消された伝統の復権

京都大学 名誉教授 本山美彦のブログ

福井日記 No.184 短期資金供給の推移

2007-10-17 02:28:42 | 金融の倫理(福井日記)

 二〇〇七年六月二二日。米証券四位のベア・スターンズが経営危機に陥った傘下のヘッジファンド二社を救済するために最大三二億ドル(約四〇〇〇億円)を拠出すると発表した。しかし、支援も空しく、七月に破綻した。

 二〇〇七年七月一〇日。米格付け会社が、サブプライム・ローンを担保とした債権の格付けを一斉に引き下げた。

 二〇〇七年七月一九日。FRBのバーナンキ議長がサブプライム・ローン関連の損失は最大限一〇〇〇億ドルになる可能性があると発表した。

 二〇〇七年七月二五日。野村ホールディングスが一~六月で七二六億円の損失を出したと発表した。

 二〇〇七年八月二日。IKBドイツ産業銀行が、傘下のファンドが損失を出したために、ドイツ政府系の復興金融公庫から支援を受けると発表した。

 二〇〇七年八月六日。二〇〇七年四月、米国の住宅ローン大手のニューセンチュリー・ファイナンスが、米連邦破産法第一一省(チャプター・イレブン)に基づく会社更正手続きを申請した。その後大手の破綻はなかったが、二〇〇七年八月六日になって、同業のアメリカン・ホーム・モーゲージ・インベストメント(AHM)が会社更生法の申請をした。AHMは全米一〇位の住宅ローン会社である。二〇〇六年末時点での同社の負債額は一七五億五八〇〇万ドル強あった(『讀賣新聞』二〇〇七年八月七日付)

 二〇〇七年八月八日。新生銀行が、サブプライム・ローン関連で三四億円の損失が発生したと発表した。

 二〇〇七年八月九日。フランス金融大手BNPパリバが、傘下の三つのヘッジファンドの営業停止を発表した。ファンドの資産価値を正確に計算できなくなったからであると同行は説明した。

 二〇〇七年八月九日。ECBは過去最大規模の約九五〇億ユーロ(約一五兆四〇〇〇億円)を供給した。ECBのこの放出額は、九・一一テロ直後の二〇〇一年九月一二日に実施した約七〇〇億ユーロの資金供給以来である。

 同日。ニューヨーク連銀を通じて、FRBは二四〇億ドル(約二兆九〇〇〇億円)を供給した。これは、二〇〇七年六月に短期金利が上昇したことから大量の資金供給を実施して以来である(『讀賣新聞』二〇〇七年八月一〇日付)。

 二〇〇七年八月一〇日。ECBは約六一一億ユーロ(約九兆九〇〇〇億円)を供給した。これで、二日間で約一五六〇億ユーロ(約二五兆三〇〇〇億円)に達した。
 同日。二〇〇七年八月一〇日。FRBは三五〇億ドル(約四兆円)の資金を供給した。これで九日と一〇日の二日間で五九〇億ドル(約七兆円)の資金が市中に供給された(『讀賣新聞』二〇〇七年八月一一日付)。

 同日。日銀が一兆円の資金を短期市場に一兆円を供給した。

 二〇〇七年八月一〇日。あおぞら銀行がサブプライム・ローン関連で四四億円の含み損が発生したと発表した。

 二〇〇七年八月一三日。米ゴールドマン・サックス、傘下のヘッジファンド支援で三〇億ドルの拠出を発表。

 二〇〇七年八月一四日。ECBは七七億ユーロ(約一・二兆円)の資金を供給した。緊急オペは四営業日連続であった(『讀賣新聞』二〇〇七年八月一五日付)。

 二〇〇七年八月一五日。ECBは、五営業日ぶりに資金供給を行わなかった。ECBのジャンクロード・トリシェ総裁は、一四日の声明で、市場は正常化したと宣言した。

 二〇〇七年八月一五日。FRBは七〇億ドル(約八〇〇〇億円)を供給した。これで、八月九日以来のFRBによる資金供給は、総額七一〇億ドル(約八兆三〇〇〇億円)に上った(『讀賣新聞』二〇〇七年八月一六日)。

 二〇〇七年八月一六日。FRBは一七〇億ドル(約一兆九五五〇億円)を供給した。これで、八月九日以来、総額八八〇億ドル(約一〇兆一二〇〇億円)に達した(『讀賣新聞』二〇〇七年八月一七日付)。

 二〇〇七年八月一七日。FRBは公定歩合を年六・二五%から〇・五%引き下げて五・七五%にまで引き下げた。一六日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が電話会議で決定したという(『讀賣新聞』二〇〇七年八月二〇日付)。

 二〇〇七年八月二一日。FRBのベン・バーナンキ議長は、米上院銀行住宅都市委員会のクリストファー・ドッド委員長と会談し、金融市場の混乱を和らげるべく、「あらゆる措置を講じる」との認識で一致した。FRBは、同日、三七億五〇〇〇万ドル(約四二七五億円)の資金供給を行った。二〇日には三五億ドルを供給した。これで、九日以来の資金供給は総額で一〇一二億五〇〇〇万ドル(約一一兆五四二五億円)になった(『讀賣新聞』二〇〇七年八月二二日付)。

 二〇〇七年八月二三日。日銀が公定歩合利上げを見送り。

 二〇〇七年八月三一日。渡辺喜美金融相は、「格付け会社について、透明性、公平性の観点を踏まえて、規制すべきか研究を開始する。まず実態をきちんと把握することが必要だ」と語った(『讀賣新聞』二〇〇七年八九月一日付)。

 二〇〇七年九月六日。ECBが利上げを見送り。

 二〇〇七年九月一四日。英国のノーザン・ロック銀行に取付騒ぎ発生。イングランド銀行(BOE)が政策金利五・七五%に上乗せした金利で、担保を取って緊急融資をすると発表。

 二〇〇七年九月一七日。ヘンリー・ポールソン米財務長官とアリステア・ダーリング英財務相が会見する。その後、現行預金保険制度の限度額三万五〇〇〇ポンド(約八〇〇万円)を超えた額で預金の全額保証をするとの声明を出した(『讀賣新聞』二〇〇七年九月一九日付)。 

 二〇〇七年九月一八日。FRBがフェデラルファンド(FF)金利を〇・五%引き下げた。それまでの年五・二五%が年四・七五%になったのである。FF金利の引き下げは四年三か月ぶりである。

 二〇〇七年九月一九日。日銀が利上げを見送り。

 二〇〇七年九月二四日。IMFが「国際金融の安定性」を発表。サブプライム・ローン関連の損失が最大二〇〇〇億ドル(約二三兆円)あるとの試算を発表。金融市場への影響を過小評価してはならないとの見方を示した。

 二〇〇七年九月二八日。サブプライム・ローンを手掛けていたインターネット専業銀行で総資産二五億ドル(約二九〇〇億円)のネットバンクが会社更生手続きの適用を申請し、米国では一四年ぶりの大きな金融破綻となった(『讀賣新聞』二〇〇七年一〇月五日付)。

 二〇〇七年一〇月一日。シティ・グループが七~九月決算で、前年同期比で純利益が約六割減少する見込みと発表。

 ベア・スターンズも七月に傘下のヘッジファンド破綻のために、六~八月期の前年同期比で純利益が約六割減少、従業員三一〇人を削減。同行は、ウォーレン・バフェットらと交渉し、買収してもらう可能性がある。

 モルガン・スタンレーも六~八月期の純利益が前年同期比で一七%減、約六〇〇人の削減へ。

 リーマン・ブラザーズ・ホールディングスは六~八月期の純利益が前年同期比で三%減、約一二〇〇人の削減。

 カントリーワイド・ファイナンシャルは二〇〇七年内に最大一万二〇〇〇人の削減。

 ドイツ銀行は七~九月期に約二二億ユーロ(約三六三〇億円)の損失計上見通し。

 ザクセン州立銀行は過大な証券化商品への投資で、資金調達が難しくなり、他のドイツの州立銀行に買収されることになった。

 スイスUSBは、七~九月期の税引き前利益で最大約七九〇億円の赤字見通し。経営幹部が辞任。

 ノーザン・ロックは複数企業から買収を打診されている(『讀賣新聞』二〇〇七年一〇月五日付)。

 二〇〇七年一〇月五日。米大手証券のメリルリンチは、一〇月二四日に発表する予定の第三・四半期(七~九月期)決算で、サブプライム・ローン関連で五五億ドル(約六四三五億円)の損失を計上する見通しになったと発表した。この損失額は、スイスの大手金融UBSがすでに発表した同期のブプライム関連の損失見通し、四〇億スイス・フラン(約四〇〇〇億円)を上回る(『讀賣新聞』二〇〇七年一〇月六日付)。

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