波乱万丈 乳がん転移ライフ!

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「負傷者16人」~夏の最後に、答えの見つからない芝居を鑑賞

2017-08-25 22:38:09 | 感動の出来事(演劇)
☆アッピア夫です。

この夏に色々観た中での最後は、贔屓にしている劇団の芝居で、タイトルは「負傷者16人」・・・

発団67年もの歴史ある劇団で、その劇団のスタジオ(稽古場)が家から30分位のところにあります。
ホールでの公演もあるのですが、私は芝居小屋が好きなので、いつもそのスタジオで観ます。

木の長椅子に腰掛け、手の届きそうなところで物語が繰り広げられる・・・と言う臨場感がいいんですね。
料金もホールより安いですし・・・

私が中学生の時に読んで、この世にこんな悲劇が本当にあったのかと強い衝撃を受けた「アンネの日記」
・・・それを大人になってから劇で観たくなったのが、その劇団との出会い。

「負傷者16人」は、2004年にブロードウェイで初演された社会的な内容の物語です。

舞台は、移民を積極的に受け入れ自由を標榜する国、オランダのアムステルダム・・・
パン職人であるユダヤ人主人と、偶然そのお店で働くことになったパレスチナ人の青年・・・
その後家族のような強い繋がりとなる二人の交流や葛藤を軸に展開する物語です。

人種や宗教を超えた人と人との繋がりと、そこに横たわる歴史や憎悪という厚い壁・・・
そう言ったものを通して見える、人と人との本質的な関係や大切なものを描いた作品です。

家族や愛、正義・・・それらは当然のようにとても尊いものですが、
その当たり前のものを持ってしても超えられない「人間の宿命」・・・
当人でないと決して分からない、そういうものがあることを考えさせられます。

この作品は、イスラエル人の父とユダヤ人の母を持つ作者によって創られ、
あくまで中立的な立場で描かれているのですが、この物語の結末をどう受け止めるかはその人次第・・・

「あなたはこの結末をどう思いますか・・・」と訊かれても、とても簡単には答えられない。
この劇を見終わった後は、答えようのない質問を唐突に突きつけられたようで、放心状態となりました。

今もヨーロッパ各地で頻繁に続く惨いテロ・・・
もう慣れっこになってしまう位、世界中で当たり前のように起きています。

「テロは卑劣」「テロは撲滅しなければ」・・・それが一般的な人間の考えであり、正義・・・
だけど、テロを起こす人間にとってはそれが正義・・・だからこそ自爆テロも平気で行える。

「彼らの歪んだ思想を変えるには教育しかない」・・・と言われます。
しかし教育は時間もかかり、宗教的な側面もありそう簡単ではなさそうです。

まずは、目を背けることなくそう言う事が起きている現実世界に向き合い、
正解のない答えを考えていくしかない・・・と言うことになるのでしょうか。

2017年8月25日


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