minga日記

minga、東京ミュージックシーンで活動する女サックス吹きの日記

さよなら、愛しのOrnette Coleman....

2015年06月11日 | ライブとミュージシャンたち
Ornetteの訃報が飛び込んで来た。

信じたく無いけれど、どうやら事実のよう・・・。もう一度お会いしたかった。あのはちきれんばかりの音をもう一度生で聴きたかった。

NYのチャイナタウンに住んでいた頃、Ornetteの自宅に電話をかけたら、留守番電話になっていて、その留守番電話が一言も喋らないけれど、Ornetteのサックスとピアノ(たぶん、ヨアヒム・キューン?)のDuoが延々と流れていて・・・メッセージを残して慌ててきったけれど、もう一度その音を聞きたくて電話しちゃったことがあったっけ。

その後、ずっとずっと生音を聴くチャンスがなくて片思いだった私に、山下洋輔氏が「芸術劇場でOrnette Colomanの前座を務めますよ。一曲くらい共演するかもしれませんから。」と招待してくださり、さらに楽屋にまで喚んで下さって・・・。厳重な見張りがあって、なかなか会いたくても会いにいけない状態の中、夢のような出会いがありました。

芸術劇場の大ホールでヨタヨタと登場したオーネット。大丈夫か知らん、と心配そうに見つめる観客。2人のベーシストが激しく、美しく演奏する中でいつもの、あのキラキラとした勇気のでる不思議なオーネットのサウンドが鳴り響く。サックスの音はちっとも衰えていなかった。オーネットのサックスははちきれんばかりの透明感と迫力で私を圧倒。知らない間に涙がぼろぼろ・・・。このときの興奮は今でも忘れられません。(ブログにも書きましたので、そちらもどうぞ。)

洋輔氏が息子のデナードに「彼女はオーネットの曲を僕よりも沢山演奏しているんですよ。」と紹介したものだから、「へ〜、じゃ、今度僕にも教えてくれない?」なんて冗談を交わしていると、オーネットがニコニコと優しい笑顔で部屋に入ってきました。(このあとの話はこちらで。)

そのとき、頂いたサインと「ハーモロディック」の解説メモはお宝にしています。

落ち込んだり、悩んだ時にはいつもオーネットの音を聴いて励まされていた私です。本当に本当に残念ですが、天国でどうぞ安らかに。

ありがとう、Ornette。また会う日まで。