(本頁は「久しぶりの月山の花2」の続きです。)
月山には立派な湿原が二箇所もある。
そのひとつ、弥陀ヶ原は羽黒口の八合目にあたり、標高は1400mと少し。
場所によっては、尾瀬ヶ原のように高層湿原となっており、日本いや本州では珍しく広大な湿原風景が愉しめる。
池塘の形も面白い。
池塘の中に生えるのはミツガシワ
この池塘は木道よりも一段高い場所にあった。
( ̄π ̄; だから高層湿原なのか。
大きな葉はミズバショウ
月山登山道に較べ、花はあまり多くないのだが、いくつか紹介してみる。
ニッコウキスゲ
枯れかかったコバイケイソウとコバギボウシ蕾
コバギボウシ
イワイチョウとモウセンゴケ
キンコウカとモウセンゴケ
キンコウカ
クサレダマ
クサレダマは弥陀ヶ原ではなく、羽黒山に近い低標高の道路端に咲いていたもの。
クサレダマとヨツバヒヨドリ
今回は弥陀ヶ原にも寄ったのに、( ̄π ̄;うっかりオゼコウホネを見ないで帰って来てしまった。
来シーズンの宿題としよう。
帰りは鳥海山が見えた( (´π`; 朝は雲を被ってて何も見えなかった)。
酒田市郊外から見た鳥海山
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(本頁は「久しぶりの月山の花1」の続きです。)
月山の山頂や稜線の西側は丈の低い草原が続いている。
『風衝草原』と呼ばれる植物景観で、いかにも『高嶺の花』的な高山植物が多いのが特徴。
冬場の北西季節風が強すぎるため、雪は飛ばされ、ほとんど積もらないと聞く。
そのため気温も低く、植物の生育にはまことに酷な環境だが、光には恵まれているので春の立ち上がりが早い。
山頂付近から西側斜面を望む。
どんな花が見られるかというと・・・
ミヤマウスユキソウ
ミヤマウスユキソウなどが代表だろう。
エーデルワイスに似た草姿のこの花は東北地方の限られた高山に生える。
秋田駒や鳥海山にもあるが、月山は量が多く、登山道からも楽に観察出来る。
咲き出しは6月と早いが、真夏の今頃でも古くなった花がまだ見られる。
ミヤマウスユキソウ
濃い青花はミヤマリンドウ。
この花は日光があたると開花する。したがって今回の登山の前半で見たものは全て花を閉じていた。
写真は全て日が差すようになった帰りに撮ったもの。
ミヤマリンドウとネバリノギラン
ミヤマリンドウ
ミヤマリンドウはあちこちの山で見かけるが、月山のものは株も大き目で見ごたえがある。
またミヤマウスユキソウに較べ、生育地も広いようで弥陀ヶ原のような湿原にも咲いていたのには驚いた。
風衝草原の役者達
ミヤマウスユキソウ、ミヤマリンドウ、ネバリノギラン、ウサギギク、ハクサンイチゲなど。
トウヤクリンドウは北アルプスではよく見かけるが、東北では尾瀬燧ケ岳と月山くらいと聞く。
トウヤクリンドウ
月山の東側斜面は驚くほど平らで広い。こちらは積雪量が多く、雪渓や雪田として遅くまで残っている(場所によっては越年)。
当然だが、植生もガラリと変わる。
オモワシ原方面を望む。
アラシグサは山頂付近の限られた斜面で見かける。
キバナノコマノツメ
アオノツガザクラ
アオノツガザクラは月山に多い矮性低木だが、今回は季節的なせいか、花付きのいいものには遭遇出来ていない。
ミヤマホツツジも登山口から山頂までよく見かけた。山頂近くのものは丈が低くなり、矮性低木になっていた。
イワカガミ
チングルマ
コシジオウレン(ミツバノバイカオウレン)は先日、鳥海山でも沢山見たが、月山にも多かった。
ヒナザクラ
ヒナザクラは通常このような雪渓の周辺に大群生する。ただし開花期間はとても短い。
登山道脇に多かったキク科の面々。
シロバナクモマニガナだろうか。低山の道端に多いニガナとは違う種類だ。
ミヤマコウゾリナ
ヤマハハコ。ハクサンフウロとタカネアオヤギソウ、ミヤマアキノキリンソウも混じっている。
ナンブタカネアザミは登山口から山頂まで広く分布。
今回の登山ではハクサンフウロと並び、よく目に付いた花だった。棘がすごく痛い。
右上はセリ科。ミヤマシシウドだろうか。バックは咲き出したばかりのウゴアザミ。
「久しぶりの月山の花3」へ続く。
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(本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしたものである。)
2014年8月2日、山形県の月山に登ってきた。
月山山頂部
前に登ったのは、なっ( ̄π ̄;なんと1989年。ということは四半世紀ぶりということになる。
天気はイマイチ。上りはほとんど霧の中、山頂に着く直前以降と下りは晴れたり曇ったりで
今日のガッサンはほぼガスサンだったが、花はまあまあ咲いていた。
今回は北側の羽黒山ルートを上り下りした。
このルートは歩き始めが八合目・弥陀ヶ原で既に1400mを超えており、山頂(1984m)との高度差は500mもない。
その割りにこのルートはダラダラと長く、メリハリが無いので厭う方もいらっしゃるが、
歩き始めると同時に、色とりどりの高山植物が咲いており、その状態がずっと山頂まで続く。
よって私のような花好きの足弱(当時は登山を20年ぶりに再開したばかりで脚力無し)にはたまらないルートとも言える。
本来ならばこういった登山記録は登山口からスタートし、徐々に高度を上げながら、山頂でラストになるものだが、
今回はいきなり山頂から始めさせて頂く。
理由は天気。上りは霧でほとんど見通しがきかず、花の撮影もままならなかった。
花を撮り出したのは、山頂に着いてから。そして撮りながら下山した。
山頂付近のお花畑
今の時期はハクサンフウロがとてもよく目立つ。
ハクサンフウロ
トウゲブキとハクサンフウロ。仏生池にて。
黄色いキク科が多くなってきた(がまだハクサンフウロが貼りついている)。
ミヤマアキノキリンソウ
トウゲブキ
キク科単独で。
トウゲブキ
キオン
真ん中の黄色はキオン。山頂付近にて。
漫画のヒマワリのようなキク科はウサギギク。
ウサギギク
(ウサギギクと)ヨツバシオガマ
同時期の鳥海山ほどではないが、ヨツバシオガマも多かった。
特に頂上小屋の廻りには庭花のように咲いていた。
他のシオガマギクも豊富。
トモエシオガマ
エゾシオガマ
季節が早ければ華麗なマゼンタのミヤマシオガマも咲いている。
他の花たち。
タテヤマウツボグサ
写真は山頂付近のものだが、弥陀ヶ原の入口にも有った。
ハクサンチドリは最盛期を過ぎ、新鮮な個体は少なくなっていた。
終わり近くなったハクサンイチゲ
少し前までハクサンイチゲが優勢だった草原はハクサンシャジンに主役交代中。
ハクサンシャジン
右上、ハクサンシャジンの手前の褐色穂花はタカネアオヤギソウ。
ハクサンシャジン。根元にミヤマコウゾリナ。
シロバナトウウチソウは東北地方固有のワレモコウの仲間。
「久しぶりの月山の花2」へ続く。
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(古い話で恐縮。本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしてアップ。その後、更に内容を変更したものです。)
7月5日はクロユリの花が見たくて、月山にやって来た。
なお今年の月山は6月7日(記録はこちら)についで二回目で、今回は羽黒ルートからアプローチした。
天気は前回のような晴天ではなかったが、薄日にほぼ無風だったので花の撮影にはベスト・コンディションだった。
弥陀ヶ原から見た月山。ご覧の通り、山岳風景としてはパッとしない。
登る途中、早朝の限られた時間だけだが、鳥海山が見えた。
本来ならば、登る途中、出会う花や景色を順々に報告するところだが、
今回は主題が山頂に生える「クロユリ」なので、いきなり山頂から・・・
と思ったが、それではあんまりなので、途中で見かけたエーデルワイスことミヤマウスユキソウを幾つか。
ミヤマウスユキソウ(ヒナウスユキソウ) 一緒に咲くのはキバナノコマノツメ
一緒に咲くのはウサギギク。
山頂付近から西斜面を見下ろす。
いよいよ山頂の黒百合。
厳密にはミヤマクロユリ。
今回はホンの数本見ただけで、しかもまだ咲き残っていたのは上の2本だけだった。
昔は山頂付近にうじゃうじゃと咲いていたのだが、どうしたんだろう。
参考までに昔のうじゃうじゃシーンを四枚。撮影は1987年6月28日。
けっして綺麗ではない。また匂いも良くない。
それなのに何故か心惹かれるものがある。不思議な花だ。
一緒に咲くのはミヤマキンバイ。
一緒に咲くのはハクサンイチゲ。
減った原因はネズミの食害と言われるが、個人的には登山者の踏圧ではないかと思う。
東北でクロユリが咲くのは実質この山だけ(※)なので、昔のように復活することを切に祈る。
(※ 東北では他に焼石岳と飯豊山系の一部にも有ると言われるが、なかなかお目にかかれない。)
月山は花の名山だ。鳥海山や早池峰山のようにこの山だけの特産種、固有種が無いのは残念だが、とにかく種類と量が多い。
東北の他の山ではあまりお目にかかれない種類でも月山に行けば見られるケースが多い。
チシマギキョウもそのひとつだろうか。
東北でこの花の見られる山は極めて限られる。理由は分からないが、昔に較べるとかなり減ったようだ。
それでも植生復元エリアでは徐々に復活しており、今後も見守って行きたいものだ。
なおよく似たイワギキョウはこの山には無い(隣の鳥海山には多い。 ⇒ こちら)。
前回(6月7日)、期待していたのに時期尚早だったミヤマシオガマ。
あれからひと月、経っているので、今回はもう終わったものと諦めていた
花の終わったミヤマシオガマ
が、根気強く探したら有った。嬉しかった。
開花中のミヤマシオガマ
これからはヨツバシオガマの季節になる。
花色が微妙に違うヨツバシオガマの2タイプ
パッと見、ハクサンチドリはヨツバシオガマに似ている。
ウズラバハクサンチドリ イワカガミとチングルマ
月山には葉に斑点の無いハクサンチドリもあるが、他の山に較べるとうずら葉タイプの比率が高い。
羽黒ルートから見た月山山頂
雪が解けたら、一番初めに咲く花は・・・
ミツバノバイカオウレン(コシジオウレン) ショウジョウバカマ
ショウジョウバカマは低地から高山までこの植物の分布範囲は広い。
ヒナザクラ
アオノツガザクラ
アオノツガザクラの花壺のほっぺは傷だらけだった。蜜を横取りしようとする蜂のせいだろうか。
今回、月山には他にも数多くの花が咲いていたが、全部挙げていたら何頁にもなるので他は割愛させて頂く。
月山、特に羽黒ルートで面白いのは登山口に弥陀ヶ原という広大な湿原があること。
そのうち一部は高層湿原になっており、尾瀬を彷彿とさせるような池塘風景が展開する。
この湿原があるせいか、弥陀ヶ原は標高1400m程度にもかかわらず、多くの高山植物が降下している。
よって歩き出しから花のオンパレード。
月山羽黒ルートはだらだら長くて嫌だという人も居るが、花好きにはたまらないルートだ。
ニッコウキスゲ(バックにコバイケイソウが少し)
ヨツバシオガマ トキソウ
本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしたものである。
月山にはここ三年ほど、年に二~四回のペースで登っていたが、今年は (´π`;)まだ登ってなかった。
今年は焼石や早池峰など他の山に行くのが忙しかったせいもあるかと思う。
晩夏から秋にかけての羽黒ルートはまだ歩いたことがなかったので、晴天の9月1日(金)に決行した。
平日早朝のせいか八合目まで至る月山高原ライン(県道211号・月山公園線)はスカスカだった。
一台の追い越しも追い越されも交叉も無かったのは初めてだ。
五合目付近から鳥海山と立合沢川の谷間を望む。
いつもは車ビッシリの八合目駐車場もスカスカだった。
晴天の日、羽黒ルートを歩くと、どうしても後方の鳥海山が気になってしょうがない。
つい振り返ってしまうが、めざしているのは月山だ。
弥陀ヶ原から見た月山。
標高差も少ないせいか登行欲をかき立てる山とは言い難い。
霧稜坂から弥陀ヶ原と鳥海山を振り返る。
振り返ると鳥海山は素晴らしいが、今日は東側、新庄盆地の雲海もみごとだった。
霧稜坂から弥陀ヶ原と新庄盆地雲海を望む。
東側の雲海。左奥に霞む山は鬼首の禿岳か。
九合目付近から鳥海山を望む。
登り始めた時、花はだいぶ少なくなったなと感じたが、
山頂が近づいたら、まだ新鮮なのがいっぱい有った。さすが花の名山。
ナンブタカネアザミ ミヤマアキノキリンソウ(コガネギク)
ニッコウキスゲ シロバナトウウチソウ
焼石同様、二度咲きなのか開花中のハクサンイチゲも見かけた。
ハクサンイチゲ
ハクサンイチゲ
トウヤクリンドウ ミヤマリンドウ
トウヤクリンドウは残念ながら完全に終わっていた。
ところでこのトウヤクリンドウと初夏に咲くクロユリは本来の自生ではないとの説もある。
月山は古くから信仰の山として有名であり、山伏の皆さんは月山だけでなく、越中の立山や加賀の白山とも行き来しておられたのではなかろうか。二種の植物は中部地方の高山には豊富だが、東北では極めて稀である。トウヤクリンドウに至っては完全に飛び地になっている。
月山山頂付近にはこの二種以外にも不自然な分布生育をしている植物がいくつか有る。
もしかしたら薬草や食用目的で栽培?されていたのかもしれない。
なおこの山にはコマクサやチョウカイフスマも生育している。この二種は昭和10年代に近隣の蔵王山や鳥海山から持ち込まれたと記録が残っている。
それはさておき、この山には花が豊富だ。
ハクサンフウロ群生
ハクサンフウロ
ハクサンフウロは東北の他の山にも普通に見かけるが、月山のものが花のサイズが大きく、量も多いように感じる。
ウサギギク タテヤマウツボグサ
タテヤマウツボグサ群生
マルバシモツケと月見ヶ原、葉山
今日はサイコーの晴天だったので、もしやと思い、山頂(月山神社)を素通りし、姥沢ルートを少しだけ下ってみた。
予想通り、南西の方角には朝日連峰がよく見えた。更には飯豊連峰まで見えたので、山座同定を試みた。
もし間違ってたら、ご指摘下され。
朝日連峰の山座同定
飯豊連峰の山座同定
下の方から読経のような・・・
見たら、鍛冶小屋跡地の祠で、二人の山伏さんが祈祷の真っ最中だった。
このお二人、祈祷が終わったら、私のすぐ隣に座っておにぎりを食べ始めた。
折角なので、私もおにぎりを食べながら、いろいろお話をさせて頂いた。
年の頃は私とほぼ同年配、関西の方からはるばる月山に山伏修行に来た。ふだんは別のご商売をされていて、年に何十日か山伏修行をしているとのこと。
月山には十数回、登ってるが、山伏さんと会話したのは今回が初めてだった。
下山時も折々でこの山伏さんと一緒になった。彼方此方で勇壮な法螺貝の音を聞くことが出来た。
ところで下山を始めたら、右足膝に痛みが走るようになった(8月27日の焼石岳下山時が初発)。
痛みはひどくなる一方で、弥陀ヶ原の手前でついに立ち往生。しばらく休んで、騙し騙し高層湿原まで寄ってみた。
もう半月もしたら、此処は素晴らしい草紅葉になるだろう。
でも (´π`;)来れるだろうか。
モウセンゴケ エゾオヤマリンドウ
膝の痛みは相変わらずだが、
さいわいにもクルマの運転にはほとんど支障がなかった。ナントカ秋田まで帰れそう。
ラストに下界から見た月山を。
水芭蕉の丘広域農道から月山を振り返る。左側の台地が弥陀ヶ原。