それでも僕はテレビを見る

社会‐人間‐テレビ‐間主観的構造

ハヤシ、サッカー、東の坂

2010-06-26 15:22:04 | イギリス生活事件簿
イギリスでの生活は、このブログには書ききれないことで埋め尽くされている。

それでも近況として報告したいものをこちらに書いている。



昨日はハヤシライスの会と題して、日本のハヤシライスのルーを使ったハヤシライスを食べる、という小さな会に参加。

運よく、会場となった友人の寮はのっぽなかたちの建物で、そこにはベランダがあった。

僕らはベランダへテーブルやら椅子やらを引っ張り出し、パソコンで音楽をかけながら、ゆっくりと夕暮れになる空を見ながら、ハヤシライスを食べる。

そのベランダからは、ちょうどブロックづくりの鉄道橋が見え、のろのろ走る電車が、夕暮れの中でまるで、おもちゃのようなシルエットを映しながら、木の蔭へと消えていった。

その鉄道橋にとまるカモメは遠すぎて、もはや写真にはきれいに映らなかったけれども、僕らの眼にははっきりと愛くるしい形で見えた。

「電車はやっぱり短い方がいいね」なんてくだらないことを口にしながら、ハヤシライスも、マリネも、ビールも、僕はなに一つ料理を作らなかったのだけれど、本当に美味しくて、その味はどうしてなかなか忘れ難い。

こうした情景を写す写真の技術を僕らはもっていなかったけれど、そもそもそこでかけた音楽を含めて、その町や空気や匂いが織りなす雰囲気は、そこにいなかった人には伝えられない、抒情的なものだった。

そこで一体何を話したろうか?きっと、なんだか脈絡もなくて、覚えているべきものでもないのかもしれない。いや、結構大事な話もした気がする。でも、覚えていない。たぶん、馬鹿なんだと思います。



話はとぶが、最近巷はワールドカップ一色。

もちろん僕が生活するイギリスはサッカー大好きの国。

日常生活からすでにワールドカップがある。

車にも、ベランダにもイングランド国旗(僕がいるのはイングランドなので)が掲げており、それはすべてチームの応援のためらしい。

僕は日本人なので、日本および他のアジア地域の国々を応援している。

だから、一応日本の試合だけではあるけれども、ビール片手にパブで見るようにしている。

おそるべきことに、日本も韓国も決勝トーナメントに進んでしまった。

そういうわけで、これからもおそらく応援は続く。



さて、また話は飛ぶが、引っ越しは本当に終わってしまい、昨日から完全に生活拠点を移した。

前の住み家である寮の鍵を寮の管理人に渡したとき、その管理人はとても陽気な人なので、楽しそうに「よくやった、君によくやった・・・ブラブラブラ・・・」、握手しながら労い(ねぎらい)の言葉をもらったのである。

その時僕ははじめて、ここでの一年が終わろうとしている、あるいは終わってしまったのだと気づく。

もちろん、正確にはみんな論文提出があるから、まだあと2か月はここにいるわけだけれども、しかし、ついに夏休み入ったのである。

パーティの喧騒、ビーチでもないのに水着の男女、大音量のレゲエ、真夜中のテクノサウンド、隣人たちのセクシーな囁き、目的の分からない消火器噴射の音、謎の叫び声、たまにどこからか流れてくる牛の鳴き声、なかなか急な坂道、実は絶景な窓からの風景、フラットメイトたちとのおしゃべり・・・。

これからはもう、僕が住んでいた「東の坂」のこうしたことがらは、僕の記憶のなかのみで存在することになる。

楽しかったと思う。

色々なことがあって、でもなんだかありふれた日常で。

センチメンタルになるほどのことはないのだけど、これは僕の最初の一人暮らしの経験なのであり、同時に最初の海外自炊生活なのであるから、少し大切にしたっていい記憶なのではないかと思う。


最近のできごとを駆け足で総括しました。

また新しい生活が始まります。

研究はいつもの調子です。