Reflections of Tomorrow

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Roxanne & Dan Keding

2008-01-19 | Folk
■Roxanne & Dan Keding / From Far & Near■

  Roxanne & Dan Keding はウィスコンシン州をベースに、トラディショナルなフォークソングを丁寧に歌った心温まるデュオ。 この頃ふたりは音楽のみならず人生でもパートナーでしたが、彼らの奏でる無垢で素朴な味わいのある音楽には手織物のような肌触りがあります。
  1980 年にリリースされたこのアルバムは、1 曲を除いてトラッドばかりを集めた作品となっており、サウンドもアコースティックでシンプル極まりないもの。 Roxanne が澄んだ高音のボーカルを、Dan が渋いアルトを交互に繰り広げるというパターンが多く、時には二人の声がたわむれる蝶のように重なり合うこともあります。 そこに感じ取るのは楽曲に対して忠実であろうとする姿勢と、歌を伝承するという使命感みたいなものです。 そんなに肩肘張ったものではないかもしれませんが、テクノロジーやエンターテイメントからはかけ離れた音楽には違いありません。

  気になる曲といえば、「Willie Of Winsbury」です。 この曲のみフルートが入ってくることもあり、美しいメロディーとともに耳に残ります。 Roxanne のボーカルとフルートが交錯するあたりはアルバムでも屈指の場面でしょう。 ところでメロディーにどこか聴き覚えがあると思ったら、Fairport Convention の「Farewell Farewell」と同じなのです。 Fairport Convention のほうが改作しているようですが、手元に「Leige And Lief」が無いのでクレジットでの確認はできません。 こちらのブログが参考になりました。

  このアルバムには、Child Ballad と書かれた曲が 2 曲収録されており、1曲は先の「Willie Of Winsbury」で #100 という番号が、もう 1 曲は「Robinhood」で #120 という番号が振られています。  この Child Ballad とは何なのか。 さきほどまでは「童謡」に違いないと勝手に思い込んでいました。 「子どものバラード」と思い込んだ解釈です。 しかし、これは全くトンチンカンだったのです。 Child Ballad の Child は子どもではなくFrancis James Child という学者の名前だったのです。
   Wikipedia にもあるように、19 世紀の学者フランシス・ジェームズ・チャイルド(Francis James Child)は、イギリスとアメリカのフォークソングを収集調査して分類を行い付番したものを 5 巻の出版物にまとめました。 それが、チャイルド・バラッドなのです。 今まで何度か目にしたことのある言葉でしたが、意味までは深く考えませんでした。

  Roxanne & Dan Keding は、このアルバムの翌年 1981 年に同じ Traveller Records から「In Came That Rooster」を発表しています。 こちらの方は持っていませんので機会があったら手にしたいと思います。 その後、ふたりはコンビを解消してしまったようで、Dan Keding はソロとして数枚の作品を発表。 公式サイトからは元気そうな姿が伝わってきます。 一方の Roxanne Keding も、Roxanne Neat として地元の小さなクラブやライブハウスで地道に活動している模様です。



■Roxanne & Dan Keding / From Far & Near■

Side-1
Prickilie Bush
Lord Franklin
Lady Franklin’s Lament
Botler
The Little Drummer
Willie Of Winsbury
Bonnie Black Bess

Side-2
Oats & Beans
Robinhood
Gypsy Davy
Haste To The weddeing
Play Us A Waltz
Rivers Of Wisconsin

Produced by Mary Donn & Roxanne & Dan Kedding
Arranged by Roxanne & Dan Keding

All Songs are traditional except for ‘Play Us A Waltz’ by Charlie Maguire and ‘Rivers Of Wisconsin’ words by Dan Keding

Roxanne Keding : six string guitar , autoharp , dulcimer , bones , vocals
Dan Keding : six & twelve string guitar , vocals

John Knudson : alto flute on ‘Willy Of Winsbury’
Phil & Sue Whitford : background vocals on ‘Play Us A Waltz’

Recorded at Audio Ltd. Cross Plains, Wisconsin
Mastering by Bob Berglund at Sound 80 , Minneapolis , Minn.

Traveler Records


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