2010年2月2日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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もう2月になってしまいましたね。今年初めての投稿になります。
先週の土曜日(1/30)は松田先生の公開レッスンとコンサートでした。もう77歳になられたそうですが、現役でご活躍されていらっしゃいます。私も23歳の頃に松田先生のレッスンを半年ほど受けていましたが、それ以来の再会でしたので、懐かしく昔話にも花が咲きました。
「初レッスンの時ですが、先生は覚えていらっしゃらないと思いますが・・・。」
「何を?」
「私がソルのエチュードを弾き終わった時の先生の第1声が『君、上手くなりたいんだろう?』だったんですよ。」「変なことを訊く先生だなと思いつつ、はい!と答えると、先生がこう仰ったんですよ。」
「なら、このギターじゃだめだ!」
「はは、そんな事言ったかな。」
「私が、ではどんなギターがいいんですか?と訊ねると、先生は、せめてラミレスくらい買いなさいと仰ったんですよ。今から37年前で当時36万円していましたが、私は分割で買いましたよ。」
「そんな事があったかなあ?はははは」
とこんな和やかな会話をしながらホテルからミューズまで移動いたしました。
先生も昔に比べると柔らかい感じになられており、これならレッスンも穏やかに進みそうだなと安心した次第です。

予想通り、レッスンでは「決して私の言うとおりに弾く必要はありませんが、」だとか「いろんな人が居ますから、自分の世界に留まりたい方は留まっていただければいいんですが・・」と言いながらも、一つ一つの音の出し方、音色、表情のつけ方などを懇切丁寧にレッスンしていただきました。セゴビアのお弟子さんでもありますから、ポーンと言うアポヤンドの美しい音を見事に出されますし、その後アルアイレでの音は澄んだ透明感のある、輪郭のある音で繋いでその見事な対比を自然になさいます。これは若いギタリストには出来ないプロの職人芸とでも申しましょうか。私もレッスンを聴講しながら、大変勉強になりました。

演奏は、若い頃のようなテクニックはないにせよ、熟練した演奏を聞かせてくれました。1892年のトーレスの魅力をたっぷり聴かせて頂きました。芯のある音ですが、裏板が割れていて、割れ目から向こう側が見えるんですよ。修理をするのに抵抗があるとのことで、そのまま使っているそうです。修理した方がもっと力強い音になると思うのですが、修理をして変になりはしないか心配なようです。これは前日にサロンの下見にお見えになった折に楽器を見せていただいた時の話しですが、その時に私は「チョット楽器を触らせていただいてよろしいですか?」と言い、ほんの20秒ほど音を出させて頂いたのですが、後で聞いたところ今まで誰にも触らせたことがないそうで、今まで音を出したのはハウザーⅢと私だけだそうです。「うわあ、そんな事も知らずにずうずうしく触らせていただき申し訳ありません」と謝りました。

そして、今回は打上げを昔懐かしい人達とだけで和やかにさせて頂きました。普段なら受講者も交えて行うんですが、打ち上げ会場のスペースの問題もあり、松田先生の奥様、荒井貿易の荒井会長、フジタ美装の藤田さん、リューティストの中川さん(彼も昔のお弟子さん)などと昔話に花を咲かせて楽しい時間を過ごさせて頂きました。
山下 高博

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