道彦の散歩道

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07/30 「京料理」と「加賀料理」

2013年07月30日 | 食・レシピ

【京料理】
「京料理」は、日本料理として供される料理におけるジャンルあるいはブランドとしての名称である。
野菜や乾物、大豆加工食品を中心とした素材の味を活かす、洗練された薄味料理で、味だけでなく、見た目や雰囲気を含めて五感で楽しむ料理であるといったようなイメージが一般に持たれている。
京都は、地理的背景から大阪のような新鮮な海産資源に乏しかったこともあり、質素な食材を活かすような料理技術の発展が見れた。
中国料理を元にした大饗料理に始まり精進料理、懐石料理を経て、西洋料理に出会うまでの日本の料理文化の中心地として京料理は様々な料理手法の特徴を取り入れてきたものである。そのため、京料理が日本料理と同義と捉えられる場合もある。
日本において「料理屋」が最初に出現したのは京都であるが、その年代や詳細な場所は特定できておらず、確認できるものとしては1403年頃の東大寺南門付近に登場した「一服一銭」がある。
組立式の簡易な店構え、参内客に対して安価な茶を立飲みで振る舞っていたが、これが人気を博して門前茶屋へと発展し、料理屋の原型となった。
江戸時代初期、八坂神社の鳥居内にあった中村屋、藤谷という茶屋が参拝客に茶を振る舞っていたが、やがて軽い食事として豆腐を提供するようになり、豆腐茶屋と呼ばれた。
こうした豆腐を提供する茶屋は祇園にその版図を広げて行き、祇園豆腐に代表されるような豆腐料理の多様化を見せた。
江戸時代中期に入ると現代のような、座敷に客を上げて料理を食べるという形式が誕生し、料理の種類も様々へと発展をみせた。
1831年に出版された『商人買物独案内』には高瀬川や加茂川を中心として川魚料理、湯豆腐料理、即席料理、茶懐石などを振る舞う多数の料理屋が紹介されている。一方で丸山近辺の時宗の寺院を中心として精進料理を提供するような店も見え始めた。さらに、1927年に開業した「浜作」を期に大坂生まれの板前割烹の文化が浸透し、京料理屋の提供スタイルにも大きく影響を与えた。
現在の京都には西洋料理の名店が多数存在し、日本の西洋料理をリードしている。

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【加賀料理】
「加賀料理」は、海と山と大地の恵みに支えられ、城下の人々に受け継がれてきた加賀百万石の食文化である。
加賀百万石の伝統が育んできた金沢の食文化。四季折々の豊かな自然に恵まれたこの地だからこそ「加賀料理」として独特の進化をとげている。
「加賀料理」とは、地元で採れた食材を日常的に美味しく食べるために工夫されてきた郷土料理と言える。「治部煮」や「かぶら寿司」など素朴で庶民的な加賀料理も、九谷焼や金沢漆器などの華やかな器に盛り付けられることで、華麗な「加賀料理」として演出されてきた。
器によって目で味わい、舌で味わう、この絶妙な関係が「加賀料理」の魅力なのである。

『地の利が育んだ食文化』
日本の伝統文化は大陸の文化を基盤としている。それは現在の日本料理も同様である。主食である米はもちろん、懐石料理を生み出した茶も大陸から伝わっている。奈良・平安時代には勃海と律令国家の交流が盛んに行われ、加賀や能登は大陸の食文化の玄関口となった。
また、中世から近世にかけて、石川県は北前船の拠点となり、これによって全国各地の物品が運び込まれてきた。
大陸から伝来した食文化、全国各地から集まる物品、地元の恵まれた食材。そんな三つの「地の利」が歴史的基盤となって、金沢独特の食文化が育てられ、加賀料理につながって行った。

『京風と江戸風の融合』
金沢が歴史の表舞台に登場したのは戦国時代。一向宗の総本山である本願寺が加賀支配の拠点として、金沢御堂を現在の金沢城公園に設置した時である。そこには関西からの移住もあり、それに伴って関西の食文化が伝わってきた。当時の本願寺の影響力は絶大であったことからも、金沢の生活全般が京風になった。
その後、豊臣秀吉の時代になり、秀吉と親交のあった金沢城主・前田利家は、能や茶を愛好し、秀吉をもてなす宴では、京風の料理で接待したと言われている。
一方、江戸時代には、儀礼的なことに関しては徳川幕府に準じていたため、江戸の武家風の習慣も入り込んできた。そのため、京風と江戸風の食文化が次第に融合していった。

『水に恵まれた金沢』
富士山、立山ととに日本三大名山とされる霊峰・白山を源とする水は、加賀料理の根底を支えている。白山から湧き出る水は全国屈指の清流であり、穀倉地帯である加賀平野を潤して、様々な農作物に命を与えてきた。白山から流れる手取川の伏流水は、まさに「天然の濾過器」を通った水であり、そんな美味しい水があったからこそ、加賀料理は発展することが出来た。

『実り豊かな加賀平野』
穀倉地帯である加賀平野では、農作物の栽培も盛である。さつまいもや加賀れんこん、加賀太きゅうり、ヘタ紫なす、金時草、加賀つるまめ、打木赤皮、甘栗かぼちゃ、源助大根、金沢一本太ねぎ、二塚からしな、赤ずいき、くわい、金沢春菊などといった「加賀野菜」と呼ばれる金沢ならではの野菜も作られており、特徴的な食材として「加賀料理」に使われている。

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