た。

「バイキンマンが可愛いですよ!!」と。

近くの葉裏に もっと若い幼虫が・・・

ススキが映える 秋ですね!

★ 今年の秋も 玄倉は賑やかそうです。