■Paul Parrish / Songs■
このジャケットを見ると、ついつい「サンタナに似ているなあ」という感想が先立ってしまいます。 隣にジョン・マクラフリンがいても不思議じゃないような感じです。
そんな Paul Parrish のセカンドは、1971 年にリリースされました。 前回ご紹介した3 枚目のアルバムが1977 年発表ですから、ここから 6 年も間隔が空いてしまうのですね。
「Songs」というシンプルなタイトルをつけられたこのアルバム。 Paul Parrish のなかでは最も人気が高い作品かもしれません。 3 枚目のような AOR に近いアレンジに比べると、シンプルなピアノ系 SSW の味わいが全面的に楽しめるからかもしれませんね。アルバムを久しぶりに聴いてみましたが、やはり捨てがたい好作品だと思います。
イントロのギターのアルペジオが琴の音のように聴こえる「Many Years Ago」は、5 分もの大作です。 次第にアルペジオの音がピアノに置き換わり、後半の曲調転換のあたりでデシベルの高いストリングスが挿入される部分などはかなり劇的ですね。 この曲で大体のアルバムの雰囲気はつかめます。 続く「I Once Had A Dog」は題材を入れ替えながらテーマを掘り下げていくタイプの楽曲です。 唯一のギター系の楽曲「Jaynie」を挟んで、個人的なベストトラック「A Poem I Wrote For Your Hair (from the movie ’Fools’)」が始まります。 ゆったりしたワルツの曲調に私小説的な世界が広がり、抑え目なストリングスとともに奏でられるメロディーが味わい深い絶品です。 ちなみに、「Fools」という映画の存在は確かめられませんでした。 A面ラストの「Time」も典型的な Paul Parrish の世界が展開されます。 このレコードは秋が似合うなあと、新緑の時期に思ってしまいます。
B面に移ると、標準的な出来の「Numbers」、タイトルどおりにチェロのイントロと伴奏が美しい「Cello」と流麗な展開が続きます。 ところが、曲名からして不安感のあった「Pink Limousine」は、ちょっと異色です。 ニルソン風のアレンジによる明るい楽曲なのですが、ちょっとこのアルバム全体の世界観からはちょっと遠い気がしてしまいます。 「Nathan」は、元に戻った感じの大作ですが、曲の長さのせいか、ボーカルの弱さが一番目立ってしまうように感じました。 Paul Parrish の高めで細く、若干震える声は嫌いではないのですが、曲調によってはマイナスに聴こえてしまう場面があります。 この曲はそんな曲だと思いました。 ラストを飾るのは「A Poem I Wrote For Your Hair」と並ぶ名曲「When They Return」です。 この短い作品の中に、Paul Parrish の良質なエッセンスが十分に盛り込まれています。 流麗なストリングスによるエンディングなど、アルバムのラストに相応しい曲といえるでしょう。
「Songs」は、ピアノ系 SSW 好きの方であれば入手もそれほど大変でもないので、お勧めしたいと思います。 しかし、 CD 化による再発に熱心だったワーナーにあって、なぜか CD 化されていません。 CD になったら、紅葉のシーズンに車のなかでじっくり聴いてみたいなと思うのですが。
さて、次回はここまで来たので、Paul Parrish のファーストをご紹介しようかと思います。 が、レコード棚を探しているのですがまったく整理されていないので、ちょっと行方不明になってしまいました。 発見できるかどうかによって、次回の一枚は変わるかもしれません。
■Paul Parrish / Songs■
Side-1
Many Years Ago
I Once Had A Dog
Jaynie
A Poem I Wrote For Your Hair (from the movie ’Fools’)
Time
Side-2
Numbers
Cello
Pink Limousine
Nathan
When They Return
All Songs Written and Arranged by Paul Parrish
Produced by Dan Dalton
Musicians :
Paul Parish : piano , organ , melodica
Steve LaFever : bass
Larry Brown : drums
George Bell : drums
John Beland : guitars
Dick Rosminni :guitars
Tom Morgan : harmonica
Danny Cohen : harmonica
Bill Fritz : clarinets
Jim Snodgrass : clarinets
Verlye Mills : harp
Nathan Gershman : cello
Warner Brothers WS1930
このジャケットを見ると、ついつい「サンタナに似ているなあ」という感想が先立ってしまいます。 隣にジョン・マクラフリンがいても不思議じゃないような感じです。
そんな Paul Parrish のセカンドは、1971 年にリリースされました。 前回ご紹介した3 枚目のアルバムが1977 年発表ですから、ここから 6 年も間隔が空いてしまうのですね。
「Songs」というシンプルなタイトルをつけられたこのアルバム。 Paul Parrish のなかでは最も人気が高い作品かもしれません。 3 枚目のような AOR に近いアレンジに比べると、シンプルなピアノ系 SSW の味わいが全面的に楽しめるからかもしれませんね。アルバムを久しぶりに聴いてみましたが、やはり捨てがたい好作品だと思います。
イントロのギターのアルペジオが琴の音のように聴こえる「Many Years Ago」は、5 分もの大作です。 次第にアルペジオの音がピアノに置き換わり、後半の曲調転換のあたりでデシベルの高いストリングスが挿入される部分などはかなり劇的ですね。 この曲で大体のアルバムの雰囲気はつかめます。 続く「I Once Had A Dog」は題材を入れ替えながらテーマを掘り下げていくタイプの楽曲です。 唯一のギター系の楽曲「Jaynie」を挟んで、個人的なベストトラック「A Poem I Wrote For Your Hair (from the movie ’Fools’)」が始まります。 ゆったりしたワルツの曲調に私小説的な世界が広がり、抑え目なストリングスとともに奏でられるメロディーが味わい深い絶品です。 ちなみに、「Fools」という映画の存在は確かめられませんでした。 A面ラストの「Time」も典型的な Paul Parrish の世界が展開されます。 このレコードは秋が似合うなあと、新緑の時期に思ってしまいます。
B面に移ると、標準的な出来の「Numbers」、タイトルどおりにチェロのイントロと伴奏が美しい「Cello」と流麗な展開が続きます。 ところが、曲名からして不安感のあった「Pink Limousine」は、ちょっと異色です。 ニルソン風のアレンジによる明るい楽曲なのですが、ちょっとこのアルバム全体の世界観からはちょっと遠い気がしてしまいます。 「Nathan」は、元に戻った感じの大作ですが、曲の長さのせいか、ボーカルの弱さが一番目立ってしまうように感じました。 Paul Parrish の高めで細く、若干震える声は嫌いではないのですが、曲調によってはマイナスに聴こえてしまう場面があります。 この曲はそんな曲だと思いました。 ラストを飾るのは「A Poem I Wrote For Your Hair」と並ぶ名曲「When They Return」です。 この短い作品の中に、Paul Parrish の良質なエッセンスが十分に盛り込まれています。 流麗なストリングスによるエンディングなど、アルバムのラストに相応しい曲といえるでしょう。
「Songs」は、ピアノ系 SSW 好きの方であれば入手もそれほど大変でもないので、お勧めしたいと思います。 しかし、 CD 化による再発に熱心だったワーナーにあって、なぜか CD 化されていません。 CD になったら、紅葉のシーズンに車のなかでじっくり聴いてみたいなと思うのですが。
さて、次回はここまで来たので、Paul Parrish のファーストをご紹介しようかと思います。 が、レコード棚を探しているのですがまったく整理されていないので、ちょっと行方不明になってしまいました。 発見できるかどうかによって、次回の一枚は変わるかもしれません。
■Paul Parrish / Songs■
Side-1
Many Years Ago
I Once Had A Dog
Jaynie
A Poem I Wrote For Your Hair (from the movie ’Fools’)
Time
Side-2
Numbers
Cello
Pink Limousine
Nathan
When They Return
All Songs Written and Arranged by Paul Parrish
Produced by Dan Dalton
Musicians :
Paul Parish : piano , organ , melodica
Steve LaFever : bass
Larry Brown : drums
George Bell : drums
John Beland : guitars
Dick Rosminni :guitars
Tom Morgan : harmonica
Danny Cohen : harmonica
Bill Fritz : clarinets
Jim Snodgrass : clarinets
Verlye Mills : harp
Nathan Gershman : cello
Warner Brothers WS1930