今回の旅も最終日。
「手塚ryokan」を出発、紫尾温泉を経由して、出水市へ向かいます。
その前に地元の農産物直売所の「ちくりん館」に寄ってみます。地域共通クーポンの対象店ではありませんが、美味しかった地元米を買おうと思います。
「ちくりん館」の名は、さつま町の名物鍋の「ちくりん鍋」に由来していると思います。(「ちくりん鍋」とは、地元で獲れる山太郎ガニ(モクズガニ)、猪や地鶏、筍やゴボウなどの地元の野菜を入れて煮込む、味噌仕立ての鍋だそうです。)
ありました、お米の棚。
写真の棚だけでなく、新米の季節のためか、いろいろなお米が売られています。結構売れていて、既に売り切れている棚もありました。
直感ですが、鹿児島県さつま町産の「なつほのか」を選びました。
(左は初日に栗野駅の土曜市で買った棚田米。)
「なつほのか」は、「平成29年九州お米食味コンクール特別賞受賞」のお米だそうです。(さっそく食べてみましたが、とても美味しいです。)
近くの景勝地「轟の瀬」に立ち寄り。
(川内川にある幅200m、長さ100mの瀬。)
「轟の瀬」は、「曽木の滝」、「神子滝」と並んで「川内川三轟」のひとつ。江戸時代後期、年貢米を運搬するために巨岩を掘削して開いた水路だそうです。
与謝野晶子もここを訪れたようで、歌碑が建っていました。
(与謝野寛(鉄幹)の歌もありますので、夫婦で訪れたのですね。)
今日も地域共通クーポンを使い切るのに苦労しそうですが(笑)、昨晩ネットで探し当てた地元の酒屋「杉元酒店」に行ってみます。
(果たして電子クーポンを使えるかどうか。)
モダンな店構えで入りやすかったので、「まぁ、電子クーポン不可でもお土産に1本買って帰ろう。」という気分です。
入店してすぐに「電子クーポンは使えますか?」と訊いてみると、「大丈夫ですよぉ~。」とのこと。
あまり出回っていないおススメの芋焼酎を教えていただき、2本購入。
「夢鏡」(植園酒造)は、「dancyu」の焼酎特集(2013年9月号)「愛され焼酎第一位」の焼酎。地元の情熱酒販店と蔵元が二人三脚で約10年間、試行錯誤で味を追求して完成した焼酎だそうです。
「女王蜂」(国分酒造)は、日本酒造りに使われる黄麹を使用。独特の香りとまろやかさ、旨みの深い焼酎だそうです。
無事、電子クーポンで支払って店を出ると、妻が「向かいのさつま揚げのお店も使えるはず。」とのことで、入ってみました。
美味しそうなさつま揚げが何種類もあって、お土産に良さそうな詰め合わせのような商品もあります。
買いたかったところですが、ご年配の家族連れの先客が大量購入&クーポン利用で、お店の人もバタバタしていたので、残念ですが何も買わず店を出ました。
これで宮之城温泉とはお別れで、15分程走って「紫尾温泉」に到着。
(なかなかシブい看板です。)
見てみたかった、紫尾温泉の秋の風物詩、柿の渋抜き「あおし柿」。
「紫尾区営大衆浴場」の軒先に設けられた、この柿専用浴槽に渋柿を半日(12時間程)浸けておくと、渋が抜けて、硫黄の香りのする独特の甘い柿になるそうです。
こちらが紫尾区営大衆浴場「神の湯」。
(「神様の湯」ですね。)
私たちは入りませんでしたが、この温泉目当てにお客さんがどんどん来ます。(地元の方の方が多そうでした。)
紫尾温泉の源泉があるのは、「紫尾神社」の拝殿下。
(紫尾神社の拝殿です。右隣は区営大衆浴場の屋根。)
拝殿の片隅にはこの立て看板があります。
ちなみに、紫尾神社は、古くは「紫尾山三所権現」と称し、鶴田や宮之城を含む「祁答院七ヶ郷」の総社にして、北薩の総鎮守。
お参りさせていただきました。(御朱印をいただこうと思いましたが、神事が始まりそうな雰囲気でしたので、やめておきました。)
紫尾温泉を出発、出水市に向かいますが、どんどん山を登って行く感じで、ちょうど峠のあたりで出水市の境界の表示がありました。
山を下り切ると、出水市の市街地まではすぐ。
まずは、「出水麓武家屋敷群」を訪ねます。
(観光客はほとんどいません。)
薩摩藩は「鶴丸城」(鹿児島市)を本城として、藩内各地に外城(とじょう)を配置しました。外城とは、郷士(半農半士)の住宅と陣地を兼ねたもので、これを「麓」と呼びます。(「麓」と言っても山の麓という意味ではないのですね。)
出水は肥後との国境に位置する防衛の要衝だったため、1600年頃から30年の歳月をかけて、薩摩藩最大の武家屋敷群が造られました。(この地に住んだ武士は薩摩藩でも最強クラスだったそうです。)
「出水麓歴史館」・「税所邸」・「竹添邸」の共通入館証(510円)は缶バッジになっていて、購入した年一年間有効。
(もう11月なので、12月いっぱいは有効ということになります。)
まずは「税所(さいしょ)邸」を見学。
(築250年とのこと。)
写真を見ると分かりますが、出水麓武家屋敷群の最大の特徴は、道路を掘り下げ、屋敷の敷地を盛り上げ、敷地内の建物は道路側に配置し(知覧の武家屋敷は道路側は庭、建物は敷地奥)、道路からは屋敷内は見づらく、屋敷からは道路を見通せる、敵襲や監視を意識した造りとなっています。
屋敷の中も見通しがきく造りとなっています。
写真中央の囲炉裏の一辺には床下への抜け道につながる縦穴(普段は板でふさがれている)があります。賊の襲来時に女性・子どもを逃がすためだったそうです。
こちらは上座敷。
(写真右上の縦格子の欄間は薩摩特有のものだそうです。)
税所邸には、武士が嫌うツバキの樹が多く植えられていますが、これは、縁起が悪い(❝首❞が落ちる)ということよりも椿油を採るという実用重視だったため。
次は「竹添邸」です。
(NHK大河ドラマ「篤姫」のロケにも使われたそうです。)
税所邸のツバキとは異なり、竹添邸にはウメの樹が多く植えられていますが、保存食のためで、やはり実用重視。
武家屋敷群の各屋敷の写真がありました。
面白かったのは、写真右下の屋敷は、現在、小学校の校長先生用の❝社宅❞として使われているそうです。(笑)
最後に「出水麓歴史館」でちょっと勉強を。
歩いていると、観光用の牛車が停まっていました。
(「ちはる号」。)
この立派な建物が「出水麓歴史館」。
入口は右側に回り込んだ所にあります。
(島津斉彬公の胸像。その向こうに入口が見えます。)
武家屋敷群というと、今まで漫然と見ていた気がしますが、この出水麓に来て、その緊張感のある役割を知ってみると、ちょっと見方が変わりますね。
薩摩武士と言えば質実剛健の印象ですが、この「日置流秘伝」は迫力満点です。
「日置流(へきりゅう)腰矢指矢」は、薩摩藩で編み出された実戦的な弓術の射法。鉄砲全盛の時代にあって、島津斉彬は、武術の根本である弓術の重要性を説き、実践的な射法の研究を命じ、完成された集団戦術。
今や、出水地域でしか受け継がれていない伝統武芸で、マンホールの蓋の図柄にもなっています。
出水地域は薩摩藩の中でも最も薩摩らしい地域だったのかもしれないと感じました。
出水はツルだけじゃない、「出水麓武家屋敷群」、おススメです。
さて、ここから「出水市ツル観察センター」に向かいますが、途中で遅めの昼食にすることに。
GoToのサイトで妻が見付けた「電子クーポン可」と表示されているお店、「コメダ珈琲店 鹿児島出水店」へ。
(待つことなくコメダ珈琲店に入れたのは初めてです。(笑))
地域共通クーポンを使えるということで、やや注文が太っ腹になった感はありますが、久々に食べてみたかった「シロノワール」も。
(これにドリンク(たっぷりサイズ)を付けました。(笑))
美味しくいただいた後はお会計。
「地域共通クーポンは使えますか?」⇒「はい使えます。」⇒「電子クーポンでお願いします。」⇒「あっ、電子クーポンはまだ対応していなくて、紙クーポンだけです。」⇒「えっ!?」、、、というやり取りとなりました。
ここで教訓。GoToの公式サイトで「電子クーポン可」となっていても信じてはダメ。店頭にこのポスターが貼られているか、電子クーポンに「レ」点チェックが入っているかを必ず確認すること。(笑)
(右は福岡県での写メ。)
電子クーポンが使えなかったのは残念でしたが、久々の「コメダ珈琲店」、美味しかったです。
「出水市ツル観察センター」までは10分強。
(本日、15390羽飛来中。そのうち14735羽がナベツル。❝ナベツル率❞ 96%。(笑))
「出水市ツル観察センター」は、ツルが渡来する冬の時期だけオープン。(令和2年度は11月1日~3月第2日曜日)
(いい記念撮影スポットです。)
入館料220円。
(飛来するツルの種類、映えるシーンが入館券になっています。)
2階の展示室では、パネルやビデオによるツルの情報がシンプルに整理されていて、基本情報として一見の価値があります。
(飛来するツルの数は増加傾向のようです。「タンチョウツルは過去に数度渡来しただけです。」とのコメントあり。)
屋上(3階)は展望台になっていて、飛来地を大パノラマで望むことができます。
いますいます、わんさかいます。
別の方角のエリアにも。羽の色を見ると、ツルの種類が違うようにも見えます。
有料(100円)の望遠鏡で見ると、ツルを間近に見ることができ、ちょっと感動です。
ところで、写真では分かりませんが、ずぅ~っとツルの鳴き声が響き続けています。あまりの数と鳴き声に、なぜだか可笑しくなってきました。
ちなみに、ツルはシベリアから渡ってきますが、5月~6月にシベリアで巣作り・産卵・ひなを育て、10月~3月に出水で子育て・学習・お見合いをするそうです。(鳴きまくっているのは、雌へのアピールですかね。)
ツルを存分に観察できたので、センターを出発。
途中、いい写真が撮れないかと一時駐車して撮ってみました。
(スマホのズーム機能ではこれが限界ですね。)
出水のツル、「出水市ツル観察センター」、一度は来てみたい、見てみたいという所でしたので、念願がかなって良かったです。
さて、残った地域共通クーポンを使い切るために、「ユニクロ 出水店」へ。
ちょうど、妻は部屋着、私は冬ズボンが欲しかったところです。
(ヒートテックのズボン。)
これにて地域共通クーポンは無事使い切りました、、、何だかスッキリした気分。(笑)
最後の訪問地は、出水出身の方が勧めてくれた、「野間之関跡」。
「野間之関」は、1600年前後に設けられた藩境の関所。江戸時代、独自の封建社会を築き上げた薩摩藩は、これに害する恐れのある人々の出入国を管理するため、二重鎖国とも言えるほど厳しい取り締まりを行ったそうです。
関所で使われていた井戸が保存されています。
出水麓の武家屋敷群と野間之関、往時の薩摩藩の峻厳さを今に感じることができる歴史遺産でした。
今回の旅はこれで終了。
妻と私は、当時の国境を越えて、福岡への帰路につきます。
時間の関係で訪れることができなかった、出水のスポット。日本一の大鈴がある「箱崎八幡神社」、地下壕を見学することができる「出水特攻碑公園」。出水を再訪することがあれば訪れてみたいと思います。
<今回の旅のブログ>
霧島温泉・宮之城温泉2泊旅行①〔道中編その1〕
霧島温泉・宮之城温泉2泊旅行②〔霧島温泉「鳥遊ぶ森の宿 ふたり静」編〕
霧島温泉・宮之城温泉2泊旅行③〔道中編その2〕
霧島温泉・宮之城温泉2泊旅行④〔宮之城温泉「手塚ryokan」編〕
霧島温泉・宮之城温泉2泊旅行⑤〔道中編その3〕(完)