モウズイカの裏庭2

秋田在・リタイア老人の花と山歩きの記録です。

高山に咲くキク科あれこれ

2022年02月27日 | 高山植物

キク科の高山植物は、
既に、「キオンとトウゲブキ」、「高山に咲くアザミとトウヒレン」、
ウスユキソウの仲間は「ジャパニーズ・エーデルワイス(1)」と「(2)」などでも、
取り上げているが、本頁では、それ以外のキク科を扱ってみた。

ミヤマアズマギク Erigeron thunbergii subsp. glabratus var. glabratus
は国内では北海道と本州中部以北の高山に分布する(北海道東部では低地にもある)
と言われるが、
東北では少なく、私は早池峰山でしか見たことが無い。
よく似たアズマギク Erigeron thunbergii subsp. thunbergii は海岸や低山の乾いた草地で見かけるが、
山によっては1000mを超える高所にも現れる。
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、冠毛の色と長さで識別するとあった。
・アズマギク・・・・・・・冠毛は帯赤色、長さ5mm。
・ミヤマアズマギク・・・・冠毛は汚白色、長さ2.5-3.5mm。  

2017/06/29 早池峰山にて。ミヤマアズマギク。



2017/06/29 早池峰山にて。ミヤマアズマギクとミヤマシオガマほか。




2017/07/20 早池峰山にて。ミヤマアズマギク。




2017/07/20 ミヤマアズマギク。バックはチシマフウロ。
 

                                      2017/07/20 ミヤマアズマギク(白花)


ウサギギクはヒマワリを小さくしたような頭花がよく目立つ。
和名は葉の形がウサギの耳を思わせることに由来と聞く。

国内にはウサギギク Arnica unalascensis var. tschonoskyi
とエゾウサギギク Arnica unalascensis var. unarascensis の二種があり、
分布域も重なるようだ(北海道ではエゾが多い傾向)。

エゾの方は、筒状花の狭筒部が無毛とのことだが、フィールドで識別するのは難しく、
下写真三枚はひとまずウサギギクとした。

2016/07/23 月山にて。ウサギギク。
他にハクサンイチゲ、ネバリノギラン、ヨツバシオガマ、ハクサンシャジンなどが混じる。




2020/08/18 鳥海山にて。ウサギギク。




2020/07/30 鳥海山にて。ウサギギク。
 

                                        2017/08/27 焼石岳にて。チョウジギク。


ウサギギクが出たので、同属のチョウジギク Arnica mallotopus も出してみる。

こちらは厳密には高山植物ではない。本州の日本海側と四国に分布し、
山地帯と亜高山帯の沢沿いや湿った草地に生え、遊水地や滝の周辺にも生えている。
東北では、『はまでうつくしい?(2)・・・』で紹介したオニシオガマと同時期、一緒に咲くシーンも見られる。
チョウジギクはウサギギクとはおよそ似ても似つかないユニークな花型だが、
同属なのでウサギギクとの自然雑種を作ることもある
(月山では、チョウジギクに小型の舌状花があるものが見られ、ガッサンウサギギクと呼ばれるが、
私はまだ見たことが無い)。

2017/08/27 焼石岳にて。チョウジギク。


2020/09/16 焼石岳にて。チョウジギクの群生。



ミヤマアキノキリンソウ Solidago virgaurea subsp. leiocarpa
は高山や亜高山帯でよく見かける花だが、

低山性のアキノキリンソウ Solidago virgaurea var. asiatica によく似ている。
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、
・アキノキリンソウ・・・・・・頭花の柄は総苞よりも短い。
 総苞は狭鐘形で外片は短く鈍頭。筒状花は頭花あたり10個以下。
・ミヤマアキノキリンソウ・・・頭花の柄は総苞と同長か少し長いことが多い。
 総苞は広鐘形で外片は長く鋭頭。筒状花は頭花あたり10個以上。
とあったが、理解できただろうか。
 

2015/08/02 月山にて。ミヤマアキノキリンソウの群生。



2020/07/30 鳥海山にて。ミヤマアキノキリンソウ。
 

                                     2017/08/06 焼石岳にて。カンチコウゾリナとタカネナデシコ。


高山植物で「コウゾリナ」の名が入る種類は、二種ある。

カンチコウゾリナ Picris hieracioides subsp. kamtscha は低地に多いコウゾリナの亜種だ。
コウゾリナは茎や葉に剛毛が多く、触ると痛い。
そのため、剛毛を剃刀(かみそり)に見立て、「カミソリ菜」⇒「コウゾリナ」となったと聞くが、
ミヤマコウゾリナ Hieracium japonicum は学名からわかるように別属(ヤナギタンポポ属)、
毛はあるが、触っても痛くない

2018/07/20 鳥海山にて。ミヤマコウゾリナ。



2014/08/02 月山にて。ミヤマコウゾリナ。
 

                                   2021/07/31 鳥海山にて。ミヤマコウゾリナ。


ヤマハハコ Anaphalis margaritacea var. margaritacea は低山にも見られることから、

高山植物とするには異論もあるかもしれないが、けっこう高所まで進出している。

2018/07/20 鳥海山にて。ヤマハハコ(とオンタデ)。バックは新山と七高山。



2008/08/12 鳥海山八丁坂にて。ヤマハハコ(とハクサンシャジン)。



高山にはヨモギの仲間も生えている。

タカネヨモギ Artemisia sinanensis は日本固有種。
本州の中部地方および東北地方に特産し、高山帯の日当たりが良い裸地に生育する。 

東北では少なく、月山の一部と朝日、飯豊連峰に有る程度か。
ヒトツバヨモギ Artemisia monophylla は本州の日本海側の高山、亜高山帯に多い。

2019/08/05 以東岳にて。タカネヨモギ。
 

                                    2016/08/11 乳頭山にて。ヒトツバヨモギ。


以上。



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2 コメント

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こんにちは (ミルク)
2022-02-27 16:17:44
外に何にもない時期に、こうして花々を見ると
和みますね~やっぱり黄色の花に 1番魅かれます♪
返信する
ミルクさんへ。 (モウズイカ)
2022-02-27 16:58:17
コメントありがとうございます。
例年ならば、男鹿やにかほでそろそろ
フクジュソウの花便りが聞こえてくるところですが、
今年は雪の量が多いので、遅れそうですね。
大雪、オミクロンで十分暗い気分なのに、
ロシアのウクライナ侵攻が更に追い打ちをかけました。
明日から病医院通いが続きます。
明るく健康で平和な春が来ることを祈っております。
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