モウズイカの裏庭2

秋田在・リタイア老人の花と山歩きの記録です。

旧ユリ科、キンコウカやイワショウブ、ネバリノギラン他。

2022年01月31日 | 高山植物

あまりメジャーな高山植物ではないが、今回は旧ユリ科のメンバーを数種類、取り上げてみる。
まずはキンコウカ。東北の高山では湿地によく群生し、真夏に黄色い穂花を咲かせている。

2020年に訪ねた栗駒山の秣岳、稜線上の平らな湿地では・・・

2020/07/24 秣岳のキンコウカ群生。



近寄るとこんな感じ。

2020/07/24 秣岳のキンコウカ



ここではタテヤマリンドウと混生していた。

2020/07/24 キンコウカとタテヤマリンドウ



月山の弥陀ヶ原湿原では凄く密な生え方をしていた。

2016/07/23 弥陀ヶ原湿原のキンコウカ群生。



2017/08/06 焼石岳にて。花のアップ。               2014/08/02 月山羽黒ルートにて。葉先が赤くなっている。
 


キンコウカは他の山にもいっぱい咲いているが、花は皆同じなので、これくらいで終わりとしよう。
この植物は、花以上に葉、紅葉が素晴らしい。

キンコウカの草紅葉は樹木紅葉よりも少し早い。
2019年9月中旬、乳頭山を訪ねたら、山の斜面一帯がこんがりと紅葉していた。

2019/09/17 乳頭山の草紅葉



近づいてみると、草紅葉の中で赤みの強い部分はキンコウカだった。

2019/09/17 乳頭山のキンコウカ草紅葉



乳頭山の近く、千沼ヶ原のキンコウカ草紅葉・二景。

2014/09/15 千沼ヶ原にて。



2014/09/15 千沼ヶ原にて。



鳥海山のキンコウカ草紅葉。
ここではチングルマやシロバナトウウチソウの紅葉も混じってシックな色合いになっていた。

2020/10/02 鳥海山の草紅葉。



キンコウカ Narthecium asiaticum はかつてユリ科、現在はキンコウカ科だ。

キンコウカが生えるような高山の湿地にはイワショウブも生えていることが多い。

2016/08/20 月山姥ヶ岳にて。手前にキンコウカ。後ろの草地にイワショウブ(白い穂花)が疎らに生えている。



ウィキペディアによると、

イワショウブ(岩菖蒲、学名:Triantha japonica )はチシマゼキショウ科イワショウブ属の多年草。
別名、ムシトリゼキショウ。
花茎の高さは、20-40cmになる。
葉は根生し、形はアヤメのような線形で、長さは10-40cm、茎には小形の葉が1-2個つく。

花期は8-9月で、花茎の上に花被片が6枚の白色、ときに淡紅色を帯びた花を総状につける。
花の中心に雌蕊が、その周りには花被片と同長の雄蕊が6本つく。

花茎の上部から花柄まで腺状突起が多くつき、粘る。
果実は蒴果で卵状楕円形、発生過程で生じる巨大な突起物を種子に有することが特徴である。 

西限を伯耆大山とし、本州のおもに日本海側に分布し、
亜高山帯の湿原や山稜の雪田の縁などの湿り気のある場所に自生する。』

とあった。
なお花茎の上部が粘り、「ムシトリゼキショウ」との別名があるが、食虫植物ではないようだ。

2020/08/18 鳥海山にて。イワショウブ。



チシマゼキショウ科とは聞きなれない名前だ。

改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、チシマゼキショウやキンコウカに関して、次のような記述があった。
『日本の野生植物Ⅰ(1982)が準拠した新Engler分類体系(Melchior,1964)では、
ユリ目ユリ科シュロソウ亜科チシマゼキショウ連に含められていた。

分子系統樹に基づいたAPGⅢ分類体系(2009)によって、
このチシマゼキショウ連はチシマゼキショウ科とキンコウカ科(一部)に分割され、

そのうちチシマゼキショウ科は、オモダカ科やサトイモ科などとともにオモダカ目に分類されることになった。』

一方、キンコウカ科はヤマノイモ目に含められている。 

イワショウブとキンコウカは高山の湿原では隣り合って生え、
図鑑上でも昔はユリ科の同じ頁に並んで掲載されることが多かったが、

新しい分類学ではユリ科を追い出され(?)、遠く離れた間柄になってしまった

イワショウブに近縁で地味な旧ユリ科の高山植物を二種。
ヒメイワショウブ Tofieldia okoboi 
チシマゼキショウ Tofieldia coccinea var. coccinea


ヒメイワショウブ 2020/06/22 月山山頂部にて。
 

                                 チシマゼキショウ 2017/07/20 早池峰山(バックにハヤチネウスユキソウ)


折角の機会なので、新分類でキンコウカ科に属すことになった植物、二種類も紹介してみる。
見かけはキンコウカとだいぶ違う。科は違うが、イワショウブに近いような印象だ。

ネバリノギラン Aletris foliata
高山の草地などでよく見かけるが、地味な花なので話題になることはほとんど無い。

しかしこの植物、秋になると一変する。草紅葉が意外と奇麗なのだ。

ネバリノギラン夏姿。
2020/07/17 鳥海山にて。                      
2017/08/06 焼石岳にて。ハクサンシャジンと一緒。
 


ネバリノギラン秋姿。
2014/09/15 笊森山にて。バックはガンコウラン。          
2020/10/02 鳥海山にて。バックはチングルマ紅葉。
 



ノギラン
Metanarthecium luteoviride も草紅葉が奇麗だ。

2014/09/06 森吉山



こちらは元々、低山性の植物だが、奥羽山系の一部の山では

山頂の風衝草原にも進出し、お花畑の一員になっているのには驚いた。

2018/07/27 ノギラン。焼石岳姥石平にて。
 
                                 2019/07/26 和賀岳山頂にて。前列はノギラン、後列はネバリノギラン。 


以上。


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