Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Ronnie Stoots

2009-06-07 | Soft Rock
■Ronnie Stoots / Ashes To Ashes■

  アルバム 1 曲目から Carole King のカバー「Home Again」ということで、気になっていたアルバム。 通して聴き終えると、ボーカリストとしての実力に感心させられました。 派手さはないが、実に上手い歌い手というフレーズがぴったりの Ronnie Stoots のこれはファースト・アルバム。 1971 年の作品です。
  彼のことを調べてみると、その歌の上手さにはきちんとした背景があることを知りました。 Ronnie Stoots は 1960 年代のメンフィスを代表する白人グループ Mar-Keys(マーキーズ)のリード・ボーカリストだったのです。 Mar-Keys は Stax Records の屋台骨を支えたセッション・マンである Steve Cropper、Donald ‘Duck’ Dunn、Don Nix らが所属したスーパー・グループ。 彼らの音は未聴なのですが、そこでリード・ボーカルをつとめていただけのことはあって、表現力はもちろんのこと、ほのかな色気も漂わせた深い味わいが堪能できる作品となっています。

  このアルバムは、Ronnie Stoots が Steve Cropper と共同で設立した TMI からリリースされたのですが、レーベル自体が長続きしなかったことと、Ronnie Stoots が早々に音楽からリタイアし、デザインの世界に転進したこともあって、これが彼の唯一のソロ・作品です。 アルバムには、Carole King、James Taylor、David Gates といった著名な SSW のカバーが収録されており、Ronnie Stootsのオリジナルは 1 曲もないことから、強引にソフトロックにカテゴライズしてしまましたが、そこはこのブログのカテゴリー設定の不備からくるものなので、気にしないで下さい。

  アルバムのハイライトは、ラテン界の大御所 Jose Fericiano が参加した「Ashes To Ashes」に尽きるでしょう。 この浮遊感あふれるメロウネスは、体の芯を抜き去ってしまうかのようです。 ちなみに、この曲は当時絶好調だったソングライター&プロデュース・チームの Lambert and Potter の曲で、オリジナルは Fifth Dimension のようです。
  続く出来なのが A 面では「Home Again」、「Bye Bye Darlin’」、B 面ではDavid Gates の「The Other Side Of Life」、「Girls With A Smile」、「Child Of Mine」、「The Closet I Ever Came」といったあたりです。 B 面は特にミディアムで余裕のある楽曲が続くので、どの曲も甲乙を付けがたいレベルに仕上がっています。 豪華なミュージシャンのサポートだけでなく、優れたアレンジやストリングスに支えられて、聴き応えは十分です。 個人的には、やはり馴染みのある「Child Of Mine」が頭一つ抜けているとは思いますが。

  このアルバムの不思議なところは、南部の匂いや泥臭さが全く感じられないところです。 骨太のリズムセクション、煌びやかなホーンセクションはここでは抑制され、極めて MOR に近いサウンド指向が徹底されています。 工事現場に座り込んでしまったジャケットは全く評価できませんが、そのサウンドとマッチしたRonnie Stoots のボーカルの魅力は、通常より薄めの塩化ビニールに閉じ込められているのです。
  先ほども書いたよう彼はデザイナーに転進したのですが、あの有名な Stax Records のロゴを作成したのが、なんとこの Ronnie Stoots なのだそうです。 



■Ronnie Stoots / Ashes To Ashes■

Side-1
Home Again
Sweet Dream Woman
My First Night Alone Without You
Ashes To Ashes
Bye Bye Darlin’

Side-2
The Other Side Of You
Girl With A Smile
Long Ago And Far Away
Child Of Mine
Everybody’s Loved By Someone
The Closet I Ever Came

Produced by Steve Cropper, Ron Capone, Glen Spreen
Arrangements : Glen Spreen, Dale Warren

Special thanks to the TMI staff of musicians ;
Steve Cropper : guitar
Paul Cannon : guitar
Tim Goodwin : guitar
David Mayo : guitar
Jimm Johnson : bass
J.A. Spell : keyboards
Richie Simpson : drums
Joel Williams : drums

Jose Fericiano appears on ‘Ashes To Ashes’

Background singers : David Mayo, Bob Lehnert, David Beaver, Pat Taylor, Nashville Edition on ‘Home Again’

TMI Records TMS-1002


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