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2008.2.19 「幻の昆布」

私が勤めていた頃のことです。
極上品の昆布の話です。

勤めていた職場にお客様から、御歳暮が届き、それは和紙に包んで
麻縄で結わえられた大きなもので、極上品の昆布でした。

支店長は、私ともう一人の女性(この二人が最年長でした)に、こ
れを、二人で分けて持って帰りなさいと言って下さいました。

二つに分けて紙袋に入れられた昆布を持ち帰る時、何とも言えない
良い香りがしました。
私は、お盆の料理の1件(2008.2.7付、昆布の芳香)以来、昆布の
香りに大変関心がありましたが、その上質の昆布の香りは、何故か
素晴らしいカレー粉の香りとそっくりだと思いました。
私は、良い香りと言うものは、共通点を持っているのかと、驚きま
した。

又、その香りといい、味といい、さすが極上品は全く違いました。
私はその頃、ポン酢を手作りしていましたが、その極上品を使った
ポン酢は、まさに素晴らしい芳香で味はほっぺたが落ちそうでした。

それから、他所の町へ行った時に、そこに海産物屋さんがあれば、
そこの一番良い昆布の香りを嗅がせて貰ったりしましたが、乾燥し
た状態であの芳香を放つ昆布には、ついに出会えませんでした。

探しても、身近にはないことに気付いた私は、昔本で読んだことを
思い出しました。
それは、昆布の極上品の中に、3年間、室(むろ)の中で熟成させ
る特別上等の昆布があると、書いてあったのです。

きっと、あの時の昆布は、そういうものだったんだ。
それは、どこへ行ったら買えるのだろう?
あれが手に入るのなら、私は北海道の最果ての海岸迄でも行くぞ!

旅行嫌いの私が、そう思ったぐらいですから、よっぽどです。

そして又、思いました。
そうだ、あれはどこかの一流料亭に買い占められて、一般の人の手
には入らないに違いない。
だとしても、それを求めて、わざわざ遠くからやって来た人には、
少しは分けてくれるはずだ。

などなど、思い巡らす日々でした。

あれから、もう20年以上経ちました。
しかし、まだこの「幻の昆布」との出会いを諦めてはいない私です。
私は、やはり相当ひつこい性格の様です。(汗;;)
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