3日目。
朝6時、天草松島が朝陽を浴びて輝いています。
視線を右の桟橋にやると、魚釣りのお客さんがいました。
(戻ってきたのか、これから行くのか。)
新しい温泉をテラスの露天風呂に入れて、さっそく目覚めのひと風呂。
朝食はルームサービスにもできるので、和食と洋食をひとつずつ。
和食のご飯は地元産のお米を土鍋で炊いたもの。
(美味しいご飯の証、ツヤツヤです。)
和食も洋食も品数、クオリティーともに満足でした。
チェックアウトは11時ですが、朝食をルームサービスにしたので、かなりゆっくりとできます。
チェックアウトの後、車を持ってきてもらう間、「ホテル竜宮」のロビーでしばし休憩。
(クジラの尾びれ?)
「天使の梯子」、予約が取りづらくなっている人気ホテルというのも納得の満足感でした。
後で知ったことですが、「天使の梯子」は、2008年(平成20年)8月、「ホテル竜宮」の中の❝ホテル・イン・ホテル❞として、全8室露天風呂付きスイートルームとしてオープンしたそうです。
その名の「天使の梯子」とは、太陽が雲に隠れている時に、雲の切れ間から光が漏れ、光線の柱が放射状に地上に降り注いで見える、いわゆる「薄明光線」のこと。
(ネットより拝借。場所は天草松島ではありません。)
残念ながら、私たちが滞在した間には「天使の梯子」を見ることはできませんでしたが、テラスの露天風呂から見る天草松島の絶景に十二分に満足感を味わうことができました。
本日のスタートは、「天草五橋クルージング」。
「シークルーズ」で受付をして、少し時間があったので、パールセンターの「天草四郎像」を見に行きました。
今回の旅行の下調べにサイトやパンフなどを見ていると、とにかくよく出てくる天草四郎像、是非見てみたかったので、良かったです。
天草四郎像も見ましたので、船着き場へ。
奥の大きな方のクルーズ船に乗ります。
「天草五橋」とは、1号橋「天門橋」(三角~大矢野島)、2号橋「大矢野橋」(大矢野島~永浦島)、3号橋「中の橋」(永浦島~大池島)、4号橋「前島橋」(大池島~前島、最長の510m)、5号橋「松島橋」(前島~天草上島)。
1号橋「天門橋」は昨日渡りました。後ろに見える橋は4号橋「前島橋」ですね。
ちなみに、「五橋クルージング」ですが、1号橋「天門橋」は巡らないので「四橋クルージング」です。(笑)
さぁ、そろそろ出港です。
(桟橋からパールセンターを望む。てっぺんの巨大❝真珠❞がなぜかウケる。)
乗船は私たち夫婦と、小さな子どもを連れた三世代家族6人で、ゆったりと楽しめました。
5号橋「松島橋」。
しばらくすると、「ホテル竜宮」の「天使の梯子」、私たちが泊った部屋も見えました。
今日も快晴、空の青さと海風が爽やかです(が、やっぱり暑いです)。
(遠く3号橋「中の橋」を望みます。)
2号橋「大矢野橋」。
調べてみると、1号橋から5号橋まで、5つの橋は全て工法が異なっていて、そのせいか、見た感じもそれぞれに個性的で、なかなか楽しいクルーズでした。
30分とお手軽ですので、おススメですよ。
上陸後、乗船場前にあるリゾート観光施設、「リゾラテラス天草」をのぞいてみました。
本日のお宿、「五足のくつ」の夕食のオプションに「天草大王の焼き物」を付けましたが、天草大王、高いですね。
(写真だと量が分かりづらいですが、かなりの少量でこのお値段。)
天草のお土産をサイトでチェックしていると、複数のサイトで第一位になっていた、「四郎の初恋」を発見。
イチジクを使った天草銘菓。試食してみましたが、美味しいけど、お土産物として手が伸びるところまではちょっと、、、。
妻は、こちらを購入。
(くまモンの缶に入った熊本県産のお茶。実物、かわいいです。)
次は、私の希望ですが、天草最高峰の「倉岳」(標高682m)の山頂からの眺望を見るために登ります。
車でほとんど山頂近くまで上がれることと、天草の絶景を紹介するパンフに必ずと言っていいほど登場する、山頂の「倉岳神社」から一望する、八代海に浮かぶ御所浦島、天草五橋、雲仙などの絶景を見たいがためです。
倉岳中腹。参道を❝登山❞したい参拝者はここから登ります。
ここから更に車で登ることができる道があり、最後まで登り切ると、こちらの鳥居前の数台駐車できる場所に到着します。
この見えている階段を上ると、すぐに山頂です。
そして、ここから見る絶景が、こちら。
山頂からほんの少し(十数歩)下ると、倉岳神社が鎮座しています。
山自体が御神体とも言われ、海を守る神様をお祀りしているそうです。
そして、見たかった絶景はこのショット。
さながら、天空に浮かぶ鳥居と天草の島々の絶景コラボです。
神社全景をフレームに納めると、こんなに足場の狭い場所に鎮座されています。
訪れる人もいず、妻としばらくこの絶景を堪能させていただきました。
先程の山頂の石碑に戻ると、お隣に「倉岳霊水」と碑があり、50cm四方ほどの屋根のような形の❝蓋❞が乗っています。持ち上げてちょっと覗いてみましたが、かなり濁っていました。
この霊水の由緒は、お寺の僧侶の方が神社に水が無いことを聞き、祈祷の末、掘り当てられた水とのことです。
山頂から石段を下りる時に視線を上げると、こちらも絶景でした。
倉岳、行き着くには少々時間を要しますが、絶景の多い天草の中でもおススメの絶景です。
次は、「﨑津集落」をめざします。
本当は牛深まで行って「ハイヤ大橋」を見てみたかったのですが、今回は時間の都合で断念。
﨑津までは天草下島の内陸部を走ります。
道中、カッパ伝説のある地区でしょうか、こんな立派なカッパの碑がありました。
ちょっと時間が押しましたが、午後3時頃に「道の駅 﨑津」に到着。
世界文化遺産に登録されたエリアですので、さすがに観光客がそこそこいます。
ひょっとしたら、本日の花火大会の見物客かもしれません。
(偶然、この日でした。)
今晩の「﨑津みなとのフェスティバル」のため、集落への車の乗り入れは地元の方のみと規制されていましたので、道の駅に駐車して、少し歩きます。
すぐにこの羊角湾越しの景色を見ることができます。
(なかなかの風情です。)
集落に入った所で、職場の方に紹介していただいた「羊角水産」を発見。
「アジの干物ならここ!」と教えてもらいましたが、まだまだ旅が続く中、傷んでももったいないので、見るだけにさせていただきました。(各種干物が美味しそう!)
「﨑津教会」です。
(教会内は撮影禁止。何と、畳敷きでした。)
﨑津教会は、長崎の建築家、鉄川与助さんが設計したゴシック様式の教会で、現在の教会は、1934年(昭和9年)、フランス人宣教師ハルブ神父の時代に再建されたそうです。
教会が建つ土地は、ハルブ神父の強い希望で、弾圧の象徴である「絵踏み」が行われた「吉田庄屋役宅跡」が選ばれ、まさに厳しい絵踏みが行われた場所に、現在の祭壇が配置されたそうです。
横に回ってみると、教会を側面から見ることができます。
教会から更に歩いて集落を突き抜けると、「海上マリア像」を遠望できる場所に出ます。
(かなりズームしています。)
ここは、天草下島の絶景夕日スポットのひとつで、夕陽がマリア像を照らす光景を見ることができます。
(季節によっては、夕陽がマリア像の後光のように重なる時期があるそうです。)
道の駅に戻る途中に、「﨑津諏訪神社」があります。
(1647年に創建されたと伝わっています。)
創建以来、﨑津集落の守り神として受け継がれていて、日本の伝統宗教と潜伏キリシタンが共存していました。
1805年の潜伏キリシタン発覚事件である「天草崩れ」の際、信徒たちが所有していた信心具を差し出すよう指定された場所でもあるそうで、神社へ参拝する時も、潜伏キリシタンは、「あんめんりゆうす(=アーメンデウス)」と唱えながら手を合わせていたそうです。
さて、﨑津では、教会、神社、お寺の三宗教の御朱印をセットでいただけます。
こののぼりをたどっていくと、曹洞宗のお寺、「鶴林山 普應軒(ふおうけん)」(江戸時代中期創建)があり、そこでいただけます。
お参りさせていただき、三種類の御朱印帳から選びます。
(写真には写っていませんが、この二種類のほか、紫のものもあります。)
私は一番シンプルなこちらをいただきました。
後程チェックインした「五足のくつ」の図書スペースにもこの「天草﨑津三宗教」の御朱印帳が置かれていました。
10分少々でしょうか、「大江天主堂」に到着。
(ロマネスク様式の教会。)
大江天主堂は、キリスト教解禁後、天草で最も早く建てられた教会で、現在の建物は、1933年(昭和8年)、天草への伝道に生涯を捧げたフランス人宣教師ガルニエ神父が地元信者と協力して建立しました。
ガルニエ神父は、1885年に来日し、長崎の伊王島や上五島で司祭を務め、その後、1892年32歳の時に天草に赴任、49年間の長きにわたり大江教会の主任司祭を務められたそうです。(最初の35年間は﨑津教会の司祭も兼任。)
ガルニエ神父の経歴を見ると、2018年7月に世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、ガルニエ神父の布教の賜物だと思わずにはいられません。
パンフレットは寄付も兼ねて100円。
教会内は﨑津教会同様撮影禁止ですが、このパンフレットから拝借すると、このようになっています。
大江天主堂は、丘の上に建っています。
(天主堂前からの景色。)
大江天主堂の建つ丘の麓には、キリシタン資料館の天草市立「天草ロザリオ館」があります。
建物から離れて丘の上を見ると、大江天主堂を見ることができます。
「天草ロザリオ館」では、潜伏キリシタンに関わる貴重な資料の数々が展示されており、3Dシアターではその歴史を迫力のある映像で分かりやすく解説しています。
﨑津や大江を訪れた時は、ここで勉強するのがおススメです。
﨑津、大江とも、本日のお宿、下田温泉の「五足のくつ」に向かっての道中にありますが、次は、高浜焼の「寿芳窯」。
国内最高品質の白磁原料である天草陶石を産出する天草下島で、上田家代々が生み出してきた独特の磁器文化が高浜焼です。
今回の旅行で是非とも訪問したかった窯元です。
昨晩泊まった「ホテル竜宮 天使の梯子」で使われていた「海松紋(みるもん)」シリーズの中からスープカップのペアと、妻が自宅で使うマグカップで、くまモンが衣装を着ているバージョンを購入。
(くまモンのこの衣装バージョンはネットでも見当たりません。)
閉店間際でしたが、念願の買い物ができて良かったぁ。
さぁ、これで本日の行程は終了、あとは「五足のくつ」に向かうだけです。
道中の道路沿いの「妙見浦」で景色をチェック。
妙見浦は、天草下島西海岸を代表する岩礁で、南方向の少し離れた所にある「十三仏公園」から見ると象の形に見えるのですが、時間の都合で、妙見浦その場での見物です。
(大きい方の島の側面が象の形に見えるそうです。)
電線の映り込みが残念ですが、国指定の名勝天然記念物です。
もう少し早く到着したかったのですが、17時過ぎに、下田温泉の「石山離宮 五足のくつ」に到着。
(チェックインの後、夕陽を見るために外に出た時に撮影。)
「五足のくつ」ほど、泊まったお客さんの評価が分かれる宿は珍しいかも。
重々しい石柱の門をくぐると、鬱蒼とした雑木林に架かる、この橋を渡って、レセプションである「ヴィラ コレジオ」へ。
この「コレジオ」でチェックイン。
フロントのような明確な場所はなく、❝図書コーナー❞でゆったりとチェックイン。
(内装はどことなくバリ島風のテイスト。)
ふと横を見ると、2018年の「ミシュラン」で掲載されたプレートがありました。
客室は全てヴィラ形式(離れタイプ)。
この林の向こうに、私たちの泊まる❝家❞はあります。
昭和時代の普通の家のような玄関。
露天風呂付です。
もちろん温泉は下田温泉(700年を超える歴史があるそうです)の源泉かけ流し。
ナトリウム炭酸水素塩泉の弱アルカリ性高温泉。
今回の3泊の宿は全て天然温泉ですが、泉質を全て異なるものとなるように計画しました。
一番❝ヌルヌル(すべすべ)❞するのは産山村の「やまなみ」、天草松島温泉の「天使の梯子」はサラッとした肌当たり、今日の「五足のくつ」はその中間(「やまなみ」寄りですが)、という感覚です。
さて、「五足のくつ」のコンセプトは、「アジアの中の天草」。
だからかどうかは分かりませんが、鬱蒼とした雑木林はバリ島などアジアンな感じ、ステンドガラスを多用した建物は洋風にも感じます、部屋の障子や丸窓は和風、この混沌とした世界観に困惑する方も多いようですが、私たちは快適に楽しませていただきました。
スナップをパッチワークすると、こうなります。(笑)
(部屋に置かれている茶菓子は、よもぎ饅頭。)
もう一つの素朴な質問、「五足のくつ」という名の由来は?、、、これは私の教養不足故の質問ですね。(笑)
1907年7月~8月、与謝野鉄幹が、北原白秋、木下杢太郎、平野万里、吉井勇の4人を連れて九州各地を旅し、ここ天草にも立ち寄り、私たちが今日訪れた大江天主堂でガルニエ神父にも会ったそうですが、この旅行の記録・紀行文のタイトルである「五足のくつ」に由来します。
天草の夕陽の絶景のひとつ、「下田の夕陽」を見るべく、露天風呂で汗を流した後、駐車場下のガーデンチェアが置かれた休憩処で水平線を眺めていました。
満々の夕陽というわけにはいきませんでしたが、そこそこいい夕陽を見ることができました。
夕食は、「邪宗門」という建物で。
芥川龍之介の作品名とは特に関係なさそうで、建物に入ると、聖歌がそこそこ大きな音量で流れており(最初はどなたかがカラオケルームで熱唱しているのかと思いました(笑))、修道院をイメージさせる個室が廊下を挟んで配置されていて、その一番奥には、マリア像!
なかなかのテイストです。(笑)
乾杯は宿からのサービスのカクテルから。
(「五足のくつ」オリジナルカクテル。)
おそらく天草の陶器・磁器を器として使っている料理は、若い人にはちょっと物足りないかもしれませんが、私たちにはちょうどいい量で、クオリティーも満足。
「是非食べてみたい!」と、私がオプションで追加しておいた、「天草大王の焼き物」。
これが結果的にメインディッシュの役割を担って、コースがいい感じで仕上がりました。
(蓮の葉蒸し焼きで出てきました。)
天草大王、激ウマです。
鶏肉自体にうま味があるというか深みがあるというか、さすが幻の鶏という感想です。
大きなお世話かもしれませんが、逆にもし天草大王を追加していなかったら、ちょっとコースの盛り上がりが小さかったかもしれませんね。
最後は、地蛸のしゃぶしゃぶ。
超大型のタジン鍋を思わせる、味のある土鍋。
下田温泉の北にある苓北町名産のレタスもしゃぶしゃぶでいただきます。
地蛸、最高!
〆は、じゃこ飯か、地蛸のしゃぶしゃぶ後の鍋で作る雑炊を選べます。
欲張って、両方にしてみました。
雑炊は一旦鍋を引いて素早く作って再登場します。
じゃこ飯と雑炊、両方いただきました。
じゃこ飯に付いている「あおさ」の味噌汁が絶品ですが、「どっちか選べ」と言われれば、迷わず雑炊がおススメです!
(雑炊、めちゃウマです。)
さて、今年の旅行が特別というわけではないのですが、妻への日頃の感謝を込めて、ケーキのサプライズを宿にお願いしておきました。
チコちゃんのLINEスタンプがお気に入りの妻に「永遠の5才」のメッセージを添えて。(笑)
ケーキ職人の方、画数の多い漢字が多くてごめんなさい。(「才」が「歳」なら完璧でしたぁ、、、冗談です。)(笑)
ケーキの前にデザートの杏仁豆腐も出ましたので、ケーキは今晩半分いただいて、翌朝、チェックアウトまでの時間にもう半分を美味しくいただきました。
旅の思い出に残る楽しい演出、ありがとうございました。
食後は、もちろん、部屋の露天風呂でゆっくり。
こうして、ささやかなサプライズを仕込んだ3日目も楽しく終わりました。