<あれも聴きたい、これも聴きたい> ボッケリーニのギターと管弦楽
今回ご紹介いたしまするLPレコードは、ミューズで和声学の講座をやられております服部修司さんのリクエストによるものでござりまする。
服部さんと私とは、ふるーい古いお付き合いでござりまするが、その服部さんが最近になって、「おみゃぁさん、こんなレコードもっとるきゃぁ?」とお尋ねになりました。そのレコードというのが、今回ここに取り上げましたるイタリア生まれ、スペインかぶれのルイジ・ボッケリーニさんの作曲した交響曲二短調≪悪魔の家≫副題を<地獄>という、なんだかおどろおどろしい名前の曲と、ギターと管弦楽のための協奏交響曲 ハ長調というもの。
確かに今時こんなレコード、どこへ行ったって売っとりゃせん。レコード屋さんで見たこともないし、CDになって再発しておるのかどうなのか、それもわっかりゃせん。
でも、我が古き友人、服部修司さんは「どぉしても聴いてみてゃぁ」とおっしゃった。じゃが、今も言ったように、CDになっとる気配もないので、ミューズへLP持って行ってかけてもらうわけにもいかん。こうなりゃぁ、服部さんの替わりに自分で聴くしかないわな。自分で聴いて、その感想を服部さんに伝えるしかない。そう思って今日2枚あるこの曲のレコードを2枚とも聴いてみた。
ちなみに演奏者を言っておくと、1枚目がウンベルト・カッティーニ指揮、ミラノ・アンジェリクム合奏団。ギター独奏はエレナ・パドヴァーニ。もう一枚がJiri Starek(発音が分りませぬ)指揮、リアス・シンフォニエッタ。ギター独奏はソーニャ・プルンバウアー。エレナさんとソーニャさん。両方ともなんと女性。特にソーニャさんはジャケットの裏に写真が載っておるので見てみると、今でいうならタレントのベッキーに良く似たなかなかかわいい女性。
しかし結果どうだったってか?そりゃぁもうおめぇ、悪かねえよ。メロディもきれいだし、響きもきれい。リズムも調子ええし、長さもあんまし長くなくて、ええんでないかい?
だがよ、おらもよ、ちょこっとばっかしよ、最近は認知症つうかアルツハイマーつうか、一遍見たこと聴いたことさ、すぐに忘れっちまうだぁよ。
協奏交響曲なんか2枚も聴いたによぁ、主題の旋律がよぉ、思い出せねえだぁよ。恐らくもう十篇聴いてもよぉ、おらぁおんなじだと思えてなんねぇだぁよ。
それにくらべりゃぁ、モーツァルトやベートーベンなんてよぉ、一遍聴いたらよぉ、頭さこびりついちまってよぉ、夜寝る時だってよぉ、耳ン中で鳴ってよぉ、眠れねえことがあるだぁよ。こりゃなんなんだぁ?どこさ違うだぁ?
ボッケリーニさぁも他にゃあ結構ええ曲も沢山書いとるだぁに、この2曲に関しちゃ、まぁ、なんちゅうか、そのぉ、駄作?っちゅうの?
協奏交響曲の最初の出だしんとこは、ちょこっと旋律らしい旋律が出てくるけども、その後はもうなにやっとるだか、なーんもわっかりゃせん。明らかに次の音を探りながら作曲してござる。音のつながりに必然性がまったく見られやせん。
おらぁももう少し若けりゃ、旋律を覚えられるかも知んねえけども、アルツハイマーなんかになっちまった日にゃぁおめぇ、超現代曲と殆んど変わらんど。
こうしてみると、やっぱ一流は違う! ハイドンやモーツァルトやベートーベンちゅうような、音楽の教科書に出てくるような作曲家はものすごぉ違うっちゅうことが、よお分ったわ。
でも、音楽ちゅうのはそんな一流の作品ばっかしではのぉて、こういう世に埋もれた作品を掘り出して聴くのも、結構楽しいことよねぇ。
でもひょっとしたら、ボッケリーニさぁも、「今更おらのこんな曲ほじくり出して、恥かかさねぇでけろ」とか言っておるかも知れんと思えるような思えねえような気がしたりしなかったり・・・・。
服部さんも今度一遍一緒に聴こみゃぁ。そして、いつかこんな珍しいレコードを、皆さんと一緒に聴くことできたら、楽しいだらぁねぇ。
内生蔵 幹(うちうぞう みき)8/19投稿より
| Trackback ( 0 )
|
確かに駄作っぽいな。協奏曲でもないし、交響曲にギターが割と大きな顔をして加わっている珍しい曲だけの感じだな。しかし裏がありそうだね。ギター好きのボッケリーニにしては密度がないし、誰かに頼まれて書いたのかな。「悪魔の家」の題名も曲の雰囲気に合わない奇妙な曲名だ。じっくり調べたら面白い話が出てくるかも。
それにしても内生蔵さんの博識・収集家ぶりはどれを読んでも感心するよ。名前の通り
内なる蔵(知識)からどんどん生まれ(湧き)てくるね。
これからも楽しみにしてます。