2007年9月26日のブログ記事一覧-ミューズの日記
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<あれも聴きたい、これも聴きたい> 村治佳織 in KYOTO & OSAKA

 9月も終盤にさしかかった23日(日)と24日(月)、京都府城陽市と大阪府富田林市において、村治佳織のソロリサイタルが行われたが、まだまだ厳しい残暑のなか、いずれも全て満席といういつもながら佳織ファンとしてはとてもうれしい環境の中でのコンサートであった。京都の方は収容人数400、大阪は800と、彼女のリサイタルとしてはさほど大きくないホールであったが、音響条件のことを考えると、いつものPAシステムが有った方が良いのではということから、急遽システムを持って会場へ赴くこととなった。行ってみるとたしかに京都の方は会場の反響がまったくない。おそらく400人といえども、これでは会場の最後列ではほとんどギターの音は届かないであろうと想像される。プログラムは2会場とも同じ内容

曲目を挙げておくと
第一部
J.S.バッハ/リュート組曲 第一番 ホ短調 BWV996
      /シャコンヌ
武満 徹編曲/ロンドンデリーの歌
A.ヨーク/サンバースト
第二部
E.サインス・デ・ラ・マーサ/暁の鐘
F.M.トローバ/ラ・マンチャの歌(全5曲)
F.ターレガ/アルハンブラの想い出
J.ロドリーゴ/フェネラリーフェのほとり
M.デ・ファリャ/粉屋の踊り

この中で私として初めて聴く曲としてはバッハのシャコンヌとファリャだったが、いずれの曲も心底驚いた。こんなことをいうと佳織さんや佳織ファンの方々にしかられてしまうだろうが、まったくもって女性らしくない。私としては2回目となるトローバでもそうだが、なんとも颯爽としてダンディなのだ。かっこいい男性が弾いているかのように研ぎ澄まされた演奏スタイルなのである。とくにシャコンヌなどは一緒に行った友人が感激して目に涙を溜めているほど。またトレモロあるいはトレモロを含んだデ・ラ・マーサ、ターレガ、ロドリーゴはその技巧と表現の冴えに拍手も一段と大きいようであった。まったくもって彼女の弾くトレモロの素晴しさは、表現しきれないほどいつも美しい。勿論最後のファリャでは女性らしからぬ迫力で会場を圧倒。あちこちからため息が聞えるほどであった。とにかく現在これほどの安定感とセンス、そして華やかさを感じさせてくれるアーティストはめったにいるものではない。この夏長くスペインの空気を呼吸してきた彼女は、このところますますの冴えを見せるようになってきたようだ。ぜひ皆さんも機会があれば彼女の演奏を聴いてみてほしい。きっと本当の音楽とは何なのかに気付かされることと思う。私は最近の彼女の演奏には、あのヴァイオリンの巨匠「ハイフェッツ」のようなものを感じることがある。
内生蔵 幹(うちうぞう みき)

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