■Paul MacNeil / If It Rains■
名門レーベル Just Sunshine のなかでも、特に美しいジャケットで有名なのが、この Paul MacNeil の残した作品です。 今日は、1974 年に発表された彼の唯一のレコードを取り上げることにしましょう。 このブログで、Just Sunshine Records のアルバムを取り上げるのは、意外にも初めて。 以前から、Nick Holmes か Paul MacNeil のどちらかから紹介しようと思っていましたが、夏休みの最終日になんとなくこちらを選んでみました。
このアルバムはいろいろと謎の多い作品です。 そもそも彼の経歴がまったく不明で、他のアルバムでクレジットをみた記憶がありません。 というのも、あまり演奏には熱心でなかったようで、全 10 曲のうち 4 曲は演奏していません。 ギターで参加している曲も、Doobie Brothers の Jeff Baxter のような個性的なギタリストの影に隠れてしまっています。 ということもあって、他のアーティストの作品にゲスト参加しようにも、する理由が見当たらないのです。
曲は 1 曲を除き、Paul 本人の作品なのですが、ここにも不思議な現象が見られます。 アルバムの発表は 1974 年なのですが、曲はいずれも 1967 年から 1971 年に作られたものなのです。 アルバム発表までに丸 2 年もの空白が存在しているのはどうしてでしょうか? 個人的には、レコーディングは 1971 年か 1972 年に行われており、発売だけが遅れたのではないかと推測しています。 もし、そうだとしてもその理由は分かりませんが。
さて、内容のほうですが、かなり偏屈でユニーク、かつバラエティに富んだ SSW アルバムとなっています。 曲によっては、アシッド感を持つものもあり、なかなか掴みどころに困るアルバムといえるでしょう。 個人的に好きなのは、「Love was Easy」や「Silver Love Line」といったピアノ系 SSW 作品ですね。 一方ではギターの弾き語り中心の「Rocky's Tune」や「The Letter」も味わい深いものがあります。 「The Letter」は、Robin Batteaux のヴァイオリン・ソロがかなりの怪演なのですが、ボーカルパートの途中で、中途半端にフェードアウトしてしまうところが残念。 全体的には Jeff Baxter のギターも目立つのですが、なかでも「Stuck On You」でのジャジーなプレイや、「The Devil」での攻撃的なプレイ、「The Stairway」でのカントリー系スティールギターなど、サウンド面ではかなり多彩な貢献だと言えるでしょう。 ラストの「Broken Pieces」は、Lesley Moore という女性のバックコーラスのせいか、マイナー調のソフトロックみたいな仕上がりです。 こうして久しぶりに聴くと、散漫で統一感が希薄なうえに、圧倒的な存在感を持つ出色の曲がないことを再認識してしまうのですが、そうだと分かっていても何か不思議な引力を持っているのは、この Just Sunshine に共通の魔力なのかも知れませんね。
最後に、Just Sunshine の謎についても語っておきましょう。 品番は JSS-1 からはじめる連番と、JSS-3000 から始まる連番との 2 種類が存在します。 おそらく 3000 番の White Elephant が最初のリリースだと思いますが、この 2 種類が存在した意味合いについては明確な理由は分かりません。 またJ ust Sunshine がレーベルとして独立していた時期にも不思議な現象が見られます。 あの Karen Dalton の名盤「In My Own Time」も Just Sunshine なのですが、品番は Paramount のものになっています。 また、Rhinestones の 20th century 盤にも Just Sunshine のクレジットとロゴを見つけることができます。 さらには、あの Eric Gale や Richard Tee 、Steve Gadd などによるスーパー・バンド Stuff の「More Stuff」の国内盤 CD にも Just Sunshine のロゴがありました。 これはどういうことなのでしょうか?
Just Sunshine のロゴは、そのデザインから古代のオウム貝の化石みたいに見えます。 そうしたことから、Just Sunshine Records という湖が生まれる前には Paramount に寄生し、湖が干上がってからは、20th Century や Warner へと生息地を変えてやがて絶滅した謎の魚介類という学説を唱えたいのですが。
■Paul MacNeil / If It Rains■
Side-1
Love was Easy
Sunshine Lady
If It Rains
Rocky's Tune
Silver Love Line
Side-2
The Letter
Stuck On You
The Devil
The Stairway
Broken Pieces
R. Willy North : drums
Abraham Laboriel : bass
Stephen Merriman : piano
Adam Taylor : acoustic guitar , background vocal
Robin Batteaux : violins
Jim Wilkins : drums
Tom Caulfield : bass
Jeffrey Lass : piano
Jeffrey ‘Skunk’ Baxter : electric guitar , steel guitar
David woodford : saxophones
Paul MacNeil : acoustic guitar , background vocal
Ken Girard : acoustic guitar
Ed Cooper : saxophones
Bob Keys : electric guitar
Michael Walsh : bass
David Humphreys :drums
Bill Plante : piano
‘Rocky’ Rockwood : harmonica
Lesley Moore : background vocal
Produced by Adam Taylor
Engineerd by Adam Taylor
Recorded at Intermedia Sound , Boston , Massachusetts
Words and Music by Paul Macneil
Except 'Broken Pieces' by Christopher Tsiorbas
Just Sunshine Records JSS-10
名門レーベル Just Sunshine のなかでも、特に美しいジャケットで有名なのが、この Paul MacNeil の残した作品です。 今日は、1974 年に発表された彼の唯一のレコードを取り上げることにしましょう。 このブログで、Just Sunshine Records のアルバムを取り上げるのは、意外にも初めて。 以前から、Nick Holmes か Paul MacNeil のどちらかから紹介しようと思っていましたが、夏休みの最終日になんとなくこちらを選んでみました。
このアルバムはいろいろと謎の多い作品です。 そもそも彼の経歴がまったく不明で、他のアルバムでクレジットをみた記憶がありません。 というのも、あまり演奏には熱心でなかったようで、全 10 曲のうち 4 曲は演奏していません。 ギターで参加している曲も、Doobie Brothers の Jeff Baxter のような個性的なギタリストの影に隠れてしまっています。 ということもあって、他のアーティストの作品にゲスト参加しようにも、する理由が見当たらないのです。
曲は 1 曲を除き、Paul 本人の作品なのですが、ここにも不思議な現象が見られます。 アルバムの発表は 1974 年なのですが、曲はいずれも 1967 年から 1971 年に作られたものなのです。 アルバム発表までに丸 2 年もの空白が存在しているのはどうしてでしょうか? 個人的には、レコーディングは 1971 年か 1972 年に行われており、発売だけが遅れたのではないかと推測しています。 もし、そうだとしてもその理由は分かりませんが。
さて、内容のほうですが、かなり偏屈でユニーク、かつバラエティに富んだ SSW アルバムとなっています。 曲によっては、アシッド感を持つものもあり、なかなか掴みどころに困るアルバムといえるでしょう。 個人的に好きなのは、「Love was Easy」や「Silver Love Line」といったピアノ系 SSW 作品ですね。 一方ではギターの弾き語り中心の「Rocky's Tune」や「The Letter」も味わい深いものがあります。 「The Letter」は、Robin Batteaux のヴァイオリン・ソロがかなりの怪演なのですが、ボーカルパートの途中で、中途半端にフェードアウトしてしまうところが残念。 全体的には Jeff Baxter のギターも目立つのですが、なかでも「Stuck On You」でのジャジーなプレイや、「The Devil」での攻撃的なプレイ、「The Stairway」でのカントリー系スティールギターなど、サウンド面ではかなり多彩な貢献だと言えるでしょう。 ラストの「Broken Pieces」は、Lesley Moore という女性のバックコーラスのせいか、マイナー調のソフトロックみたいな仕上がりです。 こうして久しぶりに聴くと、散漫で統一感が希薄なうえに、圧倒的な存在感を持つ出色の曲がないことを再認識してしまうのですが、そうだと分かっていても何か不思議な引力を持っているのは、この Just Sunshine に共通の魔力なのかも知れませんね。
最後に、Just Sunshine の謎についても語っておきましょう。 品番は JSS-1 からはじめる連番と、JSS-3000 から始まる連番との 2 種類が存在します。 おそらく 3000 番の White Elephant が最初のリリースだと思いますが、この 2 種類が存在した意味合いについては明確な理由は分かりません。 またJ ust Sunshine がレーベルとして独立していた時期にも不思議な現象が見られます。 あの Karen Dalton の名盤「In My Own Time」も Just Sunshine なのですが、品番は Paramount のものになっています。 また、Rhinestones の 20th century 盤にも Just Sunshine のクレジットとロゴを見つけることができます。 さらには、あの Eric Gale や Richard Tee 、Steve Gadd などによるスーパー・バンド Stuff の「More Stuff」の国内盤 CD にも Just Sunshine のロゴがありました。 これはどういうことなのでしょうか?
Just Sunshine のロゴは、そのデザインから古代のオウム貝の化石みたいに見えます。 そうしたことから、Just Sunshine Records という湖が生まれる前には Paramount に寄生し、湖が干上がってからは、20th Century や Warner へと生息地を変えてやがて絶滅した謎の魚介類という学説を唱えたいのですが。
■Paul MacNeil / If It Rains■
Side-1
Love was Easy
Sunshine Lady
If It Rains
Rocky's Tune
Silver Love Line
Side-2
The Letter
Stuck On You
The Devil
The Stairway
Broken Pieces
R. Willy North : drums
Abraham Laboriel : bass
Stephen Merriman : piano
Adam Taylor : acoustic guitar , background vocal
Robin Batteaux : violins
Jim Wilkins : drums
Tom Caulfield : bass
Jeffrey Lass : piano
Jeffrey ‘Skunk’ Baxter : electric guitar , steel guitar
David woodford : saxophones
Paul MacNeil : acoustic guitar , background vocal
Ken Girard : acoustic guitar
Ed Cooper : saxophones
Bob Keys : electric guitar
Michael Walsh : bass
David Humphreys :drums
Bill Plante : piano
‘Rocky’ Rockwood : harmonica
Lesley Moore : background vocal
Produced by Adam Taylor
Engineerd by Adam Taylor
Recorded at Intermedia Sound , Boston , Massachusetts
Words and Music by Paul Macneil
Except 'Broken Pieces' by Christopher Tsiorbas
Just Sunshine Records JSS-10