消された伝統の復権

京都大学 名誉教授 本山美彦のブログ

本山美彦 福井日記 47 酒と心臓

2006-12-01 00:39:36 | 酒(福井日記)

 1981年英国のマーモットの調査報告によれば、酒を飲む人の方がまったく飲まない人よりも死亡率が低いという。禁酒家と大量飲酒家よりも少量(酒4勺から1.5強)飲酒家の方が長寿であった。これは「アルコールと死亡率のU字曲線」と呼ばれている。

 

 大酒飲みはガンになる確率が高く、禁酒家は心臓病になる確率が高い。後者はフレンチ・パラドックスと呼ばれている。酒は善玉コレステロールを増やし、血管に付着する悪玉コレステロールを掃除してくれる。また酒は血を固まりにくくさせる。血小板の機能を抑制するのである。したがって、突然の禁酒は生命の危険を伴う。禁酒によってそれまで抑制されていた血小板の機能が一挙に増幅するからである。禁酒後2週間は要注意である。

 

 そもそも血栓を人は悪くいいすぎる。血栓を作る凝固因子は止血効果をもつ。血管の修復が終わった後、固まった血液を溶かすのが線溶因子、このバランスが大事。歳を取るとこの溶血機能が衰える。したがって酒で血栓溶解酵素を活性化させなければならない。日本種1合飲んだ後1時間で酒を飲む前よりも1.7倍溶血酵素が活発になる。心筋梗塞や脳梗塞は月曜日の朝に起きやすい。出勤が嫌だからである。それを予防するためにも日曜日の晩には酒を飲むとよい。

 

 ただし、私はまったく素人。ものの本にそう書いてあった。一合だけなら飲まないほうがましである私は実は酒の健康への効能など認めてはいない。でも酒を上手にコントロールしている人は確かに経験的に見て大きな人物である。