別に「決定力」を鍛えようと思っているわけではありません。
元世界王者がチェスのことを語った本が珍しいことと、究極の頭脳&心理ゲームとも芸術とも言われるチェスってどんなものだろう、という興味から買ってみました。
この本、¥2200ですが、もし、「文字数当たり単価」というのがあれば、かなり安い・お得というぐらい、文章びっしりです。写真の著者の顔相から分かる通り、ひたすらロジカルで断定的な文章が続きますので、まぁ、読むのに疲れます。
しかし、史上最年少で世界王座を奪取し、その後15年間タイトルを保持、2005年に引退してからはロシアの反体制運動に注力、政治家に転身した著者の語りには感じるものがあります。
「ガルリ・カスパロフ」と言ってもご存じない方がほとんどだと思いますが、1996年・97年にIBMのスーパーコンピューター「ディープ・ブルー」と対戦した人間代表と言えば、「あぁ、そんなニュースもあったなぁ。」って思い出す方もいるのでは。
この本の内容を一言で言うと、「チェスとは意思決定の連続である。」ということでしょうか。その「意思決定」を本番(対戦)で誤りなく下していくために何が必要か、ということが延々と語られています。
読み方によっては退屈な本だと思いますが、この本の中から今の自分の立場にとって有用なメッセージを要所要所で読み取っていくという見方をすれば、なかなかに味わいのある本です。
章間に挿入されている、チェス界の歴史上の名プレーヤーのエピソードや語録が、チェスというものがどんなものなのかを垣間見させてくれますが、それも興味深いですよ。
ハウ・ツーものではありません。ガルリ・カスパロフの語るチェスの勝利への意思から読者自らが何かを感じる本です。
くどさ満点ですから、ご購入の際はご注意を。ふぅ~っ、やっと読み終わったぁ、、、