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シティ・オヴ・グラス

2006-05-13 16:42:25 | ノンジャンル
 ポール・オースター「ニューヨーク三部作」の第一作「シティ・オヴ・グラス」を読みました。
 ポール・オースターという私立探偵宛の間違い電話が深夜に三回かかってきて、とうとう主人公の作家はポール・オースターになりすまし、仕事を引き受けます。そして依頼人の家に行ってみると、そこには幼少時に父から8年間一人部屋に閉じ込められた青年とその妻がいて、逮捕された父親が13年ぶりに出所するので、青年を守ってほしい、そのために父親を監視してほしい、と言われます。そして、主人公は父親の監視を続けるのですが、‥‥。
 このようなすばらしい出だしにもかかわらず、この後、主人公と父親との間にかわされる哲学的会話、友人とのドン・キホーテをめぐる会話、そして主人公が監視を徹底させるためホームレスになっていく際のホームレスの話、こうしたものがすべて鬱陶しく難解で、せっかくの物語を台なしにしているように感じました。
 ラストも謎を残すような素晴らしいものなのに、残念です。最初に読んだオースターの小説「ムーン・パレス」がとても良かっただけに惜しまれる読書体験でした。
 次は、オースターの「ニューヨーク三部作」の第二作「幽霊たち」です。これは、どうなのでしょう?