2010年2月9日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 村治教室、2010年弾き初め会
 毎年恒例、村治昇先生のお弟子さん達による弾き初め会が、今年もまた東京都台東区のミレニアムホールで行われました。昨年に続きお手伝いに呼んでいただいた私にも、一部おなじみの生徒さんができ、会う度ごとの目覚ましい上達振りを見るのもひとつの大きな楽しみになってきた行事です。
 毎年大勢の参加者に驚かされるのですが、今年はさらに増えて、70名を越す大人数。その舞台裏は戦争のよう。大人の生徒さんをはじめ、先生の教室で講師を勤められているプロの方々も総出で子供達の出番の整理や楽器の調弦をやられるのに加え、楽器の販売で有名な「メディア・カーム」の代表酒井さんはステージマネージャーとして大活躍。それはもう一大イベントです。
 まずは朝の9時に会場入り、10時前から少し大人の生徒さん達のリハーサルが始まります。この大人の方達といっても随分大きな方が多くて、(体が大きいというわけではありませんよ。あとで出てくる小さな子供達に比べてかなり年齢を重ねた方という意味です)中には若い頃から何十年も村治先生の教室に通って来られている方もおられるようです。
本番は11時かっきりに始まり、ひとりひとりソロを披露。一組だけお二人でソルの二重奏を弾かれた方もおられましたが(この二重奏がなかなか良かった)、その方達もきちんとお一人づつソロも弾きます。そして最後は大人全員(15名ほど)によるオーケストラバックで2曲を披露。この時点で12時45分。第2部は1時半からなので、それまでは全員昼食タイム。
 第2部はお待ちかね、ジュニアの部です。一番下は幼稚園の年中組みからはじまり数人づつステージに上がり村治先生や講師方の伴奏で一人ひとりが順番に弾いていきます。まあそのかわいいことといったら見ている方としてもたまらなくて、つい顔が緩んできてしまいますが、当然そのころには沢山の親御さんたち親戚一同で会場はいっぱいです。当然「わが子、わが孫の晴れ姿を・・・」とカメラやビデオが沢山並びます。自分のお子さんがステージの上でギターを構えていっぱしに演奏している姿は感動ものなんでしょうね。「あぁ、あの子が出てきた!」「あの子が椅子に座ってるゥ!」「あぁ、ちゃんと指を動かしてる!」「音が聞える!」とそれはもう大騒ぎなんでしょう。それに応えて子供達もちゃんとステージではお行儀よく、挨拶もきちんとしてとても得意げな子もいます。演奏が終わって会場に向かって手を振る姿もまたたまらなくかわいく、それだけでも会場がいっぺんに幸せな気分に包まれます。
 今回の呼び物は、なんといっても兄弟、姉妹による二重奏、三重奏です。8組のアンサンブルが行われましたが、なんと全員が村治先生のお弟子さんなんですね。つまり兄弟、姉妹そろって村治先生の教室に通ってくる子供達なんです。勿論年齢の近い兄弟もいますが、中には下は幼稚園で上が中学生という組み合わせもあって、ステージのネーミング通り「微笑ましいファミリー演奏」は大好評。いつでしたか村治先生とお話しているとき、「最近はいろいろ忙しくてちょっと疲れ気味なんですが、加えて発表会にどんなことをやるか考えなくてはなりません。でもそれがまた私の楽しみのひとつなんですけどね」とおっしゃっておられました。毎回少しづつ趣向の違ったプログラムを用意されて大変なことだと思いますが、その先生の期待に応えて小さな生徒さん達も精一杯実力をはっきしようと頑張っています。そんな光景を目の当たりにしていると、本当に村治先生のお弟子さんたちは幸せだなあと思いました。
 その後は去年コンクールに入賞した子供達によるソロ演奏が続きます。中でも感動したのは小学2年生の原田斗生君の弾くカバティーナと小学6年生の斎藤優貴君の弾く大聖堂でした。この二人の演奏には心底まいりました。なにしろ私が今までに聴いた同曲のどの演奏よりも完璧で、しかも感動的だったからです。勘違いされないようにもう一度いいますが、“どの演奏よりも”というのは“どんなプロの演奏よりも”という意味です。つまり私が今までに聴いたどんなギタリストの演奏やCDよりも素晴しい演奏だったということです。ギターの演奏を聴いて久しぶりに目頭が熱くなるのを覚えました。この演奏は皆さんにもぜひ聴いてもらいたいものです。「こんな子供達でも、これほど感動的な音楽を作り出すことができるのだ!」と、まさに驚異を覚えられることと思います。もはや「こんな子供達でも」などといってはいけないのかもしれません。
 独奏の最後は中学2年生の菅沼聖隆君が、リズミカルなお得意の南米の曲を演奏。会場をいっそう沸かせたあと、本日最後のステージはジュニアグループが、オーケストラバックによるジュリアーニのアレグロ・ヴィヴァーチェを楽しく演奏。2010年弾き初め会をしめくくりました。そして村治先生の「この次5月の発表会もみんな頑張ってね」のお言葉でやっと終了。
 朝の11時から始まって、この時点で6時15分。途中40分ほどの昼食タイムは入りましたが、もう大人たちはヘトヘト一歩手前?でもその後の打ち上げパーティで美味しいものがテーブルいっぱいで、子供達はまだまだ元気いっぱいといったところ。
 この2年ほど、ミューズサロンでのジュニアコンサートも入れて年3回、村治先生の教えを受けた子供たちの演奏を聴いていますが、そのたびに驚異的な成長を見せてくれています。彼らはこれからどんな演奏を聴かせてくれるのか、恐らく私の予想をまた気持ちよく超えてしまうんでしょうね。

内生蔵幹(うちうぞうみき)

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