モウズイカの裏庭2

秋田在・リタイア老人の花と山歩きの記録です。

東北の山を眺める5/岩手山を南と西から。

2024年07月25日 | 岩手山と姫神山

(本頁は「全国山の日協議会」への投稿文「東北の山を眺める(#5)/ 岩手山を南と西から」の原本です。)
(本頁は「東北の山を眺める/ 岩手山を東と北から」の続きである。)


南から見た岩手山と言えばまずは県都盛岡の街中から見た姿から
と思いましたが、手持ち写真が全く無いのです。
理由は私が盛岡に住んでない、
通過するだけの街だったからでしょう。
かわりに同じような方角から見た写真二枚から始めます。
滝沢市の柳沢(マップではA)から。山頂部の岩鷲の雪形が微かに見えます。




同じく滝沢市の春子谷地湿原(マップではB)から。




右(東)側は富士山型の山容なのに、

左(西)側は深い谷を刻んだ山容の稜線が続いています。
いわゆる『南部片富士』とはこの姿形を言うのかなと思います。

フィールドガイド日本の火山4 東北の火山(高橋正樹+小林哲夫・編、築地書館・発行)
によると、現在の岩手山は大まかには東西に並ぶふたつの山体から成っており、
東側の最高峰は薬師岳で高さは2038mですが、
かつてはもう少し高く、2200mくらいあっただろうとのこと。
だとしたらかつては鳥海山と同じくらいの高さだったことになります。
岩手山の南西側には、鬼ヶ城と呼ばれる高さ1600~1840mの険しい稜線が連なっていますが、
これはカルデラを形成した西岩手火山の南側の山体の名残りです。
岩手山を南側から望むと、西岩手火山の名残りの稜線が屏風のように立ち並びます。

参考マップ



小岩井農場(マップではC)は岩手山のほぼ真南に位置します。




ここから望む姿は盛岡市街地から望む姿に次いで有名かと思いますが、

個人的には富士山からは程遠い姿だと感じています。
それは東岩手火山が古くて低い西岩手火山のかげに隠れてしまうせいでしょう。
しかし雫石盆地を更に南下すると
薬師岳がまた突き出して見えるようになり、再び南部片富士の姿に戻ります。
雫石町御明神付近(マップではD)から。




岩手県の西側には奥羽山脈が南北に走っており、

岩手山はその山脈から少しだけ東に突き出たように聳えています。
そのため、西から岩手山を眺めるためには
必ずと言っていいほど山の上に登らなければなりません。
岩手山の西側の姿が最もよく見えるのは、三ッ石山(1466m)です。




三ッ石山(マップではE)から見る岩手山は大きなカルデラ(西岩手カルデラ)が開いています。

カルデラ壁は北(左)側が屏風尾根、南(右)側が鬼ヶ城、
その奥深くに薬師岳が聳え、
カルデラの手前を塞ぐように姥倉山(1517m)や黒倉山が聳えています。

続いて秋田駒ヶ岳(男岳に登る途中)(マップではF)から見た姿は割とシンプルな台形です。




岩手山は名前の通り、岩手県が独占している山のように思われますが、

実は青森県と秋田県からも見えます。
青森県からは八甲田山などの山に登らなければ見えませんが、
秋田県からは平地からも見えます。
それは大仙市大曲付近ですが、仙岩峠の鞍部越しに岩手山の山頂部が見えます。
なお大曲の西にある大平山(姫神山)(387m)に登ると更によく見えます。
ここからは秋田駒ヶ岳と岩手山が兄弟のように並んで見えます。




以上。

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東北の山を眺める4/岩手山を東と北から。

2024年07月14日 | 岩手山と姫神山

(本頁は「全国山の日協議会」への投稿文「東北の山を眺める(#4)/ 岩手山を東と北から」の原本です。)



いきなりクイズで恐縮。この山は何山だと思いますか?





答は岩手山(2038m)です。

多くの皆さんがご記憶の岩手山と言えば、
山の片側は綺麗な裾野を引くものの、反対側はゴツゴツした稜線が続く姿から、

南部片富士とも呼ばれますが、
それは南東にある盛岡市街地や北西にある八幡平から眺めた姿です。

東から見た岩手山はこのように端正でコンパクトな富士山です。
こうなると片富士ではなく両富士ですね。
国内にある〇〇富士を名乗る山の中では最も奇麗な富士山型ではないかと私は思います。
最初の写真は歌人石川啄木の出身地・澁民村(マップではA)から見たものです。
今回は主に東と北側から岩手山を眺めてみようと思います。

参考マップ



岩手山は東に聳える姫神山(マップではB)から見た姿も奇麗です。

姫神山の山頂から見ると、岩手山は奥羽山脈の山々をバックに独り前面に躍り出て聳えています。




両側の山は左側が秋田駒ヶ岳や乳頭山(烏帽子岳)で右側は八幡平です。

何やら露払いと太刀持ちを従えた横綱の土俵入りを彷彿とさせる眺めです。




なお岩手山の前面山麓にあるひし形の草地のようなものは何でしょう。

これは自衛隊の演習場です。
以前、姫神山に登山した時、大砲の音が轟いておりましたが、たまたま演習に重なったんでしょうね。

東北自動車道は岩手山の間近を通ります。
北へ走り、西根インターを下りると焼走り溶岩流(マップではC)や上坊牧野が近くに有ります。
いずれも北東方向から岩手山を眺めることになりますが、
前者から見た岩手山は丸みを帯びたのっぺりとした姿です。




これが少しだけ西の上坊牧野(マップではD)に行くと南部片富士風ながらもキリリとした姿に変わります。

今回は近頃人気の一本桜を入れて撮ってみました。




桜を左に置くか右に置くかで私はいつも迷ってしまいます。




岩手山は太平洋側にある山なので積雪量は少ないのですが、幾つかの雪形が知られています。

有名なのは盛岡市方面から山頂部に見えるワシが飛んでいるような雪形です。
この雪形に由来して岩手山を岩鷲(がんじゅ)山とも呼ぶそうです。
残念ながら上坊からそれは見えませんが、
かわりに見える雪形は「鯉の滝登り」と呼ばれているようです。

八幡平アスピーテラインを西に走り、八幡平の山頂部や藤七温泉付近(マップではE)から眺めた
岩手山は完全な南部片富士になります。
片富士とは言っても、左側(東側)の裾野のラインは実にみごとだと思います。




以上。

 「東北の山を眺める5/岩手山を南と西から。」へ続く。


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岩手山、東と南(2024年5月2日)

2024年05月13日 | 岩手山と姫神山

(本頁は「2024年5月2日の姫神山・後編」の続きである。)

姫神山を下山した後は秋田市に戻るばかりだが、
今回は岩手山を眺めるだけでなく山体にちょっとだけ触れて行こうと思った。

澁民村から眺めた岩手山は、生出地区や姫神山から見たものと同様、端正な南部両富士だ。




参考マップ



しかし登山口のある柳沢付近まで来ると、左側の古い山体が少し存在感を発揮するようになる。

言い方を変えると、盛岡市辺りから見る南部片富士風になって来る。













柳沢から県道278号線(鵜飼安達巣子線)を走り、春子谷地湿原まで来ると

岩手山は古い山体に覆われてしまう。




この後、南側、小岩井農場や雫石町から望む岩手山は古い山体が主体になる。

もっさりとした南部片富士になるが、この姿が好きな人も多いと思う。
手前に迫り出した丘のようなものは鞍掛山だ。
体力に余裕が有る時は鞍掛山の山頂まで行くようにしているが、
今日は余裕が無いので途中まで林を散策してみる。




鞍掛山の林の中で出会った花たち。

まずは姫神山同様、エンレイソウの仲間。

ミヤマエンレイソウ



エンレイソウ



ここにはクルマバツクバネソウは無かった。

次いでスミレやリンドウの仲間。

たぶんタチツボスミレ。




オオタチツボスミレ



オオタチツボスミレとニョイスミレ
 


(右上)フデリンドウ


エイザンスミレ





エイザンスミレは秋田には無い種類だ。

これも秋田では珍しい。ヤブレガサの芽出し。

 

(右上)シラネアオイ




最後に小岩井の一本桜。




桜の花は完全に終わっていたが、観光客はいっぱい居た。


秋田駒と田沢湖」へ続く。

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2024年5月2日の姫神山・後編

2024年05月12日 | 岩手山と姫神山

(本頁は「2024年5月2日の姫神山・前編」の続きである。)

今日の姫神山頂は予想通り素晴らしい眺めだった。
過去では2020年11月17日2022年5月10日に匹敵するレベルか。
まずは西側の大観。
ほぼ真西に聳える岩手山を軸に、左(南)に秋田駒、右(北)に八幡平の山群が連なる。




岩手山をクローズアップ




岩手山と八幡平の山群。




八幡平の山群。左から嶮岨森、前諸桧、諸桧岳、畚岳、八幡平山頂、茶臼岳と連なる。




八幡平の中核部分。左から前諸桧、諸桧岳、畚岳、八幡平山頂。




岩手山と左に秋田駒ヶ岳、乳頭山の山群。




左から秋田駒ヶ岳、笊森山、乳頭山(烏帽子岳)。




笊森山と乳頭山(烏帽子岳)、小乳頭。
なお手前、岩手山の裾から鞍掛山が突き出している。




秋田駒山群の左(南)に和賀山塊。




和賀岳の左(南)にうっすらと鳥海山が見えた。




遠く北北西を望むと、御月山と皮投岳?の奥にこれまたうっすらと岩木山が見えた。

これで今日は東北の三富士(南部富士、出羽富士、津軽富士)が見えたことになる。




真北方向遠くに八甲田の山なみ。




東は北上山地の山なみの中に湖がふたつ見えた。左は岩洞湖とわかるが右は外山湖だろうか。
昨年、岩洞湖から姫神山を見ているが、外山湖から見た記憶は無い(⇒こちら)。




南東に早池峰山。




下山後は一本杉園地に立ち寄った。

ここからは桜の木越しに岩手山が望まれる。残念ながら桜の花は終わっていた。







一本杉園地に野花を探した。

アケボノスミレ



アケボノスミレ
 


(右上)ホタルカズラとキジムシロ


岩手山、東と南」へ続く。

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2024年5月2日の姫神山・前編

2024年05月11日 | 岩手山と姫神山

(本頁は「上坊牧野から岩手山ほかを眺める。」の続きである。)

姫神山にはこのところ毎年五月に登っている。
今回はとても好く晴れている。山頂からの大展望が愉しみだ。

澁民村から眺めた姫神山(下山後の昼に撮影)



朝、一本杉登山口から眺めた姫神山




姫神山には一本杉から登る人が多いが、私がよく使うこわ坂からは登る人はいつも少ない。

今日も私独りだけだった。

こわ坂登山口の坂道
 

(右上)坂道を上るとカラマツの植林地になる。

昔、ここから岩手山の眺めが好かったが、
カラマツの生長に従い、だんだん見えにくくなっている。

その後、完全な森林(登山道の左側はカラマツの植林、右側はミズナラなどの雑木林)になるので、
景色は全く見えなくなる。




下草の種類は少ないが、

秋田では珍しいクルマバツクバネソウやミヤマエンレイソウが咲き出していた。

クルマバツクバネソウ


ミヤマエンレイソウ



ミヤマエンレイソウ
 

(右上)エンレイソウ



他にはスミレ類、ニリンソウが多かった。

オオタチツボスミレ



ミヤマスミレは斑入り葉タイプが多い。







ニリンソウ



30分くらい登ると両側が雑木林になる。

登山道は木の根っこが露出している。




樹皮がめくれた広葉樹が多くなる。ダケカンバだろうか。

 


(右上)こちらはミズナラか。

傾斜がやや急になり、
登山道にはロープや鉄梯子が掛かるようになって来た。

 


(右上)カタクリ



岩の上や隙間にはカタクリやヒメイチゲ、トウゴクサイシンを見かけるようになった。

ヒメイチゲ



ヒメイチゲ
 


(右上)トウゴクサイシン


山頂が近くなると、道の両側にカタクリが多くなる。







右上に樹木が無くなった。これは山頂の証しだ。




姫神山・後編」に続く。

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