■The Ship / A Contemporary Folk Music Journey■
ソフトロックの名グループ Sagittarius で有名な Gary Usher がプロデュースということで、その筋のファンには有名な The Ship のアルバムをご紹介します。 1972 年に Elektra から発表されたこのアルバムは、大仰なタイトルとシンプルなジャケットデザインもあって、初めて手にしたときに即買いしてしまいました。 たしか、10 年ほど前に僕が札幌に転勤していたときに、行きつけだった中古レコード店で買ったものだと記憶しています。 あの狸小路の端っこのほうにあったレコード店はまだやっているのかな。
さて、アルバムは曲のタイトルを見ても想像できるようなコンセプト・アルバムとなっています。 アルバム全体を通じて、曲間がほとんどなく、メドレーかのように連続していくところが特徴となっています。 The Ship のメンバーは 5 人なのですが、そのうち 3 人がギターで、残りがピアノとベースという編成。 その構成が良くも悪くもサウンドの特徴として表れています。 ギターのアルペジオとフルートに導かれて始まる「The Ship」、アップテンポのピアノが中心となる「The Order」、静寂感のあるミディアム「Innocence」と続きますが、タイトル名で大よその雰囲気が分かってしまうところが、逆にリスナーとしては面白くないような気もします。 ドブロ・ギターも入ったカントリー調の「The Man」につづく、「The Calm」は曲名どおりのゆったりしたミディアム・ナンバー。 中盤から後半のコーラスも美しく、時折表れるフルートもアクセントとなっています。 そして、一転して激しいタッチのピアノで始まる「The Storm」で A 面は終了。
B 面は単調で曲の長さにちょっといらいらする「Lost」で始まります。 曲調が少し変わったかなと思ったら次の「The Island」です。 この曲は、「The Calm」と並ぶ名曲で、ピアノを基調にしたバラードですが、ハーモニカのソロなどが哀愁を感じさせます。アップな「The Reason」、動と静のサンドイッチ構造の「The Return」は中盤のハーモニーが美しい曲。 ラストの「The Ship」はアルバムの締めとなる雄大な曲です。
アルバムを聴き終えて感じるこの物足りなさは何なのだろうと考えてみました。 アレンジやコーラスに欠点があるわけでもないので、やはりメロディー、とくにサビの部分がわかりにくい曲作りにやや難があるように感じます。 そして、曲の緩急はあるものの、アルバム全体を引き締めるような曲にも恵まれなかったため、やや冗長な印象を与えてしまっています。 そして最大の欠点は、個人的にはドラムとパーカッションの不在だと思います。 メンバー編成に良くも悪くも、と書いたのはそこでして、やはり全曲を通してドラムレスにする必然性が感じられません。むしろ、曲を似通ったふうに聴こえてしまうのです。
そんな、The Ship のこのアルバム。 ワーナー傘下の Elektra からのリリースなのですが、未だに CD 化されていません。 Gary Usher の神通力だけでも何とかなりそうなのですが。
さて、次回は、つい最近までその存在すら知らなかった The Ship のセカンド・アルバムをご紹介したいと思いますので、お楽しみに。
■The Ship / A Contemporary Folk Music Journey■
Side-1
The Ship
The Order
Innocence
The Man
The Calm
The Storm
Side-2
Lost
The Island
The Reason
The Return
The Ship
Music by Steve Melshenker & Steve Cowan
Performed by The Ship
Steve Melshenker : 6 strings guitar , vocals
Steve Cowan : 12 strings guitar , vocals
Steve Reinwand : lead guitar , dobro , mouth harp , vocals
Mark Hamby : piano , flute , vocals
Todd Bradshaw : 4&8 string bass
Tim Scott : cello
Produced by Gary Usher
Elektra EKS-75036
ソフトロックの名グループ Sagittarius で有名な Gary Usher がプロデュースということで、その筋のファンには有名な The Ship のアルバムをご紹介します。 1972 年に Elektra から発表されたこのアルバムは、大仰なタイトルとシンプルなジャケットデザインもあって、初めて手にしたときに即買いしてしまいました。 たしか、10 年ほど前に僕が札幌に転勤していたときに、行きつけだった中古レコード店で買ったものだと記憶しています。 あの狸小路の端っこのほうにあったレコード店はまだやっているのかな。
さて、アルバムは曲のタイトルを見ても想像できるようなコンセプト・アルバムとなっています。 アルバム全体を通じて、曲間がほとんどなく、メドレーかのように連続していくところが特徴となっています。 The Ship のメンバーは 5 人なのですが、そのうち 3 人がギターで、残りがピアノとベースという編成。 その構成が良くも悪くもサウンドの特徴として表れています。 ギターのアルペジオとフルートに導かれて始まる「The Ship」、アップテンポのピアノが中心となる「The Order」、静寂感のあるミディアム「Innocence」と続きますが、タイトル名で大よその雰囲気が分かってしまうところが、逆にリスナーとしては面白くないような気もします。 ドブロ・ギターも入ったカントリー調の「The Man」につづく、「The Calm」は曲名どおりのゆったりしたミディアム・ナンバー。 中盤から後半のコーラスも美しく、時折表れるフルートもアクセントとなっています。 そして、一転して激しいタッチのピアノで始まる「The Storm」で A 面は終了。
B 面は単調で曲の長さにちょっといらいらする「Lost」で始まります。 曲調が少し変わったかなと思ったら次の「The Island」です。 この曲は、「The Calm」と並ぶ名曲で、ピアノを基調にしたバラードですが、ハーモニカのソロなどが哀愁を感じさせます。アップな「The Reason」、動と静のサンドイッチ構造の「The Return」は中盤のハーモニーが美しい曲。 ラストの「The Ship」はアルバムの締めとなる雄大な曲です。
アルバムを聴き終えて感じるこの物足りなさは何なのだろうと考えてみました。 アレンジやコーラスに欠点があるわけでもないので、やはりメロディー、とくにサビの部分がわかりにくい曲作りにやや難があるように感じます。 そして、曲の緩急はあるものの、アルバム全体を引き締めるような曲にも恵まれなかったため、やや冗長な印象を与えてしまっています。 そして最大の欠点は、個人的にはドラムとパーカッションの不在だと思います。 メンバー編成に良くも悪くも、と書いたのはそこでして、やはり全曲を通してドラムレスにする必然性が感じられません。むしろ、曲を似通ったふうに聴こえてしまうのです。
そんな、The Ship のこのアルバム。 ワーナー傘下の Elektra からのリリースなのですが、未だに CD 化されていません。 Gary Usher の神通力だけでも何とかなりそうなのですが。
さて、次回は、つい最近までその存在すら知らなかった The Ship のセカンド・アルバムをご紹介したいと思いますので、お楽しみに。
■The Ship / A Contemporary Folk Music Journey■
Side-1
The Ship
The Order
Innocence
The Man
The Calm
The Storm
Side-2
Lost
The Island
The Reason
The Return
The Ship
Music by Steve Melshenker & Steve Cowan
Performed by The Ship
Steve Melshenker : 6 strings guitar , vocals
Steve Cowan : 12 strings guitar , vocals
Steve Reinwand : lead guitar , dobro , mouth harp , vocals
Mark Hamby : piano , flute , vocals
Todd Bradshaw : 4&8 string bass
Tim Scott : cello
Produced by Gary Usher
Elektra EKS-75036
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます