蓮實先生が絶賛していた、黒沢清監督・共同脚本の'08年作品『トウキョウソナタ』をNHK・BS1で見ました。
総務部課長だった佐々木(香川照之)は会社をリストラされますが、家族には言い出せず、ハローワークでも相手にされません。次男はピアノ教室の先生に憧れ、捨てられていた電子ピアノを拾ってきます。炊き出しで佐々木は同級生の黒須に会いますが、彼は失業の先輩でいろいろ教えてくれます。一方、次男はピアノを習いたいと両親に言いますが、佐々木に即座に拒否され、給食費を流用して秘かにピアノ教室に通い出します。佐々木は夫が失業中と疑いだしている黒須の家族のために、彼の同僚のふりをして黒須宅を訪れますが、黒須の娘は全て見通していて佐々木に同情します。面接で年下の男にいいようにあしらわれ、外で怒り狂う佐々木。佐々木の妻(小泉今日子)は炊き出しを受けている佐々木を目撃してしまいます。炊き出しで会っても無視する黒須をいぶかり、彼の自宅を訪れた佐々木は、黒須一家が無理心中したのを知ります。長男は米軍に志願し佐々木の怒りを買いますが、空港で見送る妻に対して長男は離婚を勧めます。やがて次男が給食費を未納していることがばれ、妻は次男から真相を聞き出し、彼がピアノを習うことを認めます。佐々木はピアノ教室の先生が次男に音楽専門の中学進学を勧める手紙の届いているのを見て、次男を責めますが、妻は逆に権威的な夫を責め、失業中なのを知っていると言います。中東に派遣された長男がいきなり自宅に帰ってきて、「多くの人を殺した」と意気消沈している夢を見た妻は、胸騒ぎから長男の安否を外務省に尋ねますが、確認できません。清掃員として働き出した佐々木は大金の入った袋を拾い、逃げ出しますが、そこで妻にばったり会ってしまいます。「三時間前」の字幕。妻は強盗(役所広司)に襲われ、逃走車を運転させられますが、途中でトイレに寄った際に、清掃服姿の夫に出会い、夫は逃げ出します。妻は強盗とともに逃げることを選び、海岸で強盗とともに夜を過ごしますが、翌朝強盗は車とともに海に消えていました。佐々木はひき逃げされて意識を失いますが、朝目を覚ますと、大金の入った袋を遺失物として届け、家に戻ります。前夜に夜行バスの無賃乗車で留置所に入れられていた次男も翌朝釈放され、家に戻ります。妻も含めた3人は無言で朝の食事をします。「四ヶ月後」の字幕。長男からの手紙を読む妻。音楽専門の中学の入試で次男の見事なピアノ演奏を聞いた佐々木夫婦は感動し、演奏を終えた次男とともに周囲が見守る中、入試会場を後にするのでした。
香川照之の殺伐としていく様子は、エリック・ロメールの『獅子座』を想起するものでした。ラストのご都合主義や、井川遥扮するピアノ教師の紋切り型の演技に私はついていけませんでしたが、暗い画面が家族の崩壊を淡々と描いていく内容とよく合っていたと思います。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)
総務部課長だった佐々木(香川照之)は会社をリストラされますが、家族には言い出せず、ハローワークでも相手にされません。次男はピアノ教室の先生に憧れ、捨てられていた電子ピアノを拾ってきます。炊き出しで佐々木は同級生の黒須に会いますが、彼は失業の先輩でいろいろ教えてくれます。一方、次男はピアノを習いたいと両親に言いますが、佐々木に即座に拒否され、給食費を流用して秘かにピアノ教室に通い出します。佐々木は夫が失業中と疑いだしている黒須の家族のために、彼の同僚のふりをして黒須宅を訪れますが、黒須の娘は全て見通していて佐々木に同情します。面接で年下の男にいいようにあしらわれ、外で怒り狂う佐々木。佐々木の妻(小泉今日子)は炊き出しを受けている佐々木を目撃してしまいます。炊き出しで会っても無視する黒須をいぶかり、彼の自宅を訪れた佐々木は、黒須一家が無理心中したのを知ります。長男は米軍に志願し佐々木の怒りを買いますが、空港で見送る妻に対して長男は離婚を勧めます。やがて次男が給食費を未納していることがばれ、妻は次男から真相を聞き出し、彼がピアノを習うことを認めます。佐々木はピアノ教室の先生が次男に音楽専門の中学進学を勧める手紙の届いているのを見て、次男を責めますが、妻は逆に権威的な夫を責め、失業中なのを知っていると言います。中東に派遣された長男がいきなり自宅に帰ってきて、「多くの人を殺した」と意気消沈している夢を見た妻は、胸騒ぎから長男の安否を外務省に尋ねますが、確認できません。清掃員として働き出した佐々木は大金の入った袋を拾い、逃げ出しますが、そこで妻にばったり会ってしまいます。「三時間前」の字幕。妻は強盗(役所広司)に襲われ、逃走車を運転させられますが、途中でトイレに寄った際に、清掃服姿の夫に出会い、夫は逃げ出します。妻は強盗とともに逃げることを選び、海岸で強盗とともに夜を過ごしますが、翌朝強盗は車とともに海に消えていました。佐々木はひき逃げされて意識を失いますが、朝目を覚ますと、大金の入った袋を遺失物として届け、家に戻ります。前夜に夜行バスの無賃乗車で留置所に入れられていた次男も翌朝釈放され、家に戻ります。妻も含めた3人は無言で朝の食事をします。「四ヶ月後」の字幕。長男からの手紙を読む妻。音楽専門の中学の入試で次男の見事なピアノ演奏を聞いた佐々木夫婦は感動し、演奏を終えた次男とともに周囲が見守る中、入試会場を後にするのでした。
香川照之の殺伐としていく様子は、エリック・ロメールの『獅子座』を想起するものでした。ラストのご都合主義や、井川遥扮するピアノ教師の紋切り型の演技に私はついていけませんでしたが、暗い画面が家族の崩壊を淡々と描いていく内容とよく合っていたと思います。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)