この点、判旨に記載されている原審の判断は、従前の教科書レベルの解釈を前提として、再転相続の熟慮期間は、乙の死亡を知ったときから起算すると判示しつつ、ただ、916条は、乙が、自己が甲の相続人であることを知っていたが、相続の承認又は放棄をしないで死亡した場合を前提にしていると解すべきであるとして、乙が甲の相続人となったことを知らずに死亡した本件に同条は適用されず、丙の熟慮期間は915条により、丙が甲の相続の地位を乙から承継したことを知ったときから起算すると判示していたようである。
この判旨からすると、乙が甲の相続を知っていたかどうかが問題となっているので、丙の認識を問題とする最高裁の判旨の方が丙の保護になっているといえるだろう。
この判旨からすると、乙が甲の相続を知っていたかどうかが問題となっているので、丙の認識を問題とする最高裁の判旨の方が丙の保護になっているといえるだろう。