日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

上海の高齢化率20%突破

2009-04-09 | 中国経済関連
 上海市の高齢化率(60歳以上人口)が昨年300万人増加し、4.8%も比率が上昇して21.6%と中国の平均の2倍、中国で最も高齢化した都市になったそうです。
 
 日本の高齢化率の計算は65歳以上の人口で行い、昨年22%ですので60歳以上にすると団塊世代が含まれることから30%近いのではないかと思いますけど、上海市自体も高いですね。

 80歳以上の人口が53万4千人でそのうちの20%がデイリーケアを要するとの事。

 今の60歳前後って、毛沢東時代の人口増加政策に沿ったそうなので、今後急激に高齢化率は高まっていきますね。上海の場合全国平均の2倍ということですからいささか極端な例かもしれませんが、今後の高齢化対策をどうして行くか?

 若年層労働者は外地からどんどん参入して苦でしょうから、その辺の需給ギャップは懸念しないのですが、厳格な戸籍制度の適用をどうするかとか、今後の中国の社会構造の変化に対するモデルになりうるか否か。興味深いですね。
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世界の人口にしめる中流人口が3分の2に

2009-04-09 | その他

 新興国の発展により、世界の中流人口が急激に増加しているという英文エコノミストの記事です。私自身は今中国で格闘していますし、最近は中国市場を狙う進出の話ばかりを耳にしますが、確かに中国は文化的に近いところから攻めやすい面もありますが、もっと視野を広げるべきかもしれません。中国の場合、中国人自体が器用で日本の真似を直ぐに行う、国としては国内企業の保護育成の意識が実は非常に高い、根深い歴史問題、国内の余りにも拡大した所得格差等のネガティブ要因を幾つも抱えており、中国1国に依存する事はそれはそれで大きなリスクだとも考えています。

 アジアの国別に中間所得層(それも記事にあるように、世界水準の中間所得層)が何人いるかわかると面白いですね。数的には中国が圧倒的に多いと思いますけど、東南アジア諸国等も魅力が有ると思います。それに中国では日本企業は欧米企業に大きく後塵を拝しており、様々な問題から中々それを克服する事は良いではないですから、もっと効率的に稼ぐ機会が他の国にあるのではないかな?とも思ってしまいます。

  



 記事としては、

・ブラジルの悪名高き貧民街に初めて、ブラジル最大の小売チェーンが出店した。支払いはクレジットなどで行われる

・中国では、1992年に元交通局官僚が政府の指導も有り最初の商品先物取引企業を設立。その後中国始めてのスキーリゾートをハルピンに作り、現在は北京郊外のスキー場の責任者をしている。今年は、300万人の中国人がスキーをするようになった。中国人はお金を持つと最初はタイや韓国に旅行をするが、今はスキーをしたがる。毎週末IT企業の経営層や銀行員、メディア関係者が集まってくる。

・インドでは、2008年にムンバイでテロリストがホテルを攻撃した後、従来政治には関心を持たなかった英語を話すエリート達が集まって、治安保護に関する立法を要求した。中流層が政治に参加するきっかけとなった。

・MITの貧困対策研究所によれば、英国とアメリカの例をとり市場経済の萌芽により民主主義も勃興すると期待している。現在世界経済は1930年以来の危機であるが、世界銀行は新興国で急成長している中間所得層の消費が経済回復のきっかけになるとみている。

・中間所得層は先進国製品の消費者として経済的に貢献するだけでなく、民主主義をつくり発展させる鍵になる。

・アメリカ経済学会のファーレル氏は、中間所得層は一般に、最低生活費用を使う以外に、所得の3分の1を消費に回すという。これらは単に車や家電を買うだけでなく、健康や子供の教育に使われる。

・中国では、成都や重慶等の西部の大都市でも年間3000ドルあれば通常の生活は賄える。北京や上海ではもっと掛かるので、当然中間所得層の定義は異なってくる。

・一般に新興国では二つの中間所得層がある。一つは先進国の平均所得水準の層で自国の中では高所得層に属する。この水準になると、まだ世界人口の10分の1にすぎない。

 もう一つは自国の中での中間所得層であり、ここ1-2年で世界の半数を超えた。1990年には1/3しかいなかったのが2005年に49%荷まで増加した層である。

 インドのエコノミストの、一日に10ドルから100ドル稼ぐ層(1000円から1万円)という別な定義での調査を見ると、同様に1990年の1/3から2006年に57%まで増加した。

 これは、市場3回目の中間所得層の急増であり、最初は19世紀の大量生産時代に西欧で発生し、2回目は1950年から1980年代に西側諸国で発生。そして現在は主に新興国で発生している。中国とインドの人口の大きさも影響しているでしょうが、中間所得層人口の数という意味では、アジアは既に西側を追い抜いたが、これは1700年代以来のことである。.

 世銀の調査によれば、中間所得層の増加は消費を益々促し、その増加スピードを加速するとの事です。

 中国では1990年から2005年の間に中間所得層は15%から62%に増加。インドでは今同じ事が起きており、現在中間所得層は5%にすぎないが2015年までに20%、2025年には40%に達すると予測しているそうです。

・現在は貧困国にとって、低価格な労働力を活用して世界市場で価格で戦い、豊かな国にも負けない高付加価値製品を提供する事ができるチャンスの時代であり、都市化も進み農民が農地を捨てて工場で働き生産性を向上させる。これにより社会の不平等も均質化されていき、安定する。

 この貧困層の中間所得化は今後20-30年は続くだろう。現在の中間所得層の数も2030年までには倍になるだろう。

http://www.economist.com/specialreports/displayStory.cfm?story_id=13063298
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漫画が助けたある日本人中国留学生の人生

2009-04-09 | 中国経済関連
オタクは身を助ける?
~日本動漫で救われた中国在住の日本人生徒

 日経ビジネスの遠藤先生の記事なのですが、今回はちょっと泣けるような話でした。
 1993年に13歳で親の仕事の関係で北京に住むことになった少年が、江沢民の愛国主義教育に直面し、大変な苦労を強いられていて中、セがサターンのゲームと日本の漫画に救われたという内容です。

 著者自信の子供の頃の経験と照らし合わせて、同級生からいじめられた経験は淡々と書かれていますけど、実際には精神的に本当に厳しい中生きてこられたのだろうと推察します。

 98年からアメリカのビジネススクールにパートタイムで通っていた頃、有る教授が「日本はかって電気製品や自動車など工業製品を輸出していたが、今では初めてマアニメやゲーム等の文化を輸出するようになってきた!」と発言され、同級生達(おっさん向けのコースなので皆大手企業の管理職)も一様にうなずいていて、日本人として誇らしく思ったことがあります。

 現在中国では外国のテレビやアニメは夜8時から10時までのゴールデンタイムでは放送されていません。自国のコンテンツ産業育成というのがその理由で、おかげで多くの年輩の中国人が眠る10時以降か、8時までの放送という事になります。近年は勧告ドラマが人気を博していた事から、それに伴い日本のコンテンツのテレビ放送は大幅に減少しています。一方海賊版DVDは相変わらず氾濫していますので、興味のある人はネットで調べて買っているとは思います。

 私の妻は実は、この記事の柏原さんと同じ年なのですが、知り合った頃に彼女の家に行ったところ日本の少女マンガの海賊版?が何冊も於いてあり、中高生の頃好きだったそうです。今でも彼女やその友人、お客さん達はほぼ同年齢層であり反日教育を強く受けた世代のはずなんですけど日本人や日本が好きかどうかは別にして、日本の可愛い系のキャラクターグッズは好んでいますし、日本製品も信頼しています。

 昭和の始めに生まれた厳格な父は、漫画を馬鹿にして嫌っていましたので、私自身は子供の頃布団に潜り込んで寝るふりをして漫画を見ていました。今は、そんな事も無いでしょうが、アニメ好きというとかなりネガティブなイメージがあります。日本の様に大人も楽しめる漫画・劇画が中国やその他の国で流行る処まではいっていませんけど、本来日本で最も重要な財産が技術力よりもアニメや漫画、ゲームなのかもしれません。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20090406/191147/?P=1
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中国ネットビジネス入門書

2009-04-09 | 中国EC事情・淘宝
 またまたアフィリエイト投稿です(すいません、ちょっと本棚整理しなきゃいけないもので)。

 上海には日系のコンサル会社が山ほどありますが、野村総研や三菱UFJ、日本総研等の大手日本のコンサル会社の現地法人に加え、主だった独立系企業が3社あります。鐘紡の総経理が作られた(元は子会社だったようですね)上海華鐘コンサルタントサービス、京都の会計事務所が母体のマイツという会計事務所、そして弁護士さんが中心で作られたキャストコンサルティングです。夫々中小企業を主体に数百社のクライアントを抱えていらっしゃいますが、現在その中ではキャストが最も規模が大きくなっており、売上も30億円程度かそれ以上になっているようです。


※この記事の続きは有料となります⇒中国市場進出/販売実践会

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天津伊勢丹

2009-04-09 | 日本・日系企業
 数日前に伊勢丹の蹉跌と、伊勢丹上海の失敗をブログに掲載したばかりなのですが、今日午前中から半日税関でぶらぶらせざるをえず、天津伊勢丹の元社長のかかれた「十五億人を味方にする 中国一の百貨店天津伊勢丹の秘密」という本を読みました。

 題名の15億人というのは、中国市場の実態とはかけ離れているとはいえ、日本では一般的には受けるのでしょうね。15億人とか13億人の市場という題名がやたらは立っている気がします。著者の意図ではないと思いますけど。

 天津伊勢丹が中国一というのも、言い過ぎではないのかな?と個人的には思います。天津はまだ中国国内では、北京、上海、広州につぐ段階の都市ですし、発展度合いは香港と隣接するシンセンよりも下、大連や青島と同程度ではないかと思いますが如何でしょう?

 といっても、天津にはもう5年も行っていないので変わっているでしょうね。それに5年前、ちょうど著者が天津伊勢丹の社長に着任された頃に実際にお店に行って、商品単価が日本並みの価格にもかかわずお客さんが沢山入っていたことが強い印象に残っています。そういう意味で、上海の二つの伊勢丹はお客さん少ないですね。品揃えとかブランドとかを比べた事は無いのですが、天津には他に有力な競合店がいなかったことも幸いしたのかとは思います。

 2006年には新店舗に移転されたようですが、規模も大きくなっているようですので、立派になったのでしょう。月末か5月に天津に行くので是非よってみようと思います。

 書籍の内容としては、初めて中国に総経理(現地法人の社長)として着任される方には絶対的にお薦めです。 

 TIC(this is China)問題と表現されていますが、是が中国だ!という内容を実体験に基づいて豊富に記述されていらっしゃります。また、その対処法として、サラリーマン経営者としての著者なりの考え方を教えていただけます。

 また、具体的に社員に会社の道筋を示し、忍耐強く指導し、理屈をもって説明するという、言葉では簡単ですが実行するのが大変な事をやり抜かれた様ですが、方に力が入っておらず非常にユーモラスに表現されていらっしゃるのは、自分自身が見習わなければと思わされました。

 でも伊勢丹って中国勤務にハードシップ手当(苦労代と表現されていますが危険手当のようなもの)をまだ支給されているのですね。4年前に今大騒ぎになっているGMの上海法人関係の仕事で、「GMは上海勤務でもハードシップ手当て出しているんだよ、ここの何処が危険で、遅れているんだ?」、とGMのコスト高をアメリカ人の製造アウトソース企業の社長が笑って話していたのですけど、大企業とはいえ超までつかない伊勢丹でもかとちょっと驚きです。

 中国の場合は、確かに著者の書かれる様に反日感情との直面や日本のようには行かないストレスを感じる事が多いのですが、そこまで酷くはないから現地採用で働きたい人が多い国の一つのはずなんですけど、まだまだ日本の大企業はそういう対応ができていないのでしょうね。

 後、面子を重視する中国人というご指摘が有りましたが、これはやはり北の方だからだと思います。上海、そしておそらく広東では上海以上に、面子はお金に変わります。面子だけでは人は動かないですね、たとえ役人でも。その辺は地域性の違いが有ります。逆に言えば北よりもやりやすいかもしれませんし、一方人は信用できなくなりますね。
十五億人を味方にする 中国一の百貨店 天津伊勢丹の秘密
稲葉 利彦
光文社

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