中国の第一四半期の経済成長率は6.1%と、昨今の世界各国のGDP成長率が金融危機の影響できわめて低い、もしくはマイナス成長であることを考えると非常に良い結果を残したというのは既報です。http://blog.goo.ne.jp/muchida3527/e/ff18f549f353df5e36bce03855b1fb11
しかし、今日の上海デイリーの記事によると、上海市の第一四半期の経済成長率は僅か3.1%に留まったとの事。http://www.shanghaidaily.com/sp/article/2009/200904/20090427/article_399045.htm
上海市は人口は外地人を入れて1700万人と中国の1%程度ですが、GDPは5%程度有りました。輸出主導経済を引っ張ってきた江蘇、せっこうを含む長江地区、広東省まで含めて考えないといけないのですけど輸出の減退が上海のこの結果に結びついていることになります。
記事抜粋:
上海市の第一四半期のGDPは3150億元(4兆6千億円)で、昨年同期の成長率が11.53%成長、今年の中国の6.1%を大きく下回った。上海市経済は工業製品の輸出に依存している為に金融危機の影響が大きかった。工業生産は昨年比で8.1%も減少し、市経済への寄与度は昨年の45.5%から39.5%に縮小した。サービス業が60.1%を占める事となった。一方金融、外食、不動産を含むサービス産業昨年比で13.1%も成長した。特に金融部門が26%も成長した。
上海の貿易量は26.3%も前年比で減少。輸入は特に32.1%も減。繊維、家具、玩具等の労働集約率の高い産業が特に酷いようです。
小売は14.1%増、外食は17%も成長した。
固定資産投資は1.7%成長
CPIは0.4%増、昨年が6.8%増だったことに比べると落ち着いています。
さて、金融セクターの成長というのがどういう根拠で出しているのか知りませんが、3月に銀行の融資額が急増しており、その融資が経営支援として使われるだけでなく株や不動産投資に使われているとの懸念があります。もし融資増の分を成長率として換算されるなら、サービスセクターの成長率自体も経済の実力を反映しているわけではないという事になります。
小売と外食の成長は凄いですね。不景気といいながら個人消費は依然として伸びているということになります。
一方懸念をもう一つ感じるのが、中国は輸出主導経済で過去の経済成長を達成してきており、一般に上海市の経済成長率は中国の成長率より上であったこと。上海と同じ状況は長江経済圏、及び広東省では発生していますし広東は中小企業が多いために上海より悪くなっている可能性が高いです。
上海の経済成長率が3%程度であるならば、これ等輸出主導経済地域の成長率も似たようなものでしょう。そうなると内陸部の成長率が10%近くないと国全体で6%の成長はできているわけが有りません。
中国の経済統計はかなりいい加減で、各省の発表する成長率と中国全体の成長率は何時もギャップが生じており、一般に各省の成長率を合算すると国家発表の物より高くなります。これは、各省の政府幹部の人事評価がその省、自治体の経済成長率などの目標の達成度合いによってなされる事により、実態より良く見せることが原因です。
さぁ、6.1%成長という第一四半期の経済成長の実態はどうなのか?そしてサービスセクター成長を牽引する金融セクターの成長率と将来のバブル崩壊や不良債権増加のリスクを含む融資の急増との関係はどうなっているのか?
消費の伸びは中国政府の強気の目標と、社会保険整備等の政策も影響しているでしょう。情報統制をされている国民だけに、大半の中国人は後10年もすればアメリカに追いつくと真面目に信じています。恐らく国家としてのGDPのサイズは今年中に日本を抜き世界第二位になるでしょう。そういうこともあり、現在も消費は好調です。
でも現実に起きている経済の実態はどうなのか?最近IMFや世銀等もやたら中国を持ち上げていますし、先日帰国した時に「中国一極経済」なんて特集をエコノミストがしていましたが、まだまだ様子見だと思います。上海の株価は昨年から見れば回復してきていますが、不景気な中で金融業界が26%成長って、誰がどう考えてもおかしいですね。というか金融は製造業や不動産業界等の固定資産投資の拡大によって通常伸びる物であり、メーカーががたがたになっている時に設備投資を積極的にするわけも無いので本来ありえない数字が出てきていると思います。これは、どう考えても経済成長の数字自体もメイキャップされているとしか考えられません。
参考までに単純計算ですが第一四半期の数字を、
上海市GDP 315億元 前年比 3.1%増⇒ 08年 306億元 9億元増加
金融セクタ 40億元 26%増 ⇒ 08年 32億元 8億元増加
金融セクターのGDP寄与をどう見るのかですが、貿易の減少を小売と外食の成長でカバーし、実際の経済成長はほぼフラット。残りは融資の増加(必要の無い貸し出しや救援資金)で一見経済成長しているように見せているのではないだろうか?とんでもない爆弾を抱えて表面を飾っているのではないだろうか?
経済に詳しい方に分析していただければと存じます。
しかし、今日の上海デイリーの記事によると、上海市の第一四半期の経済成長率は僅か3.1%に留まったとの事。http://www.shanghaidaily.com/sp/article/2009/200904/20090427/article_399045.htm
上海市は人口は外地人を入れて1700万人と中国の1%程度ですが、GDPは5%程度有りました。輸出主導経済を引っ張ってきた江蘇、せっこうを含む長江地区、広東省まで含めて考えないといけないのですけど輸出の減退が上海のこの結果に結びついていることになります。
記事抜粋:
上海市の第一四半期のGDPは3150億元(4兆6千億円)で、昨年同期の成長率が11.53%成長、今年の中国の6.1%を大きく下回った。上海市経済は工業製品の輸出に依存している為に金融危機の影響が大きかった。工業生産は昨年比で8.1%も減少し、市経済への寄与度は昨年の45.5%から39.5%に縮小した。サービス業が60.1%を占める事となった。一方金融、外食、不動産を含むサービス産業昨年比で13.1%も成長した。特に金融部門が26%も成長した。
上海の貿易量は26.3%も前年比で減少。輸入は特に32.1%も減。繊維、家具、玩具等の労働集約率の高い産業が特に酷いようです。
小売は14.1%増、外食は17%も成長した。
固定資産投資は1.7%成長
CPIは0.4%増、昨年が6.8%増だったことに比べると落ち着いています。
さて、金融セクターの成長というのがどういう根拠で出しているのか知りませんが、3月に銀行の融資額が急増しており、その融資が経営支援として使われるだけでなく株や不動産投資に使われているとの懸念があります。もし融資増の分を成長率として換算されるなら、サービスセクターの成長率自体も経済の実力を反映しているわけではないという事になります。
小売と外食の成長は凄いですね。不景気といいながら個人消費は依然として伸びているということになります。
一方懸念をもう一つ感じるのが、中国は輸出主導経済で過去の経済成長を達成してきており、一般に上海市の経済成長率は中国の成長率より上であったこと。上海と同じ状況は長江経済圏、及び広東省では発生していますし広東は中小企業が多いために上海より悪くなっている可能性が高いです。
上海の経済成長率が3%程度であるならば、これ等輸出主導経済地域の成長率も似たようなものでしょう。そうなると内陸部の成長率が10%近くないと国全体で6%の成長はできているわけが有りません。
中国の経済統計はかなりいい加減で、各省の発表する成長率と中国全体の成長率は何時もギャップが生じており、一般に各省の成長率を合算すると国家発表の物より高くなります。これは、各省の政府幹部の人事評価がその省、自治体の経済成長率などの目標の達成度合いによってなされる事により、実態より良く見せることが原因です。
さぁ、6.1%成長という第一四半期の経済成長の実態はどうなのか?そしてサービスセクター成長を牽引する金融セクターの成長率と将来のバブル崩壊や不良債権増加のリスクを含む融資の急増との関係はどうなっているのか?
消費の伸びは中国政府の強気の目標と、社会保険整備等の政策も影響しているでしょう。情報統制をされている国民だけに、大半の中国人は後10年もすればアメリカに追いつくと真面目に信じています。恐らく国家としてのGDPのサイズは今年中に日本を抜き世界第二位になるでしょう。そういうこともあり、現在も消費は好調です。
でも現実に起きている経済の実態はどうなのか?最近IMFや世銀等もやたら中国を持ち上げていますし、先日帰国した時に「中国一極経済」なんて特集をエコノミストがしていましたが、まだまだ様子見だと思います。上海の株価は昨年から見れば回復してきていますが、不景気な中で金融業界が26%成長って、誰がどう考えてもおかしいですね。というか金融は製造業や不動産業界等の固定資産投資の拡大によって通常伸びる物であり、メーカーががたがたになっている時に設備投資を積極的にするわけも無いので本来ありえない数字が出てきていると思います。これは、どう考えても経済成長の数字自体もメイキャップされているとしか考えられません。
参考までに単純計算ですが第一四半期の数字を、
上海市GDP 315億元 前年比 3.1%増⇒ 08年 306億元 9億元増加
金融セクタ 40億元 26%増 ⇒ 08年 32億元 8億元増加
金融セクターのGDP寄与をどう見るのかですが、貿易の減少を小売と外食の成長でカバーし、実際の経済成長はほぼフラット。残りは融資の増加(必要の無い貸し出しや救援資金)で一見経済成長しているように見せているのではないだろうか?とんでもない爆弾を抱えて表面を飾っているのではないだろうか?
経済に詳しい方に分析していただければと存じます。