キク科の高山植物は、
既に、「キオンとトウゲブキ」、「高山に咲くアザミとトウヒレン」、
ウスユキソウの仲間は「ジャパニーズ・エーデルワイス(1)」と「(2)」などでも、
取り上げているが、本頁では、それ以外のキク科を扱ってみた。
ミヤマアズマギク Erigeron thunbergii subsp. glabratus var. glabratus
は国内では北海道と本州中部以北の高山に分布する(北海道東部では低地にもある)
と言われるが、東北では少なく、私は早池峰山でしか見たことが無い。
よく似たアズマギク Erigeron thunbergii subsp. thunbergii は海岸や低山の乾いた草地で見かけるが、
山によっては1000mを超える高所にも現れる。
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、冠毛の色と長さで識別するとあった。
・アズマギク・・・・・・・冠毛は帯赤色、長さ5mm。
・ミヤマアズマギク・・・・冠毛は汚白色、長さ2.5-3.5mm。
2017/06/29 早池峰山にて。ミヤマアズマギク。
2017/06/29 早池峰山にて。ミヤマアズマギクとミヤマシオガマほか。
2017/07/20 早池峰山にて。ミヤマアズマギク。
2017/07/20 ミヤマアズマギク。バックはチシマフウロ。
2017/07/20 ミヤマアズマギク(白花)
ウサギギクはヒマワリを小さくしたような頭花がよく目立つ。
和名は葉の形がウサギの耳を思わせることに由来と聞く。
国内にはウサギギク Arnica unalascensis var. tschonoskyi
とエゾウサギギク Arnica unalascensis var. unarascensis の二種があり、
分布域も重なるようだ(北海道ではエゾが多い傾向)。
エゾの方は、筒状花の狭筒部が無毛とのことだが、フィールドで識別するのは難しく、
下写真三枚はひとまずウサギギクとした。
2016/07/23 月山にて。ウサギギク。
他にハクサンイチゲ、ネバリノギラン、ヨツバシオガマ、ハクサンシャジンなどが混じる。
2020/08/18 鳥海山にて。ウサギギク。
2020/07/30 鳥海山にて。ウサギギク。
2017/08/27 焼石岳にて。チョウジギク。
ウサギギクが出たので、同属のチョウジギク Arnica mallotopus も出してみる。
こちらは厳密には高山植物ではない。本州の日本海側と四国に分布し、
山地帯と亜高山帯の沢沿いや湿った草地に生え、遊水地や滝の周辺にも生えている。
東北では、『はまでうつくしい?(2)・・・』で紹介したオニシオガマと同時期、一緒に咲くシーンも見られる。
チョウジギクはウサギギクとはおよそ似ても似つかないユニークな花型だが、
同属なのでウサギギクとの自然雑種を作ることもある
(月山では、チョウジギクに小型の舌状花があるものが見られ、ガッサンウサギギクと呼ばれるが、
私はまだ見たことが無い)。
2017/08/27 焼石岳にて。チョウジギク。
2020/09/16 焼石岳にて。チョウジギクの群生。
ミヤマアキノキリンソウ Solidago virgaurea subsp. leiocarpa
は高山や亜高山帯でよく見かける花だが、
低山性のアキノキリンソウ Solidago virgaurea var. asiatica によく似ている。
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、
・アキノキリンソウ・・・・・・頭花の柄は総苞よりも短い。
総苞は狭鐘形で外片は短く鈍頭。筒状花は頭花あたり10個以下。
・ミヤマアキノキリンソウ・・・頭花の柄は総苞と同長か少し長いことが多い。
総苞は広鐘形で外片は長く鋭頭。筒状花は頭花あたり10個以上。
とあったが、理解できただろうか。
2015/08/02 月山にて。ミヤマアキノキリンソウの群生。
2020/07/30 鳥海山にて。ミヤマアキノキリンソウ。
2017/08/06 焼石岳にて。カンチコウゾリナとタカネナデシコ。
高山植物で「コウゾリナ」の名が入る種類は、二種ある。
カンチコウゾリナ Picris hieracioides subsp. kamtscha は低地に多いコウゾリナの亜種だ。
コウゾリナは茎や葉に剛毛が多く、触ると痛い。
そのため、剛毛を剃刀(かみそり)に見立て、「カミソリ菜」⇒「コウゾリナ」となったと聞くが、
ミヤマコウゾリナ Hieracium japonicum は学名からわかるように別属(ヤナギタンポポ属)、
毛はあるが、触っても痛くない
2018/07/20 鳥海山にて。ミヤマコウゾリナ。
2014/08/02 月山にて。ミヤマコウゾリナ。
2021/07/31 鳥海山にて。ミヤマコウゾリナ。
ヤマハハコ Anaphalis margaritacea var. margaritacea は低山にも見られることから、
高山植物とするには異論もあるかもしれないが、けっこう高所まで進出している。
2018/07/20 鳥海山にて。ヤマハハコ(とオンタデ)。バックは新山と七高山。
2008/08/12 鳥海山八丁坂にて。ヤマハハコ(とハクサンシャジン)。
高山にはヨモギの仲間も生えている。
タカネヨモギ Artemisia sinanensis は日本固有種。
本州の中部地方および東北地方に特産し、高山帯の日当たりが良い裸地に生育する。
東北では少なく、月山の一部と朝日、飯豊連峰に有る程度か。
ヒトツバヨモギ Artemisia monophylla は本州の日本海側の高山、亜高山帯に多い。
2019/08/05 以東岳にて。タカネヨモギ。
2016/08/11 乳頭山にて。ヒトツバヨモギ。
以上。
例年ならば、男鹿やにかほでそろそろ
フクジュソウの花便りが聞こえてくるところですが、
今年は雪の量が多いので、遅れそうですね。
大雪、オミクロンで十分暗い気分なのに、
ロシアのウクライナ侵攻が更に追い打ちをかけました。
明日から病医院通いが続きます。
明るく健康で平和な春が来ることを祈っております。
和みますね~やっぱり黄色の花に 1番魅かれます♪