■Pete McCabe / The Man Who Ate The Plant■
ちょっと迷いましたが、やはり自分の持っている Tumbleweed 作品を紹介することにします。 品番順ということで、今日は Pete McCabe が 1973 年に発表したアルバムを紹介します。
自身の手による不思議なジャケット、そしてタイトルからして、独特の存在感のあるアルバムですが、唯一の作品ということもあってか、SSW ファンのなかでは一定の評価を得ているアルバムだと思います。
まず、アルバムのクレジットで注目されるのが、Jim Keltner、Larry Knechtel、Chuck Rainey、Louis Shelton というLAの大物スタジオ・ミュージシャンの参加です。 このメンバーなので、標準以上のサウンドを期待してしまいますが、それは見事に空振り。 特にリズムセクションの 2 人はほとんど活躍の場が無かっただけに、1980 年前後の AOR シーンに見られた無駄な名前貸しのような気さえしてしまいます。 これも、プロデューサーの Bill Szymczyk の人脈なのでしょうか。 ちなみに、Bill Szymczyk (シムジクと読むらしいです)は、後に Eagles の Hotel California で一躍名をあげたプロデューサーです。
さて、内容の方ですが、一貫していえるのが、Pete McCabe によるテナー・バンジョーの音が妙に目立つという点です。 このテケテケ感が随所に表れるのは同時代の SSW としては珍しいと思います。 アルバムは代表的な楽曲と言ってもよい「Magic Box」から始まります。 浮遊感のあるアコースティックサウンドにナイーブなボーカルが乗り、次第にストリングスが厚みを加えていくというオーソドックスな展開ではありますが、個人的にはかなり好きです。 つづいて、初期の Tom Waits に少し曲調と指向が似ている「Suicide」、Pedal Steel が入ることで癒し系のカントリーとなった「I’ll Be Your Sweetheart」、ギターとストリングスが桃源郷のような世界をかもし出す「Lullaby」と続きます。 三味線かと間違えてしまう Tenor Banjo をメインにしたアップチューン「Feelin’ Lonely」は、変拍子を交えた緩急自在の展開から、かなりサイケな曲に仕上がっています。
B面に移ると、ニルソン風の小曲「Bijou」、Tenor Banjo に乗せた「Late Letter」は、小心者のラブレターという私小説的な世界。 ハープシコードと思しきサウンドがベースとなる「The Experiment」も、淡々としながらも少し不安定な気分にさせられます。 つづく、「I Put The Smiles Back On Their Faces」はニルソン風のニッチポップという感じ。 タイトル曲「The Man Who Ate The Plant」も、Pete McCabe の変人ぶりを想像させるほんわかした曲です。 ラストの「Music Box」は、ストリングスとホーンによるドラマティックな展開と抑制されたボーカルの対比が印象に残る名曲。 オープニングの「Magic Box」と対を成しているのかのようです。
久しぶりにこのアルバムを通して聴きましたが、繰り返しになりますがテケテケした Tenor banjo と感情移入しないボーカル、不思議なアレンジメントなどが融合しあって、かなり個性的な作品になっていると思います。 数年に一度は、忘れないように針を落として行きたいアルバムです。
■Pete McCabe / The Man Who Ate The Plant■
Side-1
Magic Box
Suicide
I’ll Be Your Sweetheart
Lullaby
Feelin’ Lonely
Side-2
Bijou
Late Letter
The Experiment
I Put The Smiles Back On Their Faces
The Man Who Ate The Plant
Music Box
All Words and Music by Pete McCabe
Arranged and Conducted by Jimmie Haskell
Produced and Engineered by Bill Szymczyk
Jim Keltner : drums and percussions
Larry Knechtel : keyboards
Chuck Rainey : electric bass
Louis Shelton : electric guitar , acoustic guitar on B⑤,B⑥
Pete McCabe vocals , acoustic guitar, tenor banjo , piano on A②,B⑥
Plas Johnson : sax on A②
Buddy Emmons : pedal steel on A③,B⑥
Sid Sharp : strings section leader
Ollie Mitchell : horn section leader
Tumbleweed Records TWS 105
ちょっと迷いましたが、やはり自分の持っている Tumbleweed 作品を紹介することにします。 品番順ということで、今日は Pete McCabe が 1973 年に発表したアルバムを紹介します。
自身の手による不思議なジャケット、そしてタイトルからして、独特の存在感のあるアルバムですが、唯一の作品ということもあってか、SSW ファンのなかでは一定の評価を得ているアルバムだと思います。
まず、アルバムのクレジットで注目されるのが、Jim Keltner、Larry Knechtel、Chuck Rainey、Louis Shelton というLAの大物スタジオ・ミュージシャンの参加です。 このメンバーなので、標準以上のサウンドを期待してしまいますが、それは見事に空振り。 特にリズムセクションの 2 人はほとんど活躍の場が無かっただけに、1980 年前後の AOR シーンに見られた無駄な名前貸しのような気さえしてしまいます。 これも、プロデューサーの Bill Szymczyk の人脈なのでしょうか。 ちなみに、Bill Szymczyk (シムジクと読むらしいです)は、後に Eagles の Hotel California で一躍名をあげたプロデューサーです。
さて、内容の方ですが、一貫していえるのが、Pete McCabe によるテナー・バンジョーの音が妙に目立つという点です。 このテケテケ感が随所に表れるのは同時代の SSW としては珍しいと思います。 アルバムは代表的な楽曲と言ってもよい「Magic Box」から始まります。 浮遊感のあるアコースティックサウンドにナイーブなボーカルが乗り、次第にストリングスが厚みを加えていくというオーソドックスな展開ではありますが、個人的にはかなり好きです。 つづいて、初期の Tom Waits に少し曲調と指向が似ている「Suicide」、Pedal Steel が入ることで癒し系のカントリーとなった「I’ll Be Your Sweetheart」、ギターとストリングスが桃源郷のような世界をかもし出す「Lullaby」と続きます。 三味線かと間違えてしまう Tenor Banjo をメインにしたアップチューン「Feelin’ Lonely」は、変拍子を交えた緩急自在の展開から、かなりサイケな曲に仕上がっています。
B面に移ると、ニルソン風の小曲「Bijou」、Tenor Banjo に乗せた「Late Letter」は、小心者のラブレターという私小説的な世界。 ハープシコードと思しきサウンドがベースとなる「The Experiment」も、淡々としながらも少し不安定な気分にさせられます。 つづく、「I Put The Smiles Back On Their Faces」はニルソン風のニッチポップという感じ。 タイトル曲「The Man Who Ate The Plant」も、Pete McCabe の変人ぶりを想像させるほんわかした曲です。 ラストの「Music Box」は、ストリングスとホーンによるドラマティックな展開と抑制されたボーカルの対比が印象に残る名曲。 オープニングの「Magic Box」と対を成しているのかのようです。
久しぶりにこのアルバムを通して聴きましたが、繰り返しになりますがテケテケした Tenor banjo と感情移入しないボーカル、不思議なアレンジメントなどが融合しあって、かなり個性的な作品になっていると思います。 数年に一度は、忘れないように針を落として行きたいアルバムです。
■Pete McCabe / The Man Who Ate The Plant■
Side-1
Magic Box
Suicide
I’ll Be Your Sweetheart
Lullaby
Feelin’ Lonely
Side-2
Bijou
Late Letter
The Experiment
I Put The Smiles Back On Their Faces
The Man Who Ate The Plant
Music Box
All Words and Music by Pete McCabe
Arranged and Conducted by Jimmie Haskell
Produced and Engineered by Bill Szymczyk
Jim Keltner : drums and percussions
Larry Knechtel : keyboards
Chuck Rainey : electric bass
Louis Shelton : electric guitar , acoustic guitar on B⑤,B⑥
Pete McCabe vocals , acoustic guitar, tenor banjo , piano on A②,B⑥
Plas Johnson : sax on A②
Buddy Emmons : pedal steel on A③,B⑥
Sid Sharp : strings section leader
Ollie Mitchell : horn section leader
Tumbleweed Records TWS 105