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ベルトルト・ラウファー『飛行の古代史』

2011-05-10 08:47:00 | ノンジャンル
 中野美代子さんが紹介していた、ベルトルト・ラウファーの'28年作品『飛行の古代史』を読みました。
 本書ではJ・E・ホジソンがその名著『イギリス航空史』の中で区別した4つの時代の最初の時代、伝説と有史以前の時代の特徴が、ヨーロッパ航空史の黎明期よりさらに数世紀前の古い時代の東洋にその源を持っていることを証明しようとするのだと、まず著者は言っています。そして先ず古代中国での飛翔譚に触れ、中国の皇帝・舜(伝記によると生没年は紀元前2259~2208年)が歴史に記録された最初の飛行者であるばかりでなく、真に初めてパラシュート降下を成功させた人物でもあると語られ、西洋で最初にパラシュートの発想を抱いたダ・ヴィンチ(1452~1519年)よりも中国が先んじてパラシュートを使用していたことも語られます。そして古代中国における木鳶、鶴、靴、絶食と薬の服用による空中浮揚について語られ、次に凧が古代中国において発明され、かつ初めて実用に供されたことが述べられ、百足凧、音を奏でる凧などの発明を経て、凧が極東から西へ近東へと向かって広がり、最後にヨーロッパにたどり着いたこと、そして人が凧に乗るようになり、有人飛行凧が航空機へと発展していったことが述べられます。次に古代インド人は鳥の飛行原理にもとづいて、自らの手で作ったガルダ飛行船と、製法はかたく秘密のままにされていた、ヤヴァナすなわちギリシア人の手になるヤヴァナ飛行船を持っていたこと、魔術、魔法の宝石、魔法の靴、魔法の馬による飛行の記述も存在すること、バビロンとペルシアからギリシア民族とアラブ民族にかけて鳥による飛行が広く考えられていたこと、そして最後に鳩による航空郵便の歴史が語られます。
 これまでに読んだラウファーの本と同じく、網羅的に博学的文章がつらなっているのですが、内容の面白さもあって最後まで読むことができました。これまでのラウファーの本の中では一番楽しめたと思います。古代の東洋における飛行に関するエピソードに興味のある方には特にオススメです。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)