16日(木曜日): 法務局との「表示登記実務協議会」があります。
法務局と調査士会とのあいだでの表示に関する登記をめぐる諸問題に関する協議は、表示に関する登記申請のかなりの部分を、土地家屋調査士が、調査・測量を行なって代理申請をしている、という現実の上で、表示に関する登記の適性性を保つために、重要な意味を持つものだと思います。その意味でこの協議は、日常的に行われてしかるべきものだと私は思うのですが、これまでの現状は、必ずしも十分なものとは言えないようにも思えます。現実問題として、一年に一度協議会がもたれるに過ぎず、今週の木曜のものはそれに当たります。開始時間は、午後5時半。
この協議が十分なものとして持たれて来なかったことについては、調査士会の側としても反省すべき点が多いような気がします。
それには、さまざまな問題があるのだとは思いますが、最も基底にある問題は、「表示に関する登記の適性性に責任を持つ」という意識の稀薄性、として考えられるのではないか、と思います。
調査士業務の「官業補助」的な性格(その克服の必要性)ということについて、これまでも何回か書いてきたのですが、もう一度、分解して考えてみます。
「官業」というのは、より今日的な用語で言えば、「行政事務」ということになります。「官業」で言えば「官」と「業」に分けられ、「行政事務」で言えば「行政」と「事務」に分けられます。
さて、調査士が「補助」するものとされているのは、この分解したもののどちらのほうでしょうか?
「官」「行政」の方でしょうか? それとも「業」「事務」の方でしょうか?・・・という問題です。
これについては、本来的ではない考え方が、結構有力であったように思えるます。つまり、「補助」の対象を、二つに分解したうちの「官」「行政(機関)」の側として考える考え方です。逆に言えば、調査士というものへの自己規定を、「官」「行政(機関)」の「補助者」として考える考え方です。
ここに違いがあるのだと思います。調査士の「官業(行政事務)補助」的性格について、それを積極的なものとしてとらえうるのだとすれば、あくまでも「補助」の対象は、「業」「事務」として考えるべきだと、私は思います。「業」「事務」を補助して、それが適性・円滑に進められることを確保することにこそ、「民間の資格者」としての土地家屋調査士の存在意義(「唯一の存在意義」ではないとしても)を考えるべきなのだと思うのです
そのような観点からすれば、国家財政の危機が深刻な課題となり、行政改革の推進が全国家的・国民的な課題となっている現在、登記行政の場面においても、どのようにしてその適正性を確保しながら、行政改革=行政事務のスリム化を実現していくのか、ということに真剣に取り組んでいかなければならないのだと思います。土地家屋調査士は、その課題を「官」「行政機関」のみの問題として、自らの視野の外においてしまってはいけない、ということです。「登記行政」に関わる「民間」の立場、というものを再確認して、国民の視点から行政改革を推し進める存在にならなければならない、と思います。
そのような課題を意識しつつ、「表示登記実務協議会」に向かいたいと思っています。